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サクラ咲く。  作者: 好意 椎
第1章 幼少期編
8/26

元首様登場です!

能力検査が終了して、その場に留まっていたサクラ達は、カミーユが話があると言うので移動することにした。

サクラは最初、水晶を割ってしまったことに対して、何か罰があると(否定されたが)考えていたのだが、移動するのが自分だけでは無く、トウコ達も一緒だと言うので、自分のせいでみんなが罰を受けることになったらどうしようと思っていた。

だが連れてこられた場所は、懲罰房(勝手な想像)では無く、10個の席が用意された円卓であった。

円卓の直径は十メートルほど大きく、十人が座るには十分な大きさであった。

部屋には円卓以外にも色々な物があり、見たことのない形のピカピカした壺や絵画など、どれも高価な事が一目でわかる物だ。

「さて、みんな。大事な話をしたいのでそっちに座って欲しい。あっサクラちゃんは真ん中でね。」


そう指定されては座らないわけにもいかないので、シブシブ真ん中の席に座ることにした。

サクラの右には、ラン。左にジンとトウコが後に続いて座った。


カミーユはみんなが座ったことを確認して、ランの隣に腰をかけた。


「楽にしてて欲しい。....と言っても、なかなか難しいかな。これからのことなんだが、みんなに会っていただきたい人がいる。そしてその人から色々話をされると思うが、真剣に聞いて欲しい。特にジン君。」

「・・・・・ふん!」

「ははは、威勢のいい子は私は嫌いじゃないから良いんだけどね。気をつけて欲しい。今から来る人物は礼儀にうるさい人物で、何よりとても偉い方だ。場合によっては君だけでは無く、周りの者にまで被害が及ぶ危険もある。.....これはお願いだ。ジン君。その人の前ではおとなしくしてて欲しい。」

そう言ってカミーユはゆっくりと頭を下げる。

その行為は人族にとっては、とても驚いた行為だった。

エルフ族はもともと、その能力から他族を見下す事が多々あった。

人族に負け、人族の所属になり、その考えは減ってはいるが、それでも他族にとってエルフ族はプライドの高い種族であった。

その証拠に頭を下げられたトウコは、目の前の光景に目を見開き、絶句していた。

ジンは別の意味で驚いていたが、他の二人はそれをなんと無く見つめていた。

「.....わかった。サクラちゃんの迷惑になりたくないから、おとなしくしてる。」

先ほどまでいがみ合っていた相手が真摯に頭を下げたのを見て、ジンは少し嬉しく思った。

もちろん優越感による物では無く、カミーユが自分を対等に扱っていることに関して、嬉しく思った。

だからジンは、カミーユが頭を下げたことに対して、ジン自身も対等であるべく、素直にカミーユが言ったことに従うことにした。

「・・・ありがとう。.....どうやらもう着いたみたいだ。みんな、ジン君以外は注意しなくても大丈夫だと思うが気をつけてね。」

そう言ってカミーユは、サクラ達と入って来たドアに視線を移すと、みんなつられるようにそちらを見た。


ドンドン


すると視線をを移した後すぐに、ドアを叩く音がした。

「お待ちしてました。どうぞお入りください。」

「カミーユか。失礼するよ。」

扉の向こうから、低い男性の声が聞こえてきて、ゆっくりとドアが開き、男性が一人、部屋に入ってきた。

部屋に入ってきた男性は、身長が170センチ程で、眉間にはシワが寄っていて、鋭い目つきのため、怒っているような顔つきであった。

さらに左眼は、何かの切り傷で潰れて隻眼となっていて、その怪我のせいで余計に迫力がましていた。


「こんにちは。諸君。知っていると思うが、現在、人族をまとめているイシイナギと言う。詳しく言うと人族元首だ。よろしくな。」

「げっげげ元首様.....」


トウコは驚きの声を上げる。

ランも、その瞳を大きく開け目の前の人物を凝視させている。

他の二人も同様な反応を示している。

それも仕方のない事かもしれない。

相手はこの国で一番偉く、そして伝説の人物。

國民で知らぬ者はいない超有名な人物なのだ。

そんな人物が、自分の孤児院の子供達に会いに来るなど普通ならまずない。


「驚かせてすまない。だが俺も時間がないので、単刀直入だが本題に入らせてもらう。俺がここに来たのは、君達三人を養子にするためだ。」


(やっぱりそうでしたか....)


トウコはゆっくりと三人の顔を横から眺める。

能力検査は、優秀な者を見つけるため、そして魔族から守るために行う。

その中であれほどの能力を叩き出せば、こういった事態になるのは予想できた。

だがその時とある疑問がふとでてきた。


「すいません。ジン君とランちゃんは分かるのですがサクラちゃんはどうしてでしょうか?」


そう。ジンとランは明らかに周りより、能力が高いか、國として、しっかり育てたいのはわかる。

だがサクラは水晶が割れただけで、成績に残るような事はしていない。

なのに何故、サクラも選ばれるのか?

トウコは質問したが、自分の中でも三人を養子にするのがなぜか考える。

仲がいいから?ーーーいや幾ら何でもそんな理由で三人共養子にするとは考えづらい。

実はサクラちゃんが好みのタイプーーーそんな性癖の人がいると言うのは聞いたことがあるが、元首様に限ってそれは無いと思う。

二つ目の理由なら全力で拒否しようと思い、その疑問を回収すべく、目の前の元首ことナギを見る。

ナギは、ちょうどサクラと対面になる椅子に座り、サクラを見つめる。


「・・・・・それは簡単だ。そこの子はあの場にいる誰よりも能力が優秀だからだよ。」

「私が一番優秀?」

「ああ。そうだ。あの水晶は特定の人物が触ると割れる仕組みになっている。」

「ある特定の?なんでそんな仕組みを・・・?」

「それを説明するには、少し昔話をしなきゃな。聞いてくれるかい?」

見た目とはうらはらに穏やかな口調で話すナギの顔は、カミーユが時折サクラに見せた慈しむような顔と同じであった。

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