第二話 2人の友達
4月5日の出来事。
電車に揺られながら、僕は外を眺めていた。
学校に行くため、僕は今、電車に乗っている。
車内は混んでいるため、座ることができなかった。
仕方なく、ドアの隅に立つことにした。
(眠いなー)
と思いながら、僕は携帯電話をいじりだした。
車内は、制服を着た学生で溢れかえっている。
(どこの高校だろうか?)
と、考えているうちに少し気分が悪くなってきた。
まただ、、、
僕は、昔から電車が苦手だ。
幼少期の頃は、トーマスが好きで、乗り物が好きだった。
だけど、いざ乗ってみると、駄目であることを僕は知った。
酔ってしまうのだ。
最近、車酔いはなくなったが、電車やバスで酔ってしまうことがある。
2年前に、某夢の国に行った時も、電車で酔ってしまい、僕の悲しみの国となった。
今では、嫌な思い出となっている。
(なんで、今、思い出したんだろう?)
僕は、携帯電話を黒色の背嚢にしまい、小説を取り出した。
この本は、入学式の帰りに買ったばかりの小説だ。
といっても、入学式は昨日のことである。
僕は、最近になって小説を読むようになった。
漫画は、昔から好きで、よく読んでいたが、小説は嫌いだった。
なぜ嫌いだったかというと、活字が苦手だったからだ。
今でも苦手なのだが、、、
でも、本に描かれている「物語」は好きだったので僕は小説を読むようになった。
今では、小説を読むと、酔っていることを忘れるくらい好きになった。
小説は、僕の酔い止め薬のような効果を発揮している。
(そういえば、今日から授業か)
(早く終わるといいなー)
嫌な思い出に続いて、また気分が落ちてしまった。
僕は、小説を開き、自分の世界に逃げ込むことにした。
時間が過ぎて、僕は駅に着いた。
改札を出ようとしたその時、後ろから声をかけられた。
「〇〇くん!おはよ!」
昨日、話しかけてくれた、敦だった。
「あ、おはよう!」
とびっくりしながら僕はいった。
同じ電車だっだようだ。
そういえば、同じ小田急線だといっていたことを思い出した。
「同じ電車だったんだね」
と僕は敦にいった。
「そうだね、びっくりだよ」
「何両車だったの?」
「僕は、9号車だったよ」
と僕は答えた。
「後ろの方だったのか、、、」
「僕は、6号車にいたんだ」
「そうだったんだ、真ん中らへんだね」
と僕はいった。
「そうだね、真ん中へんだね」
「改札が近いからね」
「そういうことかー」
と僕は答えた。
僕達は、改札を出て、学校に向かうことにした。
「そういえば、〇〇くんは何駅から来てるの?」
「〇〇駅だよ」
「敦は、どこから来てるの?」
と歩きながら僕は訊き返した。
「僕はねー、厚木なんだ」
「ここからだと、40分くらいかな」
「バスも入れると、1時間ちょっとかかるかな」
「そんなに遠いんだー」
「じゃあ、朝早いでしょ?」
と僕は歩きながら訊いてみた。
「うーん、そんなに早くないよ」
「遅くても、7時半に家を出れば大丈夫だよ」
「そうなんだー、もっと早いのかと思った」
と僕はいった。
話をしているうちに、学校に着き、僕達は教室に向かった。
教室には、ほとんどの生徒がすでに座っていた。
僕は、背嚢を机に置いて、席に着いた。
僕の席は、左斜め目に教壇が見える。
前には、蒼の席があり、その前に女の子が座っている。
敦は、僕の2つ後ろの席だ。
僕と敦を挟んで、敬一郎の席がある。
列は、5人構成でなっているようだ。
朝礼は、9時から始まるらしい。
昨日、先生がいっていた。
背嚢から筆箱を取り出し、背嚢を机の横にかけた。
周りを見渡していた時に、前に座っていた蒼が話しかけてきた。
「おはよー、今日から授業らしいね」
「明日からでいいのにー」
「だよね、いきなり授業とか嫌だよねー」
と僕はいった。
周りでは、何人か話をしている生徒がいる。
「ねえ、〇〇くんLINEやってる?」
「うん、やってるよ」
と僕は答えた。
「じゃあ、交換しようよ!」
「いいよ!」
と答えて、携帯電話を開いて、交換をした。
その時、教室の戸を開けて、先生が入ってきた。
「朝礼始めるぞー」
といいながら、教壇に先生は立った。
携帯電話をしまい、先生の方を見た。
朝礼が始まった。
先生は、次々に点呼を始めた。
