担任の先生と鬼の子達です!
人國首都桜花。
現在、朝の7時。
人族からなる5種族が暮らすこの街の中心部には、高天原城があり、桜花の街の象徴でもある。
桜花の街は、妖族の首都、鬼立とは違い商店が数多くあり、暮らしに必要なものは全てここで揃えられる。
だが暮らしに必要な物だけではない。
比較的治安が良いと言われる桜花の街だが、一歩外に出れば、危険度が一気に上がる。
街の外や、街と街を結ぶ街道などには人を襲う生き物、「獣魔」が存在する。
そのため旅をする者が必要とする、武器や防具が売っている店や、怪我を治す薬師のお店、そして依頼によって仕事をこなす狩人が集まる「集会所」と呼ばれるところも存在している。
そんな桜花に土煙をあげ、向かってくる集団があった。
その集団は二十人ほどからなる集団で、みんなものすごい速さで走って来ている。
「ここが人國の高天原城!すげー!すげー!かっくいいー!!....ふぁあーー!出雲学園かぁーーー!!くぅう!緊張するー!」
「アラガミ!うるさい!あんたなんでそんなに元気な訳!?妖國から走リ続けて3日なのに!この体力バカ!」
「いやいや!!サクヤだって興奮して顔が赤いじゃん!」
「お前、それは赤鬼であるうちに対しての嫌味か!!」
「....アラガミ!!サクヤ!!!お前らうるせーぞ!!黙らねーと喰うぞ!!」
「すいません!ダイダラ先生!!」
集団の正体は、今日、出雲学園に留学する鬼達であった。
鬼達は毎年恒例である、妖國から走って人國に向かうマラソンをしていた。
(たく!なんであいつらはあんな元気なんだ!?もう3日走ってるのに!俺らの時代でもあんな元気な奴はいなかったのに!)
ダイダラは怒られたのに元気に左右を飛び回ってるアラガミを見ながら、あまりに元気な姿に呆れつつ、アラガミの身体能力に舌を巻いた。
(もうすぐ人國!とおさま!もうすぐ会えます!!オウカ様の生まれ変わりに!!)
「さてみんな集まったな。今日壱、弐組を集めたわけだが、目的を言う前に紹介する者がいる。....ミズホ。前に出て挨拶しろ。」
「はっはい!!」
ナミの呼びかけに答えた女性はナミの前に出る。
出てきた女性、ミズホは前髪で目元を隠し、色白、というよりは青白いと言った方がいいほど血色が良くなく、それ故に不気味な感じがしてくる。
((((まっまさか.....))))
弐組の生徒はほぼ全員、この女性が自分達にとって、どういった関係になるのか予想がつき、憂鬱になる。
「みみみみみ、ミズホと言います!にに弐組の担任です!!!.......よろしく(にっ)」
(((((.....怖い....)))))
ミズホは会心の笑顔を披露した。
それをみた生徒39人(一人を除いて)は、言葉にできない寒気を覚えた。
「わーい!!ランちゃん!!担任の先生が来たよ!優しそうでよかったね!」
サクラは本当に嬉しそうに隣にいるランに話しかけるが、当のランはなぜあんな不気味な笑顔に優しさを感じるのか、サクラの感性に若干の危なさを感じるのであった。
「....そっそうですわね....」
「さて挨拶は終わったな。それでは本題だ。今日、妖國から留学生がくる。妖族の鬼の子達だ。子だからと言って侮るな。彼奴らの潜在能力はすごい。なんせオウカ様の相棒と言われたキリツ様も鬼だからな。だが、決して弱気になるな。そのキリツ様を唯一諌めたのは英雄オウカ様だ。最初はその姿、力を見て萎縮すると思うが自分に自信を持つんだ。かと言って横暴にもなるな。彼奴らは我々にとって、仲間だ。その事を忘れずに彼奴らと仲良くするように。いいな?」
ナミはそう言って生徒の顔を確認する。
生徒たちに不満の色や気後れした気配がないか見逃さないように。
それは普段のナミを知っている者からすれば、ナミが緊張をしていることが分かるほどに露骨に出ていた。
だがそれも仕方のない事であった。
妖族の鬼。
鬼と戦い抜いた人族にとって、それはまさに恐怖。
人が力だけでは対抗することができない純粋な力。
その身体から溢れる膨大な術力。
その脅威はまさに天災と言っても過言では無かった。
その力を持った鬼の子供を迎えるのは、平和となり、交流を深めてきたとはいえ、人族にとって楽観視できるものではない。
特に鬼は妖國の中でも一番好戦的な種族。
何かしらの事件は毎年起こるのであった。
(去年は確か勝手に異種格闘技戦をやったんだっけか。....全く。今年はどうなるのだか)
ナミは今年も必ず何か起こる。
そう内心に思い、未だ自分の担任をキラキラした目つきで見つめるサクラを見つめるのであった。
この作品には日本の神話などのお話が今後独自の解釈で盛られていきます。




