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サクラ咲く。  作者: 好意 椎
学生編<平和>
18/26

入学式です!

校庭に着くと、そこには約40人程の生徒が周りを伺いながら、入学式の始まりを待っていた。

サクラ達のように何人かで集まって談笑していたり、立ちながら目を瞑っている者や腕を組んでいる者などがいる。

その中には先ほど絡んで来たサカキもいる。

サカキは取り巻きと思われる生徒とこちらを睨んでいる。

ジンはサクラにサカキ達が見えないようにする。

「どうやら私たちが最後のようですわ。」

「途中でめんどくさいのに絡まれなきゃもう少し早く着いたのにな。」

「ははは。なんかごめんね...」

「いやいや。サクラちゃんのせいじゃないですわ!ほら気にしない!えい!」

「らんひゃん!いひゃいれす!」

ランに両頬を引っ張られ変顔にされていると、校舎の方からカミーユととんがり帽子と黒いローブに身をまとった三十代くらいの女性がこちらに向かって来た。

「らんひゃん!かみーゆひゃんがきみゃひた!」

「もうサクラちゃんかわいいですわ!!!」

「へ!?らんひゃん!!」

「ランちゃん。落ち着け。さすがに怒られるぞ」

ジンに肩を掴まれ、正気に戻ると、ランは掴んでいたサクラの頬を離し、なんでもなかったように前を向いた。

「いっ痛かった...」

頬を良いように弄ばれたサクラは、少し涙目となり、頬をさすりながら前を向くと、タイミングよく、カミーユと女性が生徒の前に来た。

カミーユは何時ものように笑顔を振りまき、女性の方は真顔で生徒達を見ている。

女性は生徒達が全員自分たちを見ていることを確認してから話し始めた。

「みんな集まっているな。早速だが入学式を始めよう。....とは言っても、自己紹介とつまらない話しだから、適当に聞いておくように。まずは私の名前だが、ナミだ。諸君等の担任を受け持つことになった。自分で言うのはあれなんだが、毎年勘違いする奴がいるから言わざるを得ない。見た目は若く見えるが、この学園の先生を勤めることが出来るほどには強い。」

ナミは生徒に向けて、「自分は強い」と言い放つ。

その声には力みなどなく、ごく自然な形で、自分の強さに揺るぎない自信がある事がうかがえる。

「だからと言って、向かってくるなとは言わない。挑戦したいならして来い。私はそう言った若さは好きだ。だからその時は諸君等に、見た目で判断することの危なさを丁寧に教えてやろう。...ただ一つ気をつけて欲しい事がある。私は舐められるのが死ぬほど嫌いだ。舐めた態度で来た時は、....ふふ。.....気をつけるように。」

ナミは不敵な笑みを浮かべ、身体から術力を発生させる。

ナミの身体から出てくる術力は、黒く禍々しくナミを覆い、見ている生徒はそれだけで、飲まれてしまいそうになった。

「珍しいな。闇の属性か。」

「そうですわね。初めて見ましたわ。」

「わわわわわ!二人ともなんで普通なんですか!?」

ジンとランは、他の生徒とは違い、ナミの雰囲気に飲まれないが、サクラは完全に怯えてしまい、ランの後ろに隠れるようにしている。

(ほおぅ。私の脅しに平然としているとは。あれがナギの所の子供か....あの後ろに隠れているのが例の子か。)

サクラ達の様子を確認してナミは他の生徒も確認をする。

大半の生徒は雰囲気に飲まれていて、ナミとしてはがっかりな結果ではあるが、それでも数人は飲まれていなかった。

(例年に比べるとまあまあか。やはり、あの子の影響があるのか?)

ナミは生徒全員を確認して、術力を消す。

生徒はみんなほっとした顔を浮かべ、姿勢を正す。

これでアホなことをする子供はいないだろうと思い、隣にいるカミーユを見る。

カミーユは若干引きつったような笑みを浮かべながらこちらを見ていた。

次はあんただと目で訴え、ナミはゆっくりと目を瞑る。

自分の話しは聞く気ないんだなと、少々凹みつつも、気持ちを切り替え前を向く。

先ほどまでのナミの時とは違い、生徒達はみんな怪訝そうにカミーユを見ていた。

それほどエルフであるカミーユがここにいると言うことは、前例のない事であった。

「では次は私の自己紹介だ。私の名前はカミーユ。見ての通りエルフだ。今日からこの出雲学園の学園長になった。」

生徒達はみんなカミーユが学園長になると聞き、驚きを隠せずにいた。

「君たちの驚きもわかるよ。エルフと人族では使う術が違う。人族には人術じんじゅつ、エルフには精霊術。人族のものが精霊術を使うことはできないのはみんな知っているね。だから学園の先生は人族のみを対象としている。」

生徒はカミーユの言っている言葉を真剣に聞いている。

「だけど本当にそれだけでいいのだろうか?君たちは私が使う精霊術をどれだけ知っているかい?知識はあるかも知れないが、本当にそれが正しいのか理解しているか?はっきり言ってしまえば、君たちは精霊術のことを何も知らない。」

