えぴろーぐ
『豪華な黒い日記』一日目より
思うに、人というものは、なんだかんだで共に生き、共に笑い、共に泣く。
そして、なんだかんだで共に死ねる生き物なのだろう。
私が見てきた人たちは、変わった人ばかりだったように思うけど、それでも人間らしく生きれる人達だった。大多数の人達から嫌われるような人達だと聞いたけど、それも彼らのせいでなく、生まれや出身、容姿などの本人達の人格的な部分ではなかった。そんな彼らでさえ、人間でない、人でなしだと拒絶されるような人達で。それなら、人間ではないモノは?おとぎ話に出てくるような、恐ろしい怪物や、子供を攫う妖精は?
人の形をしているだけの、人間ではない私はどれほどまでに嫌われるのだろう。
おとぎ話に出てくるヴィランズは、好き好んで悪役になったのではなく、そうせざるを得なかったのではないのか。本当にヴィランズだけが悪かったのか。
私は小さい時から『白雪姫』が好きだったけど、みんなから愛される白雪姫は好きじゃなかった。私が本当に好きだったのは、白雪姫を殺そうとする嫉妬の女王だった。
だって彼女は努力した!ただの生まれつきで全てを得た無能な姫と違って、彼女は努力したのだ!
………だけど努力はいつも報われない。彼女は女王だったのに、国で一番偉いはずの彼女が自ら手を下さなければならないほどに、彼女以外の全ては白雪姫を信じた。物語の最後、女王はとても酷い目に遭う。そうして、美貌で自国の全て、隣の国の王子さえ我が物にした魔性の女は悲劇のヒロインとなった。
こうしてみると、白雪姫こそが魔女にみえるのに、どうして彼女を被害者などと思ったのだろう。