第七話 レイナちゃんの作戦会議!!
アース・スターノベル大賞に応募しました。
2万字弱しか書いてないけどいいのかこれ?
追記 ルビ振りはあきらめた
「改めて作戦概要を説明しよう」
ロベリオがそう言い周りを見つめる。
ここにいるのは各部隊の隊長格の人間たちと勇者のみ、総勢11名の騎士団.魔術師団.冒険者の寄せ集め集団と王子だ。
「それぞれ5人ずつの部隊を魔王城前で集結させ総勢50名の大部隊で挑む…というのはすでに話したと思うが、今日はそれ以外の具体的な話をしようと思う。まず最初に、そこに居る見慣れない顔の女の子は新たに入ってくれたSランク冒険者だ。勇者と同じ部隊に配属されることが決まっている、僕の認めた子だ」
ロベリオの「自己紹介を頼む」との言葉に続いて、コホンと一拍置いた後に話し始める。
「初めまして、レイナ・ファー・シャールズと申します。魔術師団の方々には及ばないとは思いますがよろしくお願いいたします」
「そして!その親友の勇者…」
「お前は黙ってろ…!」
勢いよく勇者の口をふさぐ。勝手に赤の他人から親友にグレードアップしないでくれないかなぁ……
「あいつ…勇者様に敬語を使わないだと!?」
「その上発言を中断させるだなんて!!」
嫉妬と怒りが混じったようなひそひそ声がかすかに聞こえてくる。
勇者とは平和のシンボルであり、国民全員の憧れであり尊敬すべき対象。勇者様の死を望むイカれカルトもいるらしい。今後はなるべく尊敬してる"風"を出しておこう。
「急に口を触るだなんて、キスでもしてほしいのか?」
「悪寒がする鳥肌が立つ気持ち悪い」
前言撤回、こいつに敬語なんて絶対無理だ。
「さて、次の話題に移ろうか。わざわざ部隊を分けて魔王城に向かう理由について…みんなには簡単なことしか伝えていなかったが、一番の理由としてあるのが魔王軍幹部の存在だ。数年前の戦で魔王軍の大半と4人の幹部のうち3人は撃破したが、逃してしまった序列一位の幹部が魔王城へのルート上で目撃されている」
ロベリオの発言により緊張が走る。
序列一位の幹部はほかの魔族や魔物とは次元が違う。その理由として魔王軍の幹部に抜擢される条件に、種族が『大魔族』というものがある。魔族の完全上位種…魔族100体が集団で戦ったとしても話にならない人類の敵、それが大魔族だ。
「10部隊のうち1つはほぼ確実に遭遇すると思ってくれ。この作戦は、僕の知る限り最高峰の人材と装備で挑むつもりだが、それでも勝てるかわからない」
「それなら、50人全員で戦えばいいんじゃないですか?」
大剣を担いだ冒険者が声を上げる。
「その作戦も考えた…だが問題は相手の使用魔術『獄炎砲』の存在だ。この魔術は炎系譜の最上級魔術である獄炎球の術式を書き換え改造したもので、高威力広範囲長射程かつ詠唱も高速化されている。以前観測された際の計測によれば威力は獄炎球の10倍…唯一の弱点は膨大な魔力消費だが大魔族の保有魔力量的に考えると数発は飛んでくる」
…通常、魔術の術式を改変してオリジナルの魔術を作ることは下級魔術ですら難しい。
魔術の内部術式というのはそれほどまでに複雑なのだ。
だからこそ、自らの権威と実力を示すため歴史上の大魔術師は人生の大半をオリジナル魔術の開発に捧げる者がほとんどだ。そしてほとんどの魔術師は自らの寿命の短さを悔いながら死んでいくらしい。
それにしてもオリジナル魔術か…
実際に見たら俺も何かしらアイデアが湧いてくるかもしれないし、何より見てみたい!!
以前に喰らったから分かる…獄炎球の10倍というのがどれほどの威力なのか、そしてどれほど面白いものなのか…
「君は魔術が好きなんだな。今の話を聞いて笑っているだなんて」
隣に座っていた勇者が小声でつぶやく。
真面目に聞いてたはずなんだが、どうやら表情に出ていたらしい。
「まあ何というか…一つの趣味みたいなものなんだよ。『新しい魔術を見てみたい』って気持ちがものすごく強いって感じで」
「なるほどね。要するに君は…こうして欲しいわけだ」
「え?いったい何を…」
俺が言葉を言い切る前に勇者が軽く手を上げ、周りの緊張した空気を乱し、からかうような目線を俺の方に向けた後、トーンを変えて発言した。
「先に俺たちの部隊を向かわせてくれ。魔王軍幹部の生き残りは、俺たちが無力化する」
「本気で…言っているのか?」
あまりの唐突な発言にロベリオが狼狽える。
そりゃそうだ、ロベリオの説明を聞いて相手がどれほど恐ろしい存在かを思い知った各部隊の隊長たちは、自分たちの部隊が貧乏くじを引かないように祈ることしかできないほどにおびえ切っている。
「今の説明を聞いていただろう!?挑むにしてもそれこそ大人数で戦うべきだ!!5人で挑むだなんてそんな無謀な事……」
「大丈夫だ。この俺が居る」
……ロベリオの発言を遮り放たれたその短い一言はその場の不安を吹き飛ばした。
周りの顔が安堵に代わり、緊張した空気が一変する。
「……分かった、その作戦で行こう」
少しの沈黙の後、ロベリオがしぶしぶOKを出した。
その時の俺は、唐突に重役に抜擢された緊張よりも、新たな魔術や魔族を目の前で見れることに対する興奮のほうが勝っていた。
「ほら、これでよかっただろ?」
隣でニヤニヤ笑いながらそう言ってくる勇者に対して俺はクスッと笑い返す。
「勇者もたまにはいいことするじゃん」
「初めて褒めてくれたな、親友」
「…ほめてないよ」
俺は勇者の肩をペシッとたたき、その後の会議を聞くのだった。
SPIDERMAN2をやり始めたので投稿遅れるかもしれん