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サクラ咲く。  作者: 好意 椎
学生編<平和>
13/26

学園に行きたくないんです!

悩むサクラ、その気持ちは誰もわからない

「学園に行くのを嫌がってるって?」

食堂に先に来たジンは、さらに先に来ていたナギとランに先ほどのサクラとのやりとりを説明した。

ランはため息をつき、ナギは怪訝そうな顔をして話を聞いていた。

「はい。おそらくはあれのせいだと思います。」

ナギにも思い当たることがあり、その事を考える。

それはサクラ達三人がナギの家に来た時にさかのぼる。

基本的に力を認められたものは、15歳になるまでにまず、教養などを学ぶため、出雲小学園に通う事になる。

出雲小学園は、基本的にその年齢であれば身分など関係なく誰でも通う事ができる学園であるが、出雲学園の場合は術師としての才が認められたものしか通うことができない。

だが特にそれがサクラを学園に行きたがらせない原因となっているのだ。

「だけど一体なんでサクラ様は術が上手く発動しないのでしょうか?」



そうサクラは何故か、術を上手く発動できないのだ。


サクラ達三人は出雲小学園に通いながら、ナギの指導により、少しづつ術の勉強もしていた。

術の知識、歴史、構造などナギが知っている知識を三人に教えていった。

そして10歳になった時、術を実際に使う訓練を開始するのだが、他の二人はすんなり発動したが、サクラだけは術が完成することは無かった。

最初はサクラの性格から、術が発動しないのかと思われていたが、ナギが色々試したがどうやっても術は発動しなかった。

そして現在に至る。

サクラが学園に行きたく無いと言ったのはそう言った理由と学園の特色、そして自分の境遇のためだ。

人國では、術師の力量が高い者は國防を任され、その代わりに高い賃金とある程度の権力をもらい、その者達を貴族と言われている。

(権力と言っても、身分が自分達より低いからと好き勝手していいわけでは無い。)

そして貴族達は、自分達の地位を盤石にする為、積極的に才ある者達を養子にもらったりしている。

もともと優秀なものが通う学園でそのほとんどが貴族であり、そして貴族はその才能故プライドが高い。

さらにサクラはナギという人國最強、そして一番偉い人の養子。

さらに人國では名字は國の中でも上位の実力者とその家系しか名乗れない。

そんな要素があるため、サクラは学園なんかに行ったら何かと絡まれるのがわかるため、行きたく無いのだ。

「....わからん。こんなことは俺も初めてだしな。カミーユにもわからなかったみたいだしな。」

もともとナギ達が使う術は、身体から作られた術力を決められた言葉で変化させ放出する。

だがサクラの場合、術が上手く変化せず、暴発するように発動してしまうのだ。

普通こんなことは起こらない。

というのも言葉が間違っていたら、術は発動しない。

だが術そのものは、暴発みたいな形だが発動はしている。

そんな失敗例など前例が無い為、ナギですら原因がわからなかった。

それにサクラはオウカの生まれ変わりである為、ナギはあまり深くこの事を考えていなかった。

結果、サクラは術を発動させることはできなかった。

「とりあえず、術が使えないからと言ってサクラを手放すつもりも、守らないと選択するつもりも無い。変わらずサクラは俺の子供だ。この身に変えても守る。ジン、任せたぞ。」

そう言って鋭い目つきでジンを見る。

ジンも同様にナギを見て、頷く。

「....お父様。私もお父様の娘なんですけども。」

不意に隣から拗ねたような声で、話しかけてくるランにナギは、驚き、慌てて訂正する。

「も、もちろんランもだから!ジン!!!頼んだぞ!」

その慌てぶりは、いつも術を教えてくれる時の威厳がある姿とは程遠く、ナギも人なんだなと心で笑いながら、頷く。

そんなやりとりに拗ねていたランも、微笑みを浮かべて見ていると、食堂の扉の向こうから誰かがやって来る気配を感じたランは、無言で二人に視線を飛ばし、会話を終わらせるようにした。

二人も気配に気づき、扉を見ていると、控えめな感じで扉が開く。

予想通り、サクラだった。

「....おはようございます。」

サクラはいつもよりトーンの低い声で挨拶を言い、いつもの定位置に座る。

だが視線は上を向くことはなく、下を向き、皆を見ないようにしているようだ。

「サクラ、おはよう。」

「!?.....おはようございます。ナギ様....」

サクラはちらっとナギをみるが、すぐまた下を向いてしまう。

ナギは心の中でため息を吐いた。

サクラがナギの所に来て8年。他の二人は自然に接するようになったが、サクラだけは変わらず他人行儀だった。

だから未だにナギの事を父とは呼んでいない。

その寂しさと、サクラが何を考えているのかわからないため、どう接していいかわからなかった。

術を教えている時も、日常の会話の時も、ナギの考えがわからない。そんな時、ナギはいつも心の中で「姉さんはわかりやすかったのに」「姉さんは出来たのに」そんな風に考えてしまう時もあった。

だが、その考えがサクラが壁を作っている原因だとは気づかなかった。

サクラ自身、自分に自信がないので、どうしても他人がどう考えているのか?周りの人に迷惑をかけていないかを無意識で探ってしまうのだ。

そしてナギの考えも、本能的にわかってしまうので、どんどん悪い方に考えてしまい、結果他人行儀となってしまっていた。

「...んまあなんだ。そんなに学園に行きたくないか?」

「・・・・・・・・・」

「だがすまんがこれに関していえば行かなければいけないんだ。わかってくれないか?」

「・・・・・・・・はい・・・」

「一応学園にはランとジンを同じクラスにしてもらったから安心しなさい。」

「そうですわ。サクラちゃん。私達が一緒にいますわ。それとも私達では役不足ですか?」

「・・・・・(ぶんぶん)」

サクラは無言で首を勢いよく横に振り、ランの方を見る。

ランはサクラの近くにより、そっと頭を抱きしめ、撫でる。

ジンはそれを横で見つめ、サクラを必ず守ると心に誓う。

そういえば以前もサクラが凹んでいる時にランが慰めたことがあったなと思い出す。

やはりサクラにはランが必要なんだと改めて認識をする。

自分にはこんなことできないから。そうなってくるとサクラだけではなく、ランも守らないといけない。自分の守ると決めた誓いにランも含め、ジンは二人を見守る。

「さて、話も終わったし飯を食おうじゃないか。ジン。お前も同席しなさい。」

「はっ!ありがとうございます!」

そうして久しぶりに四人が席を囲み、食事を始める。

サクラは不安は残りはするものの、二人の存在、そして二人に出会えたことを感謝した。

「きっと二人がいてくれたら大丈夫だよね。」




だけどサクラ達はまだ知らない。

学園に通うことになり、ある者と出会い、そしてその出会いの果てに、全ての國を巻き込む争乱が起こる事を。


読んでいただきありがとうございます!

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