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 窓から射し込む朝日が私の意識を呼び起こす。今日もいい天気になりそうだ。


  「うみゃーあ。にゃ?」


 なんだかデジャヴを感じるが、ここ何処ですかね?えっと、私は今、昨日乗ってたクッションを入れたバスケットの中。近くに人間サイズのベッドと机、椅子がある。


  「にゃあ?(誰かの部屋?)」

  『ギルベルトの部屋だよー。』

  「ふみゃ!(びっくりした!)」

  『ごめんねー。』


 今日の精霊は青く光っている。昨日は緑で風だったから水の精霊かなあ。


  「にゃうにゃう。(イケメンさんは?)」

  『外で走ってたよー。毎日走ってるから日課じゃないかなー。』

  「にゃ!(ありがと!)」

  『どういたしましてー。』


 訓練みたいなものかな?んーどれぐらいで帰ってくるわかんないから暇だー。あ!部屋の探検しよっと!前の世界では無かったものが見つかるかも。


  「んみゃんみゃ。」


 この身体だとバスケットから出るだけで一苦労だ。とりあえず床に降りれたし、机に上がりますか。……これ、上がれるかなあ?


  『頑張ってー。』

  「にゃ!(うん!)」


 まず椅子にジャンプ。爪でしがみついてなんとか上る。次に机へジャンプ。ん?爪でしがみついたものって、布じゃ!?


  「ふみゃあああ!?(落ちる!?)」

  『あー。』


 ドサドサドサーという音とともに机から落下した私は無傷だった。


  「にゃあ?(なんで?)」

  『もー。危ないでしょー。』

  「みゃう。(ごめんなさい)」

  『怪我が無くてよかったのー。』

  「みゃ!(ありがとう!)」


 どうやら私が怪我をしないように見守ってくれていたみたい。反省します。……この書類と本の散乱した状態、どうしよう。


  「レディは無事か!?今の音はどうした!?……ってなんだこれは。」


 あ、イケメンさん。おはようございます。朝から申し訳ないです。これはですね、ちょっとした好奇心っていうか……ごめんなさいです。


  「っああ、そんなに鳴かなくても大丈夫だレディ。怪我はなかったか?机に大量の書類を置いていた俺が悪かったから気にしないでくれ。目が覚めて退屈だったんだろう?」


 ああ、罪悪感が。心にグサグサささります。本当にすいませんでした。もう探検なんて言い出しません。


  「本当に気にしてないから。そうだ!お腹減っただろう?食堂に行こう。まだ朝早いから人も少ないだろうし、丁度いい。」


 確かにお腹は減りましたが……抱っこして連れていってくれるんですか。ありがとうございます。んー、もう机の上に勝手に上るのはやめよう。……いい匂いがする。


  「おはよう。朝食を1人分と昨日と同じミルクを頼む。」

  「はい、おはよう。おっ、今日は噂の白猫ちゃん連れてるんだな!」

  「ああ。俺は朝早いから人が少ないと思ってな。」

  「いやあ、ちまっこいな!たくさん食べて大きくなれよー。」

  「にゃ!(勿論です!)」

  「おお!元気があって何よりだ!……はい、おまちどうさん。」


 食堂で働いていたのはおっちゃんだった。なんかラーメン屋してそう。おっちゃんは笑顔がかっこいいぞ!あとご飯凄く美味しそう!


  「ほら、レディ。ミルクだぞ。」

  「うにゃ!(いただきます!)」

  「ゆっくり食べろよ。……いただきます。」

 

 うん、美味しい!今日はよく寝たから眠くはならないけど!……イケメンさん、意外と食べるんだね。細マッチョってやつ?


  「にゃ!(ごちそうさま!)」

  「よく出来ました。ごちそうさま。」


 食器の片付けを片手でするのは危ないからね!イケメンさんの肩にしがみつきます!


  「今日も美味しかった、ありがとう。」

  「おう!……肩の落とすなよ?」

  「降りてくれないんだ……。」


 あ、さっきの廊下を戻るんです?……この扉はさっきのイケメンさんの部屋?あれ?昨日の部屋ですか?


