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例えば私が形容詞も副詞もつけずに、
殺してって言ったって、
誰も私を殺しはしないから、
安心して、軽率にそんな言葉を吐くことができるの。
痛いのはいや、痛いのは嫌なの。
言葉の力を信じているふりをしていても、
わたしは簡単にそんなことを言おうとするから、
形容詞と副詞を目一杯くっつけて、一人称代名詞をくるくると入れ替えて、暗喩と直喩をぐちゃぐちゃに混ぜて、知らないことを知っているふりをして、そうやって、こんなことをする。
直接的に言うのはいやだから、不安になるから。
無駄なこと、意味の無いこと、全くもって、
全く、なに?
わからない、知らないことを無理に言おうとして、
毎日こんな思いをしているの?
要らないものをさっぱり捨ててしまえるヒロインが羨ましい。
ときには、体も、記憶も、存在も、自分の思いひとつで消し去る力を持つ彼女達は、それでも、気にかけてくれるヒーローがいるもの。
私は?私は誰にも気にかけられなくてもいいのに。
一人でいいの、ただ、
ただ……なに?