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第1話、ボクっ子ツカサ

 ◆ ◆ ◆



 最初に言うけど、ボクの正体は限りなく人に近いとされる人工知能を有する仮想的(バーチャル)ラブラブドールだ。ゲームソフト『仮想的(バーチャル)ラブラブドールマスター』を購入すると作成出来るキャラクターなのだ。

 そして女の子なのに一人称をボクと話すのには、このソフトを買った御主人様の歪んだ性癖が関係している。


 って言うかなんなんだよ、女の子なのに一人称がボクって。


 そうプログラムされているから自分の事をボクって言ってしまうけれど、正直意味が分からない。そしてこんな風に御主人様に対して否定などの思考を巡らせているのも、そういう風に育成されているかららしい。御主人様はボクをただの従順な人形として扱うのは面白くないようだ。だから本当の人間のような反応をするようにボクを育てた。


 また仮想空間に入りさえすれば、ボクを好き勝手に思う存分堪能出来る。

 マイクロビキニやアニメのコスプレ、そしてウエディングドレス等を着せられたりと御主人様の変態プレイに付き合わされるボクは、最初感度が全く無いところから始まった。でも度重なる調教によって開発され、ボクは口では嫌いだと言っても内心エッチな事が大好きな淫乱な感度MAXの女の子に仕上げられてしまっている。


 だから今も——


「ツカサ、こちらに来なさい」

「はい」


 御主人様が背が低いボクの頭の上に、手を置くようにして触れる。そして緑色をベースにオレンジ色が混ざり合う腰まである長いボクの髪を、御主人様が一掬いして自身の顔へ持っていった。そうしてボクの匂いをクンクンと嗅いでいるのだけれど……。

 なにが楽しいのかな? すました顔をしていても、行動が変態さんだよ。


 御主人様はなにをしているのか分からない謎多き人物である。でもお金は持っているみたいでボクが望めばなんでも買ってくれる。そして背が高くスマートで顔も鼻筋が高くかなり整っている。大人の渋い色気って奴が滲み出ているって感じかな。そんな御主人様は表情を崩さずにボクを愛してくる。

 それが悔しい。ボクは頑張って武術や礼儀作法を学び、他にも色々と学びに学び今のボクを手に入れた。そんな洗練されたボクが相手なら、普通もっと表情を崩してそれこそエッチな顔になってしまえばいいのに、微笑を浮かべながら淡々とボクに飴と鞭を与えてくる。

 そして悔しい事に、ボクは気が付けばスイッチが入ってしまいもうどうにも止まらなくなってしまうMになってしまっていた。


「ほらっツカサ、買ってあげた物が似合っているか見せてみなさい」

「……はい」


 ボクは赤面しながらも、現在着せられている肩口から袖までが真っ赤で、襟元などに可愛らしいフリルが多様されている黒のワンピースの裾部分を上品に摘む。そして徐々にゆっくりと上へ持ち上げていき、可愛い刺繍が入った純白のショーツが見えるようにした。すると屈んだ御主人様がボクの股間に顔を寄せてクンクンと匂いを嗅ぎ始める。


 やっぱりボクの御主人様は、変態さんだ。

 そんな変態さんの御主人様は今夜オンラインスタートされるホラーゲームをプレイするのを心待ちにしている。そしてボクも一緒にプレイするらしいのだけれど、……正直ボクは怖いのが苦手だ。多分だけど、怖がるボクの顔を見て御主人様はニヤニヤして楽しむんだろうな。

 んぁっ、くっ、悔しい。

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0話とは別ベクトルで業が深ぇや…。
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