守衛さんです!
校門を抜けると桜並木があり、新入生を迎えんと咲き乱れている。
サクラは自分と同じ名前の花に対して、その美しい姿に憧れを抱いた。
自分もこんな風に輝いてみたい。
桜の花びらの乱舞は、同じ名前である自分とは比較にならないほど綺麗に舞っている。
サクラは、先ほどのサカキとの一件で普段なら感じることのない劣等感を感じていた。
「サクラちゃん。どうかしたのですか?」
隣を歩くランがそっと声をかける。
優しく微笑むランを見て、サクラは抱きつきたくなる。
いつもサクラが困っていたり悩んでいると助けてくれるラン。
だけど先ほどのサカキの言葉を思い出し、伸ばした手はランに触れることなく下がってしまう。
「うんうん!なんでもないよ!桜が綺麗でボーっとしちゃった!」
「....そうですわね!見事な桜ですわ!」
寄生虫。
サカキからそう言われた時、返す言葉が見つからなかった。
それどころか自分で納得してしまった。
目の前で起こっていた喧嘩も元を正せば自分のせいだ。
「そう...だね!」
桜並木をもう一度見る。
自分はこんな風になれるのだろうか?
その疑問は口には出さない。
真実を知るのが怖いから。
「...サクラ様。この先に門があり、そこをくぐるとすぐ校庭だそうです。そこで校長の話を聞くみたいですよ。」
ジンは考え込んでいるサクラに声をかけ、思考の海から引き上げる。
きっと悪いことを考えている。
そう思い、あえて声をかけた。
長い付き合いの二人はサクラがこう言った雰囲気の時は、ネガティヴな事を考えている事など手に取るように分かっていた。
「...えっ!?あっそのわかりました!」
「ふふ!サクラちゃんはまたボーっとしてたんですか?あんまりボーっとしてるとくすぐっちゃうですわ!!」
「ひっ!?ランちゃんまって!ひゃあー!」
だからそういった時はこうやってふざけて、サクラの気を紛らわせている。
先延ばしにしているのは分かっているが、どうしたら良いのか、ジンとランは若い為、検討がつかなかった。
「おほん!では私も2人の中に入らせてもらおうかな!」
手をワキワキさせ、二人に近づくカミーユの前にジンが立ちふさがる。
「この変態エルフ。俺がサクラ様に触れさせると思うか?」
「ちょっとジン君。私を忘れてませんか?」
「......サクラ様とランちゃんに触れさせると思うか?」
「くっ!!仕方ない。今回は諦めよう。さて、門をくぐる前にこっちの守衛室に寄ってもらっていいかな?」
カミーユは門の右側にある守衛室と書かれた場所を指差す。
そこには人一人が入れるスペースの小屋があり、中には少し強面の人族がいる。
「彼はこの門を守っている守衛さんで、カグラ君と言うんだ!」
カグラと呼ばれた人物はちらりとこちらを向き、無言で軽く首を下げる。
門を守っているだけあって、迫力があるこの守衛は、ニット帽にタンクトップ、下は作業着とおよそ守衛には見えない格好だ。
だが相当鍛えてあるのと、素肌には傷跡が無数にあり、只者ではないことが分かる。
「......お前。誰だ?」
カグラはカミーユを見て、そう言いながら臨戦態勢に入ろうとする。
「ちょっ!?僕だよ!!今日からここの学園長になるカミーユだよ!!忘れたの!?」
カグラは首をひねり、カミーユをジーっと見つめ考える。
「....ああ。そう言えばいたな。物好きなエルフが」
「忘れないでよ....。話を戻すが、君達には水晶登録をして欲しいんだ。」
「水晶登録ですか?」
「ああ。この門は水晶登録してない者は通ることが出来ないんだ。だから今のうちに登録して欲しいんだ。本当は入学式の後、みんなで行うんだが...さっきのこともあるからね。」
そう言ってカミーユはカグラに頼み、奥から水晶を持ってきてもらう。
「この水晶に手をかざすだけで出来る。簡単でしょ?」
カミーユはサクラの前に水晶を持っていく。
サクラは言われた通り手をかざそうとするが、能力検査の時のように割ってしまわないかビクビクしていた。
「大丈夫だよサクラちゃん。これは割れないから。ね?」
カミーユの言葉に頷き、水晶にゆっくり手をかざすと、水晶から光が出てくる。
その光はまるで手のひらをスキャンするように動いている。
光が出て5秒ほど経つと、光はゆっくりと消えていった。
「よし大丈夫だ!これで門の横にある水晶に手をかざすだけで門が開くよ!やってごらん?」
今度は門の横にある水晶に手をかざすと先ほどと同じような光が出てくる。
こちらも5秒ほどで光は消え、目の前の門がゆっくり開く。
「ふああ!なんかすごいですね!毎回手をかざして門を開けるんですか?」
「いや。いつもは結界で入口を管理してるんだけど、今日はせっかくだから門を閉めたんだよ!こっちの方が迫力あるでしょ!」
得意げに胸を逸らし言ってくるカミーユにみんな苦笑いを浮かべつつ、登録を済ましていく。
「よし。これで全員OKだね!そしたら門の先がすぐ校庭だからそこで待機しててね!でわ!」
足早にその場を去るカミーユ。
「....なんか朝から疲れたですわ。」
「あれは、エルフのくせにテンション高いからな。」
「はははは...」
三人は守衛のカグラに頭を下げ、入学式を行う校庭に向かうことにした。
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