普段は笑顔のカミーユだが、今の彼は真剣に目の前にいる生徒に思いを伝えようとしている。

サクラは普段とは違うカミーユと、その言葉に釘付けとなる。

「だからこそこの学園にいる間、色んなことを知って学んで欲しい。人術だけではなく様々な知識は、やがて君たちを守る武器となり、また盾となるから。」

そう言い終わるとカミーユは真剣な顔から何時もの笑顔に戻る。

「さて、以上で私の自己紹介とお話しは終わりです。そして君たちの入学式も終わりとします。今日から学園長となる私が言うのもなんですが、より良い学園生活を送ってください。....ではこの後は教室に行ってもらうんですが....ナミさん。」

「....ふん。」

カミーユに名前を呼ばれたナミは、小声で何かをつぶやき、ゆっくりと目を開け、しゃがんで土に手をつける。

その瞬間、地面が揺れだしたと同時に、生徒達の間に土の壁が出現する。

40人いた生徒は土の壁により、20人ずつとなった。

「みんな。ナミ先生だから怪我なんかはないと思うが、驚かせて申し訳ない。この土の壁によってちょうど人数を半々にさせてもらった。今年は新入生の数が多くてね。2クラスにすることにした。この土の壁で同じ側にいるのが君たちのクラスメートになる。」

カミーユに言われ、生徒達は周りにいるクラスメートを確認する。

当たり前だがサクラ達3人は、いつも側にいる為、クラスが違うことにはならなかった。

「私から見て左が壱組。右が弐組とする。壱組の担任はナミ先生、弐組の担任は.....」

サクラ達3人は右側にいたので弐組となった。

サクラはなんとなく雰囲気が怖いナミが担任ではなくてホッとした。

が、いつまでも自分達の担任を言わないカミーユに少しばかり不安を覚える。

「......」

「「「......」」」

「すまん。」

「「「....へ?」」」

「....まだ決まってないんだ!はは!!」

「「「........ええええええ!!」」」

「ごめんね!」

カミーユは舌を少しだし、いたずらが成功した子供のような顔で弐組の生徒に向ける。

その顔は全く反省している様には感じられない。

「じゃあ誰が担任になるんだよ!!」

あまりの態度に、ジンは声を荒げる。

同様に他の生徒も声には出さないが不満が感じられる顔でカミーユを見る。

「大丈夫!もう候補の先生は決まっているんだ!ってランちゃん!?手に術力込めないで!」

「あら?すいませんですわ学園長。つい我を忘れてましたわ。」

ランも言葉では謝っているが、術力とは違う目には見えないオーラが彼女を覆っていて、これ以上刺激してはいけないとカミーユは悟る。

周りの生徒もサクラ以外は一歩、ランから遠ざかる。

「決まってはいるんだ!...とても優秀...だよ?」

「.....なんで疑問形...」

カミーユと生徒(ラン&ジン)の一触即発の状態を遠目で見ていたナミは、一つため息をつき、これ以上は時間の無駄と判断し、事の収束を図ることにした。

「はあ。少しは落ち着け。おいバカエルフ。お前の話は無駄が多すぎる。「ちょっ!?学園長で」黙れ。....ちゃんと担任は用意してある。そしてこのバカエルフが言う様に優秀だ。私が保証する。...だが性格に難がある。もともと研究職出身であり、対人スキルがない。」

ナミはカミーユとは違いスパっと言い切る。

教える事に大切な対人スキルがないと。

「.....ないんですか?」

「ない。」

「少し苦手だなーではなく?」

「ない。」

「.....」

生徒達は黙る。

不安を通り越し青ざめた顔になる。

優秀な者しか通うことが出来ない学園に入れたのに、肝心の担任は不安しか感じられない人選。

「安心したまえ。その担任の至らないところは私が補う。私は二組見るつもりだから。」

生徒の顔から少しだけ不安が消える。

短いやり取りだが、それだけでナミが優秀な術師と言うのがわかるからだ。

「では、これでクラス分けも終わったから、各自門のところに行って水晶登録をする様に。手順は守衛が教えてくれるから聞く様に。その後は各組に行き、待機。では解散。」

ナミの号令で生徒の皆は門のところに歩いていく。

サクラ達は登録を済ましたので、自分達のクラスメートを見る。

サクラは自分のクラスの中にサカキがいない事に安堵する。

ふと視線を感じ、そちらを向くと、こちらを見ている男の生徒がいた。

場所から言って壱組の生徒だがサクラは見たことがない。

普段なら目が合ったらすぐ逸らしてしまうが、なんとなく気になってしまい、目をそらすをしなかった。

他人の視線など怖いだけなのだが、初めて会ったその少年の視線に怖さはなく、むしろ暖かな気分にさせる。

「サクラちゃん?ボーっとしてどうかしたのですか?」

「へっ!?えっとあの子なんだけど...」

ランに話しかけられ、驚いて視線を外す。

ランにあの少年を見たことあるか聞こうともう一度少年の方を向くが、そこにはもう少年はいなかった。

「あっあれ!?」

周りを見渡しても少年は見当たらず、神隠しにあった様な気分になり少し怖くなる。

「どうかしたんですか?」

「....なんでもないです.....」

サクラは少年のことを聞くのをやめ、3人で教室に向かう事にした。

ありがとうございました!

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