  「少し執務机で待っていてくれ。奥からバスケットを取ってくる。」


 ああー、執務室の奥がイケメンさんの部屋だったんだ。なんでさっき気が付かなかったんだろう。……自己嫌悪してたわ。


  「レディ。机の上と俺の足元どっちがいい?」

 

 今日は人化の練習したいからなあ。急に人になった時、机の上だと落ちちゃうかも。


  「にゃう。(足元がいいです)」

  「机?……ああ違うのか。じゃあ今日は足元だな。大人しくしとくんだぞ。」

  「にゃ!(了解です!)」

  「いい子だ。あー今日の仕事は……。」


 大人しく人化の練習してますよー。人間の姿を思い浮かべればいいんだよね。むむー。


 __1時間後


 むむむー?出来ないんだけど?


 __2時間後


 あれ、すぐ出来るんじゃなかったっけ?


 __数時間後


 むがー!!出来るかこんなん!!


  「おーいレディ?お腹でも減ったのか?さっきからずっと鳴いてるけど。」

  「んにゃ?(鳴いてました?)」

  「ん、ちょっと待ってな。食堂行ってくるから。」


 確かにお腹が減った気がする。太陽も真上にあるみたいだしお昼かな?ううん、なんで人化出来ないんだろう。精霊達も頑張れとしか言ってくれないし。


  「レディ。ミルクだぞー。」

  「みゃ!(ありがとうございます!)」

  「俺も昼食に行ってくるからな。食べ終わったらバスケットの中でいるんだぞ。」

  「にゃん!(行ってらっしゃい!)」

  「怪我するなよー。」


 朝みたいなことはもうしません!ご飯食べて人化の練習です!今回のミルクも美味しいです。……お昼寝しようっと。


  「ただいま、って寝てるな。ははっ。口の周りにミルクがついてるぞ。よく寝て大きくなれよ。」


 __数時間後


 んん、話し声がする。イケメンさんと知らない人の声だ。


  「____。」

  「__。」


 足音が遠ざかっていく。あ、出ていった。


  「ふみゃ……。」

  「ん?あ、起きたか。おはようレディ。もう夕方だぞ。」

  「みゃ!?(そんなに寝てた!?)」

  「まあ猫はよく寝るし、レディは小さいからなあ。そんなに驚かなくてもいいんじゃないか?」


 身体は猫でも、中身は人間なんです。やっぱり寝すぎたかなあ。


  「さて、起きたばかりだがもう夕食の時間だぞ。まだ早いからレディを連れていけそうでなによりだ。」


 感覚的にはさっき食べましたよ。行きますけどね。


  「手に乗ってくれって、やっぱり肩に乗るのかあ。落ちるなよー?」


 イケメンさんの肩に乗ると目線が高くて楽しいのだ!頑張ってしがみついておきますね。


  「夕食1人分とミルクを頼む。」

  「はいよ!」

  「ああ、ありがとう。」

  「肩の猫ちゃん落とすなよー。」

  「気をつけるよ。」


 夕食も美味しそうですね!おっちゃん料理上手いね!


  「いただきます。」

  「うにゃ!(いただきます!)」


 なんだか周りがざわついてるけど、今回もミルクが美味しい!朝よりうるさいなあ。夜だからかな?


  「にゃ!(ごちそうさま!)」

  「……ごちそうさま。帰るぞレディ。」

  「にゃー。(はーい)」


 イケメンさんの肩に掴まります。溜息つかないでください。やめませんけど。


  「俺はまだ仕事があるから先に寝てていいぞ。おやすみレディ、いい夢を。」

  「みゃう。(おやすみなさい)」


 さっきまで寝てたのに、また眠くなってきちゃった。子猫の身体は睡眠時間が多いなあ。結局、人化出来なかったや。また明日から頑張らなきゃ。ん、おやすみなさい……。


  「……いつもより食堂に人が集まってた。朝にいた者が広めたか?ううむ。全員目が獲物を狙う目だったぞー。まあ、撫でたい気持ちは分からんでもないが。あの人数で押し寄せられたらレディが死んでしまいそうだからなあ。はあー。」

次はレディがイケメンさんをギルベルトって呼ぶようになってからの話です

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