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第五話 暗雲までもう一歩

「こ……これはっ!!伝説級の竜『フォンバ』の素材じゃ無いですか!?どこで手に入れたんです!?も…もしかしてですが……貴方が倒したんですか!?」


冒険者ギルドの受付嬢の人が目を輝かせながらこっちをガン見してくる。


「い…いやその…ソラさんが手伝ってくれたんですよ!!彼女はとっても頼りになる方で~~」


まるで「そんな重役を押し付けるな」というような鋭くもあきれられたような目線がソラのほうから飛んでくる。許せ…流石に"突然現れた新人が一人で龍を倒した"なんて話が広がったら虚偽報告だなんだと騒ぎ立てる輩が出てくるかもしれない。そしたらアイシャにも飛び火するかもしれないし、家名にも傷が付く事になる。元々「家のほうには迷惑を掛けない」という約束で冒険者になることを許してもらっていたしな。


「へえ~そうだったんですかぁ~~……しかし!!あの灼竜と対峙して生き残ったというだけでも相当な実力者とみていいでしょう!!それに、魔力量『測定不能』の測定結果も希少性も言うまでもないですし……まあ…今日はゆっくり休んで、また明日ギルドに来てください。素材の売値や冒険者ランクの増減についてはまた明日お伝えしますね!!」


なんか嫌な予感はするが、ひと段落ついたという事でいいのだろうか?

そうして、不安と達成感を胸の奥にしまいながら帰路に就くのであった


~~~その少し後~~~

「さて……大事な話をしましょうか」


目の前の女が重々しい風に腰を下げる。


「どうでしたか?ソラさん、数十年ぶりの『測定不能』は…」


「……化け物だったよ。正直、本当に灼竜を倒しちまうとは思ってなかった。」


「それは…何とも扱いに困るというか。まあでも、よかったじゃないですか。あの森に強大なモンスターが住み着いてしまうと物資の運搬ができませんしねぇ…新しい冒険者の発掘も国の物流改善も同時に解決です!!」


「あのなぁ…有能そうなやつを見つけたら危険な任務にノータイムで送り込むのやめろよな…それで何人死んだと思ってるんだか!!」


正直な話、あたしも送り込まれた口だ。その時の任務は相当危険なものであったようで、それ以来A級冒険者として有能そうな新人の付き添い係にされている訳だ。


「コホン!それらすべてをひっくるめて…あの子の冒険者ランクはどうしますか?」


「いやぁ…あんなもの見せられたら答えは一つだよ。勿論……」

~~~翌日~~~

「あの……もう一度言ってもらっても?」


「はい!!貴方は偉大なるSランク冒険者となりました!!」


説明しよう!Sランク冒険者とは!!Aランク冒険者と大幅に差をつけ、多くの冒険者の頂点として君臨する最強の称号そのものである!!

はい終わった。帰ったら頭にメイドパンチが数十発さく裂しそうな事案だ。だがここで引き下がったらそれはそれで信用を失いそうなものだ。ここはまず周りの様子をうかがってから考え……


「うおおおおおお!!すげえぜあの嬢ちゃん!!」

「昨日来たばっかりなのにもうSランクまで上り詰めやがった!!」

「そりゃあ当然だろ!!あの『灼竜』倒した野郎だぜ!?」


ちょっとばかし驚いてしまった。批判なし、賞賛と驚愕一色の歓声がギルド中に響き渡る。

想像してたよりも異世界の人たちは優しいのかもしれないな。異世界に来てからずっと家にこもって魔術の勉強してたから気づかなかった。悪い噂を回すような輩は少なくともここにはいないのかもしれない。


「じゃあ…これからよろしくお願いしましゅ…」


はい噛んだ。

~~~~~~~~~~~~

「えーーっと…依頼をしたのはあなたでいいんですよね?」


「はい!近辺の馬車が襲撃にあってばかりでして…護衛をお願いしたくって」


とりあえず1つ依頼を受けることにした。

内容は「物資運搬の馬車が襲撃を受けているので護衛してほしい」との事だ。どうやら濃霧の森が全面解放されたことによって、運搬用の馬車や冒険者が一般進出するようになった代わりにそれらの物資を襲撃の後奪うような盗賊が出始めているようだ。


「あなたは馬車の中に待機してもらって、緊急時には盗賊の対応をお願いしますね」


と、いう事で馬車が発射した。まぁ周りの様子は『魔力探知』で確認し続ければいいし問題ないだろう。

現在進行形で周辺数キロを見続けているが、人の気配はないし他にいる数体の魔物も遠隔魔法で処理してある。正直言って冒険者ギルドに依頼として提出するほどのことか?と思えるほど平和で何の気配もない。しかしたまにはこういった風なのどかな感じの旅もいいな、なんて考えながらうとうとしていた…


気づいたら森の奥のほうまで来ていることに気づいた。しかし…なんで魔術が発動できないんだ?だがこの駄々洩れの殺気…どうやら例の盗賊たちが現れたようだな。


「盗賊たちが現れたみたいです。あなたは馬車の中に隠れて…」


「フフ…本当に簡単に騙せるもんだなぁ」


あぁ…寝ぼけすぎてた、元々馬車の経路はすべて木の切られた道路だったな。まんまと敵陣にはめられたわけだ。そうなると魔術が発動できないのも…


「相手は魔術師だからなぁ、特製の対術式結界だ。魔術使えねえ魔術師なんかただの一般人だろ?これで簡単にぶっ殺せる…」


「……一つ聞くけど、なんでここまでして俺を追い詰めた?」


「気づいちまったんだよ、わざわざ馬車を一個ずつ襲わなくても有名な奴をガチガチに対策して襲ったほうが効率いいって事によ。身ぐるみ剝いでからお前みたいな女冒険者は遊びまくった後に高値で奴隷商に売る」 


唐突だが、今回この依頼を受けたのは二つ理由がある。

一つは周りのキラキラとした期待のまなざしを無視できるほど気が座ってなかったから。

そして二つ目は、昨日思いついた新しい魔術を試すためだ。というか厳密にいうと魔術ではなく、その応用である呪術に似たものだ。魔術の術式のみを"音"に含ませ、"音を聞く"事によって効果を発揮する俺のオリジナルだ。術式発動は簡単で指パッチンで指を鳴らすだけだ。なんで指パッチンなのかって?そりゃあもう…かっこいいから?


「フフフ…魔術の概念から外れた技だ。お前らとことんタイミングが悪いな」


そう言った後に指をパチンッと息を勢いよく鳴らす。

昏倒の術式を込めたその音を聞いた盗賊たちはもちろんその場で倒れ、縄で巻き付けた盗賊をまとめて馬車に乗せつつゆっくりと王都に向かうのであった。

~~~~~~~~~~~~

「ただいま~」


ようやく家にまで帰ってこれた…盗賊の引き渡し手続きが一番大変だったまである。

ということで今日はのんびり寝ようと考えていると、奥からドタドタとした足音が聞こえてくる。


「レ、レイナ様!!すごい方から手紙が来ていますよ!!」


どうやらまだ休ませてはくれないようだ…





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