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初投稿です。
完結まで頑張ります。
私は何処にでもいる普通の女子高生だ。成績も容姿も家族関係も平凡。部活が陸上部だったから、人より少し走るのが得意なだけ。
そんな私は車に轢かれて死んだのだろう。
目の前にいた女の子の代わりに。
助けられるとは思わなかったし、助かるとも思わなかった。
ただ咄嗟に身体が動いたのだ。人より速く走れるだけの身体が。
女の子を突き飛ばし、呆然とする女の子に笑ったのだろう。よかった、と。
その後に身体に受けた衝撃と誰かの悲鳴。身体から何かが流れる感覚に霞がかった視界。
救急車のサイレンをどこか遠くで聞きながら、私の意識は途切れた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「______。」
……誰かの声が聞こえる。
「____。」
……あれ?私、死んだのでは?
「__。」
あっ、まって。置いていかないで。
「__。」
お願い、まって。ねえ。
「うにゃっにゃ!……にゃおん?」
……ん?今、私が喋ったよね?猫の声しなかった?
「……にゃ、にゃにゃう!?」
やっぱり!?っていうか私が猫になってる!?え、え?さっきまで女子高生だったよね?人間だったよね?
「にゃうにゃうにゃー。」
あ、猫だわ。猫になってるわ。口に出す言葉が全部猫語になるわ。あー鳥肌立ちそう。猫って鳥肌立つのかな。ははっ。
__数十分後
状況確認をしよう。
えっと、私は車に轢かれて多分死んだ。それで、目が覚めたら猫になってたと。
今いる場所は教会みたいなところで、多分森の中。窓から見える景色が木しかないんだよね。
自分の身体は見える感じ白いので、白猫だと思われる。目の色は見えないし分かんない。
……問題はさっきからチラチラと視界に映る“ナニカ”だ。いや、なんとなく検討はついてるんだけど、認めたらなあ。“ここ”が元の世界とは違うって言ってるようなもんだもんなあ。んー、まあ話しかけてみますか。
「にゃうにゃう。(ねえねえ)」
『『っきゃー!!可愛い!!』』
「にゃう?(あの?)」
『なになに?どうしたの?』
「にゃんにゃん?(貴方達はなに?)」
『私達?私達は風の精霊よ。』
ああ、やっぱり。見た目が某勇者のお助け妖精にそっくりだもんなあ。
「うにゃうにゃ?(ここは何処?)」
『ここは私達精霊が住む森の中にある教会よ。教会は人間が建てたんだけどね。』
「にゃにゃ?(私って猫?)」
『ええ、とっても可愛い真っ白い子猫よ。流石私達の愛し子ね!』
ん?今、転生話でよく聞く単語が。
「にゃん?(愛し子?)」
『そう、愛し子!私達精霊は白色が大好きなの。それは精霊王様の姿が白いからなんだけれどね!まあ、白色が大好きな私達は白を持つものには惹かれやすくて、ついつい近くで力を貸してあげたくなるの。だから白を持つものは他のものより魔法が使いやすくなったり、幸運になったりするわ。』
「にゃおん?(私も?)」
『勿論よ!貴方は身体も目も真っ白だもの。精霊達が沢山寄ってくると思うわ。』
「うにゃ、にゃ。(そっかあ)」
よく聞くチートかな?ありがとうございます。……異世界に来たって認めますよ。ええ。ここは異世界です!異世界転生しました!チートキターとか思ってます!……勿論、あっちの世界に未練はあります。だけど戻ったとして、私の身体が生きてる保障なんてない。だったら猫の身体だろうとこっちで生きてやるってことですよ。
『あ、来たかしら?』
「んにゃ?(え?)」
私はなにが、と問いかけようとした。閉じていた協会の扉が、誰かの手によって開けられるまでは。
「っ!?」
見えたのは騎士のような人達。私とは身体の大きさが違う人達。
「ふー!?」
帯剣していた。逃げろ。怖い。私の猫の本能が人間に対して警鐘を鳴らす。
「__全てが白い、ねこ。精霊の愛し子。そうか、砦に来た精霊はこれを教えに来たのか。」
先頭にいた青年が近寄ってきた。耳が後ろに下がり、口から呻き声がでる。
「ゔうー!(近寄るな!)」
「危害を加える気は無いよ。怖がらないでくれないか?」
手が。大きな手が。やめて!こないで!
「っう。」
……あれ?今、私、何をした?
「怖くないぞ。」
あ、手に傷が。え。私、引っ掻いた!?
「うにゃにゃ!?(大丈夫ですか!?)」
「ん?どうした?」
猫の本能に従って引っ掻いちゃった。悪いことしたなあ。もう落ち着いたし大丈夫。
「にゃうにゃう。(ごめんなさい)」
とりあえず、手舐めとこう。
「心配してくれるのか?ははっ、優しいんだな。」
「にゃうん。(引っ掻いちゃったしね)」
ん、頭撫でられた。あー気持ちいい。思わずゴロゴロ言っちゃうよ。
「白い猫か。精霊が教えに来たってことは、外に出してやってくれってことだよなあ。あーどうするかな。……とりあえず砦に連れて行くか。」
ん?どこに行くんです?もっと撫でて!
「よーし、ちょっと大人しくなー。」
「ふにゃ?(抱っこ?)」
おや?籠に入れられたぞ?
「砦にはすぐ着くからな。」
「うにゃ?(馬?)」
あ、ちょ、ま。速い!速い!?
「ふみゃあああああ!?」
猫の身体でこの速度はやばい。
「ふみゃあ……。」
私は思わず意識をとばした。