第三章 晴々兎茶3
兎茶はもう少し休んでから遅めの夕食を取るというのでわたしは部屋を辞した。
兎茶と話せて良かった。初志貫徹。やっぱりいけないことだよ、お兄ちゃん。少なくともわたしは納得していないから。
調査は継続する。
わたしはごちゃついた頭を整理する為、今日一日起きたことと、自分の考えを簡潔にまとめてスマホのメモ帳アプリに書き込みそれから寝た。
翌日。
寝ぼけ眼を擦って居間に降りると、ママの姿は既に無かった。スマホを見て、みんなの予定を確認する。学生は休日だけど、それ以外はお仕事だ。お勤めご苦労さま。
「えーっと今日の家にいるのは……」
『まちきっちゃん:部活行ってくるね。今日は夕ご飯まで戻らない』『お兄ちゃん:家で勉強』『莉菜姉:同じく』『きいちご:いちごと詩舞でプールに行くわ。戻るのは十四時くらいになるんじゃないかしら?』『碧姉:あたしも行くー』『いちご:だったら、碧に車を出してもらうわ。昼過ぎには戻れるわね』『きいちご:で? ほっぺは?』『碧姉:寝てるんじゃないの?』『いちご:そうね。起こしに行ってあげようかしら』
ちなみに詩舞ちゃんは携帯を持っていない。まだ七歳だしね。
やがて下で玄関が開く音がして、どったんどったん廊下を走る音が聞こえたかと思えば、今度はノックもせずにわたしの部屋の扉が開いた。
「なんだ。起きてるんじゃない」「用意して行くわよ」
きいちごといちごがやってきた。アクリルの透明な水着袋も肩に背負って準備万端である。玄関からは、「早くー!」と、詩舞ちゃんの声がする。
「おはよ。わたしはいいかな」
ひらひら手を振る。行ってらっしゃいの意味を込めて。
「行かないの?」「行かないの?」
二人して急に塩らしい顔をする。こういうところがなー。ずるいよねーこの二人。普段あんな生意気な癖して。
わたしは俯いた二人をちょいちょいと手招きする。双子がおずおずと近寄ってきたところを優しくハグしながら言う。
「んーとね。去年の水着入らないの。ちょっとぴちってて恥ずかしいし。また通販とかで注文しとくから、今度行くとき誘ってよ。あ、別に太ったんじゃないからね。サイズ合わないだけ」
「ふうん」「ふうん」「なんだ」「そういうこと」
きいちごといちごの二人は、わたしの腕の中で顔を見合わせたかと思うと、徐々に笑顔になった。
「いいわ!」「仕方ないわ!」「でも注文するんじゃないわよ!」「私たちで選んであげるわ!」
そう言い残し走り去った。
なんだかんだ言ってあの双子もかわいいよね。お兄ちゃんの毒牙が掛かる前に、わたしが守ってあげなければ。
さて。困った。
碧姉が行ってしまった。帰ってくるまで何してよう。
莉菜姉がいるな。でも勉強するって言ってるしなあ。それに莉菜姉に訊くのにも、そのまま訊くってわけにはいかない。結構疑り深いし。
「絡め手でいってみましょっか」




