番外編ージン君目線です!ー
俺には気になる女の子がいる。
それは同じ孤児院にいるサクラちゃん。
彼女はいつもランちゃんと一緒にいる子で、ランちゃんとは違っていつもオドオドしてて、小動物を見ている気分になる。
だけど俺はそんなサクラちゃんが気になってしょうがない。
なんでだろ?
サクラちゃんと出会ったのが2年前だ。
2年前に両親が事故で死んじゃったから、俺は一人になった。
詳しい事は聞いてない。聞いても教えてくれなかった。
俺は両親が死んだ事が信じられずにいたが、二人の死んだ姿を見て、現実を突きつけられた。
そこからは正直あまり覚えてない。
気づけば孤児院に行く事になっていた。
そして孤児院に入ってすぐに、孤児院にいる人たちと顔合わせをする事になった。
20〜30人いる中にサクラちゃんとランちゃんがいた。
「よろしくお願いしますわ!ジン君!私はランと言います!あなたと同じ七歳ですわ!」
「よっよろしくお願いします....サクラです....おお同じ七歳です...!」
その他の子供や大人が次々自己紹介をした。
だが名前を言われても全然頭に入らなかった。
サクラちゃんやランちゃんでさえ、妙にハキハキした女の子とプルプル震えてる女の子としか思わなかった。
その時の俺はどこかおかしかったと思う。
なんと言うか心の中で暗い感情が渦を巻いていた。
そして孤児院にいる事自体が、ひどく憎く思えた。
もしかしたらこの孤児院の奴らが両親を殺して、俺をここに閉じ込めたのではないかと変な事を考えてしまった。
ヘラヘラ笑って近づいてくる奴らが憎かった。
自分がなぜここに居るのかと聞かれ、心の中で自分の辛い記憶を思い出させようとしているのではないかとも思った。
「あっあのぅ....これ!....」
俺は周りの質問責めに嫌気がさし、部屋を出ると後ろから声をかけられた。
振り返れば、小刻みに震え、目をつぶって何かを差し出してる女の子がいた。
手に持っているのは、俺が母親にもらったお守り。
今なら自分が落としたのだと思うが、当時の俺はお守りを取られたと思い激昂してしまった。
「かっ返しやがれ!!!」
俺はサクラちゃんからお守りを強引に奪い取り、そのままの勢いでサクラちゃんを突き飛ばした。
「きゃっ!!」
サクラちゃんは盛大に後ろに転んでしまった。
「はぁっはぁっ....あっ!?」
自分が何をしたか理解したが、それでも素直になれず、俺はサクラちゃんに背を向けて走って逃げた。
背中の方で「どうしたの!?ってサクラちゃん!!!」と言う声が聞こえてきたが止まらずに走って逃げた。
孤児院を飛び出し、ガムシャラに走っていたら、いつの間にか森に入っていて、自分がどこにいるかわからなくなっていた。
普段なら、入ったことのない森など危ないので、一人で入ることなどしないが、そんな事を気にしてはいられなかった。
女の子を突き飛ばした。
その事実が俺の心に重くのしかかる。
母親との約束に女の子に暴力を振らないと誓っていた。
それが強い男の人だと教わり、そして母親はいつもその後に父親の腕を抱きしめ、父親が強い男の人だと嬉しそうな顔で笑っていた。
父親は照れてるのかしかめっ面していたが嬉しそうに頬が赤くなっていた。
大好きな母親との約束を守れなかった事、大好きな両親と会えない事が、心をどんどん黒く染めていき、そして俺は耐えきれなくなり、その場でうずくまり、泣いてしまった。
ゆっくりと目を開ける。
どうやら俺は眠ってしまったようだ。
だが夢に母親が出てきて、久しぶりに甘えたような気がした。
どんどん意識が覚醒していくと、何か違和感を感じる。
俺はどうやら寝ぼけて、暖かい何かに抱きついて寝ているようだ。
いや、俺の頭を何かが掴んでる?
ゆっくりと目を開けて、上を見ると、そこには可愛い女の子の顔が近くにあった。
(えっ!?なんで!?....ってこの子は....)
目を見開き、顔をじっくり見ると、それは先ほど自分が突き飛ばした人物、サクラちゃんだった。
「悲しまないで....私がそばにいるから.....」
すると突然喋り出した。
起きてるのかと思い、びっくりするが、すぐに可愛い寝息がきこえてくる。
なんの偶然だ。そう思いつつ、ここから出ようとするが頭をホールドしている腕が取れなかった。
「大丈夫だよ。私は味方だから。」
もう一度自分の頭のところで声が聞こえ、本当に寝言なのかと再度顔を見たら、バッチリ目を開けたサクラちゃんと目があってしまう。
だがサクラちゃんは、朝やさっきのように、怯えてる表情は一切出さずにゆっくりと微笑む。
なぜか俺は、その笑顔を見れたことによってなのかわからないが安心してしまい、また寝てしまった。
翌朝、俺は気づいたら孤児院のベットで寝ていた。
孤児院の大人が見つけたらしい。
俺はトウコさんにこっぴどく怒られ、罰として一週間、孤児院の掃除をする事になった。
ちなみにランちゃんにもビンタ付きで怒られた。
もちろん俺は突き飛ばした事をサクラちゃんに謝った。
なんとか許してもらったが、何ヶ月間は怯えられた。
だがそれは仕方ない。自分がしたことなんだから。
不思議なことに森にいたのは俺一人らしい。
だがあの日の事は夢だとは思えない。
確かにあれはサクラちゃんだった。
だが、サクラちゃんに聞いてもサクラちゃんは知らないと言った。
まるで幽霊とあったような感じがしたが、それでも構わない。
あの日以来俺の心は霧が晴れたかのような気分になった。
ドス黒かった感情は、どんどん綺麗になり、気づけばサクラちゃんへの思いと変わっていった。
俺はサクラちゃんが気になり、いつも目で追うようになっていった。
そしてこの気持ちが好きだと思う気持ちだと気づくのに時間は掛からなかった。
そして能力検査の今日。サクラちゃんが英雄であるオウカ様の生まれ変わりと言う事が判明した。
魔族が復活すれば狙われるとも聞いた。
今度は俺の番だ。
必ずサクラちゃんを守る。
その為には、サクラちゃんのお供、従者になった方が都合がいいと思った。
そうすれば、いつでもいつまでも、そばにいてサクラちゃんを守れる。
大好きで大切で、愛しいサクラちゃんを。
その為なら俺の、ただ純粋なこの気持ちを......
魔族なんぞにサクラちゃんを傷つけさせるもんか。
俺はこの日、サクラちゃん。いやサクラ様の従者となった。心に決して折れぬ剣を秘めて。
すいません嘘つきました苦笑