点呼が終わると、今日のことについて、先生が説明をした。
「今日は、プリントとか配るから、ちゃんとした授業はないから安心してくれ」
と先生はいった。
(よかったー)
と僕は内心喜んだ。
その時、ガッツポーズをしている生徒が目に入った。
中には、声に出して喜んでいる生徒もいた。
「おーい、先生の前だぞー」
と先生は笑いながらいった。
僕達も笑った。
朝礼が終わった。
先生は、教室を出ていった。
今日は、4時間で帰れると先生はいっていた。
それと、明日からお弁当を持ってこないといけないらしい。
授業が始まるまで、まだ10分ほどある。
僕は、背嚢を開けて、水筒を取り出した。
水筒の中身を一口飲み、背嚢にしまった。
その時、後ろにいる敬一郎が話しかけてきてた。
僕は、振り返った。
「〇〇って、なんかスポーツしてたの?」
「少しだけ、サッカーをやってたよ」
と僕は答えた。
初めて、彼の顔をちゃんと見た。
モテるだろうなーっと僕は思った。
「やっぱりそうか!」
「なんでわかったの?」
と僕は驚いて訊いた。
「スポーツやっている人って、独特の雰囲気があるからだよ」
「へー、そうなんだー」
「敬一郎は、なにかスポーツやってたの?」
と僕は訊き返してみた。
「野球を少しやってたよ」
「補欠だったけどね」
「野球って難しそうだよね」
と僕はいった。
その時!
隣の座っている女の子が話に入ってきた。
「ねぇ、サッカーやってたの?」
「うん、、、やってたよ!」
と僕は答えた。
初めて、話すかけられた。
(名前、なんだっけなー)
と僕は考え、思い出そうとした。
「私、サッカー部のマネジャーやろうと思ってるんだけど、一緒に入らない?」
「うーん、どうしようかなー」
と僕は考えながら答えた。
「智恵は、なにかスポーツやってたの?」
と敬一郎が彼女に訊いた。
名前は、智恵というらしい。
「私は、なんもやってなかったよ」
「帰宅部!」
と腕を組んで、自慢げに彼女はいった。
「なんかやらなかったのかよー」
と敬一郎が笑いながらいった。
僕は、笑いをこらえていた。
「明日の放課後に、サッカー部の体験あるらしいから、一緒に行かない?」
「まあ、体験だけならいいけど、、、」
と僕は答えた。
本当は、行きたくないなと僕は思っていた。
「じゃあ、一緒に行こ!」
と彼女は嬉しそうにいった。
その時、授業の始まりのチャイムが鳴った。
先生が入ってきて、授業が始まることになった。
授業は、45分間で、授業と授業の間には、10分間の休憩がある。
今日は、先生がプリントやらアンケート調査などのプリントを渡し、それを書いた。
授業という授業はなく、暇な時間が多かった。
その時間は、近くの人と話したり、携帯電話をいじっていた。
なんだかんだ、プリントの配布やら、アンケートで授業は終わっていった、、、
。
。
。
。
時刻は、11時40分。
終礼が始まった。
先生が明日の予定などを伝えて、終わった。
僕は、背嚢を背負い、帰ろうとしていた。
その時、敦に帰ろうと誘われ、僕は敦と一緒に帰ることにした。
「小田急で来てる子がいるんだけど、一緒でもいい?」
「うん、別にいいよ」
と僕は答えた。
(誰だろう?)
と僕は考えていた。
その時、奥から派手な子が近づいてきた。
「帰ろーぜ」
「うん、じゃあ帰ろ」
「あ、この子が一緒の子だよ」
と敦はいった。
「よろしく!」
「うん、よろしくね」
なんかチャラそうな子だなと僕は思った。
僕達は、駅に向かうため、学校を出ることにした。
駅に着いて、改札を通り、電車に乗り込んだ。
電車での帰り道、僕達は色んな話をした。
名前は、友幸というらしく、海老名から通っているらしい。
中学生の時は、野球をやっていて、敦も野球をやっていたことを知った。
2人は、学校は違うが昔からの友達だったようだ。
色々と話をしているうちに、最寄り駅に着いた。
僕は2人と別れて、電車から降りた。
駅を出て、家に向かうことにした。
その帰り道、僕は彼女のことを思い出していた。
(そういえば、何に読んでたのか訊けなかったなー)
と僕は空を見上げながら思った。
その時、一滴の水が頬を伝った。
(あれ、今、僕は泣いているのか?)
(いや、違うな。これは、、、)
「驟雨ですね。」
と僕は呟いた。
そして、雨が降り出した。