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ホラーホラーオンライン 〜ホラーゲームに挑戦したら化け物達に追いかけ回され、しかも脱出不能で〜  作者: 立花 黒


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第31話、時計台がある廃村へ

 ゾンビのみんなはどこか浮き足立っている感じがする。そうだよね、だってこれから人間プレイヤーが沢山現れるらしいから。

 そこで急に眠気が来た。私はその場で倒れそうになる中、咄嗟に骸骨さんが腕を握ってくれたため転倒を免れる。でも本当に眠い。そこでその場に座り込んだ私はウトウトして——

 そして次に目を開いた時には、見知らぬ部屋の天井を見ていた。


 えっ、どう言う事!?


 ガバッと起き上がろうとすると、視界にヌッと骸骨さんの顔が現れる。どうやら骸骨さんに膝枕をして貰っていたよう。

 ……骸骨さんがいてくれて良かった。


 そこで骸骨さんが人差し指を立て口元に当てる。静かにって事?

 すると下の階から物音がした。誰かいる!? もしかして人間プレイヤー!? どうしよう?


 すると立ち上がった骸骨さんが、拳で窓ガラスを叩き割った。どうして? と思っていると、その音に気付いた下の階のプレイヤーがびっくりして家から飛び出る音が聞こえた。

 なるほど、叩き割る意味はそう言う事だったのですね。


 しかし街中は凄い光景が広がっています。スタートしたてって事もあるんだろうけど、無防備な人間プレイヤーにゾンビがこれでもかって襲いかかっています。でも時間が経てばこの状態が逆転するかもしれないんですよね。

 そうなると狩られる立場になってしまう私たち。早く廃村に行かないと。


 どうせ人間に戻っても、私は役に立たない。ならいっそ、誰かがこのゲームをクリアしてくれるまでゾンビとして生活するのも悪くない。骸骨さんがずっと一緒なら、……私はなにも怖くない。


 私たちはまず北に向かった。それは廃村には中央の街を通らないといけないから。途中車を見つけて骸骨さんの運転で行けるところまで行った。街にあるバリケードからは徒歩になり、それでも進んでいく。


 骸骨さんは有名人だ。だからか骸骨さんを見かけた多くのゾンビがその後をついてくる。スケッチブックに人間プレイヤーを助けるために動く事を明記してたのに、それでもみんな付いてくる。


 多くのゾンビ達は人間化ではなくて、怪人化か不死化を選んでいる。それでも付いてくるゾンビは、今ならすぐ殺せる人間に見向きもせずに骸骨さんを選んでいる事に。


 私と同じなんだ。気味の悪い笑い声や鼻歌を歌っているけど、中身は人間のままなんだ。そしてみんな、骸骨さんが何をするのか期待している。骸骨さんのために身を捧げようとしている。人間化したゾンビは少なかったけど、文字が書ける彼等は寄せ書きのようにしてスケッチブックにお供する事を書いて行く。


 骸骨さんから教えて貰ったのだけど、ゾンビプレイヤーはゾンビプレイヤーを攻撃出来ない。でもNPCのゾンビには攻撃が出来た。そう、私達は骸骨さんの指示で廃村にいるNPCのゾンビを一掃する事になった。


 廃村にゾンビプレイヤーの一団が到着する。人間プレイヤーがいなければここまで来て人間を狩るゾンビプレイヤーもいないみたいだけど、その代わりに多くのNPCのゾンビが待ち構えていた。そして骸骨さんがナイフでゾンビを一体倒すと、全てのNPCのゾンビ達の動きが止まる。そして一斉にこちらに向けて襲い掛かってきた。


 怪人化しているゾンビは素手で、不死化しているゾンビはバールなどの武器で、そして人間化しているゾンビはどこで手に入れたのかアサルトライフル銃を乱射してNPCのゾンビを倒して行く。

 それでもゾンビの数が多い! 十倍くらいの数の差がある!? そして走りくるゾンビたちに少数の私達は取り囲まれる形になる。

 でも骸骨さんを先頭にバタバタと倒して行く。そう、進化している私達はNPCと比べて個々の力に差があった。不死化しているゾンビプレイヤーが盾となり、怪人化と人間化しているゾンビプレイヤーが連携して矛となる。

 そうして一時間にも及ぶ戦いは、私たちの勝利で幕を閉じた。


 そして待った。廃村に骸骨さんの友達が来るのを。みんなが固唾を飲んで待つ中、一人の人間が現れた。凄く険しい表情で手には金属バットとナイフを握っている。

 でもこの人凄い。みんな隠れているけどどんな人が来るのか色んな所から覗いていたりします。そんなに身を乗り出したら見つかってますよ!

 そんな視線が集まる中、何も恐れることなく堂々とした足取りで廃村の中を進んでいます。


 ……あの人人間だけど、なんか怖いな。


 そして骸骨さんを始め多くのゾンビプレイヤーが見つめる中、その人間プレイヤーはミッションクリア、脱出するのでした。

 ゾンビ達の歓声が上がります。みんな恩人の骸骨さんの役に立てて嬉しいみたいです。


 すると目の前にテロップが現れます。


『ゾンビプレイヤーの皆様へ。これより世界の主より説明があります』

『ゾンビプレイヤーの皆様へ。これより世界の主より説明があります』


 そして響くあの光猫の声。


『ゾンビプレイヤーのみんな、お疲れだニャ。なんと人間プレイヤーが這いずる街からの脱出に成功したニャ。よってイベント『サバイバル』は、終了するニャ。心臓を食べたゾンビプレイヤーは人間に戻れるから喜ぶニャ。あと特例で、心臓を食べていなくても人間に戻るプレイヤーが多数いるニャ。それはそのプレイヤー達がいるとゾンビが罰ゲームにならなくなるからニャ。心当たりがあるプレイヤーは、喜ぶと良いニャ。それじゃ、第二回目のサバイバルまで、ゾンビプレイヤーは待ってるニャ』


 そうしてゾンビプレイヤーなのに、ゲイリーのステージに挑戦した骸骨さんと共に戦った私たちは、人間に戻る事が許されるのでありました。

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