第8話 200ml! 200mlだけでいいから!
7月中に出したいからちょっと書けません。
微グロと知識不足の表現があるので注意して下さい!
今度はコンビニから2〜3分歩いて、家に帰る。
同じ道を通っているはずなのに、行きより帰りの方が目的地に早く着く気がする。
だから、あっという間にマンションの前なんだけど……。
なんかいる。
丁度マンションの出入り口の前で、胸元に大きな赤いハートマークの枠だけ描かれたナース服を着ている女性が、色白という言葉では足りないほど真っ白な両腕をだらんと下げて立っている。
表情は長い黒髪によって遮られていてよく見えないが、隙間から微かに見えた肌も腕と同じように白い。
明らかに危ない雰囲気を漂わせているので近寄りたくないが、近寄らないと帰れない。
どうしたもんかと葛藤していると。
「……ィ、……ィ」
腕をこちらに伸ばして、おぼつかない足取りで近づいて来ながら何かを呻いている。
声が小さすぎて何を言っているのか分からないが、襲ってくる感じではなさそうだ。
どちらかと言えば助けを求めているような、手を貸して欲しいようなそんな感じである。
「どうしよう。助けて欲しそうに見えるけど、近づいたら襲われるかな?」
近づく前に、一旦神子都に相談を持ちかける。
あの見た目に対して、自分の感覚だけで行動を決めるのは少しリスクが高い。
「大丈夫だろ、行け!」
まあ、そうなるよね……。
神子都に聞いてもダメなのは分かっているけど、今は他に聞ける奴がいない。
少し覚悟を決める時間が欲しいが、こうしている間にもじりじりと確実に距離を詰めてくる。
それにつれて、先程まで聞き取れなかった呻き声がだんだん聞こえるようになってきた。
「……血ィ、……血ィ」
これは襲われる方のやつではなかろうか?
聞き間違いではないだろうし、この見た目が放つ「ち」で「血」以外の意味だったことがこれまでにあっただろうか。
回れ右して撤退を考えるが、
「ほら、安全そうだろ」
「安全って感じはしないけど、分かったよ、行くよ」
俺の助けを求めているのだろうという感覚を信じて、近づくことにした。
「大丈夫ですか?」
「……血ィ、……血ィ」
とりあえずは近づいても問題はないようだ。
先程から血が欲しがっているが、生憎血を与えられるようなものは持っていない。
申し訳ないが俺では力不足のようなので、他の人に当たってもらうように勧める。
「すみませんが、僕では力に……」
「……そこ」
マンションの入り口の階段を指差し、座れと指示される。
言われるままに行動したいが、今俺は卵を持っているので早く冷蔵庫に入れたい。
「ちょっと待ってて下さいね」
急いで帰って卵を冷やして、ダッシュで戻ってきた。もちろん、鍵は閉めたのをしっかり確認した。
階段に座って次の指示を待っていると。
「……腕」
大人しく腕を差し出すと、駆血帯の代わりに長い黒髪で縛られ冷たい人差し指で血管を探される。
「……ここ」
肘の内側に丁度いい静脈を見つけたので、そこに針を刺して血を抜くと思われる。
消毒の代わりなのか、親指を舌で舐めて唾液を塗り込んでくる。
消毒が終わった後に、再度人差し指で静脈を確認して、
「……いくよ」
もう準備が終わったらしいが、針がまだ見えない。
ナース服のポケットから出すのかと思っていたのだが、
「…………痛っ」
ポケットに意識を集中させていたため、針が刺さった感覚から痛みが走るまでかなりのラグが発生した。
俺からは見えないが、血管を確認していた人差し指の腹から蜂の様に注射針が出てきたようだ。
それを裏付けるように、人差し指から血の気が良くなっていく。
〜10分後〜
「あ〜、生き返った〜」
まだ色白だが、最初に比べれば健康的な肌の色に変わった。加えて、いつの間にか服のハートマークが赤く染まっている。
顔を隠していた髪を後ろに流すと、目の下に赤い雫のタトゥーが
入っているのが目に付く。
「いや〜、日頃から貧血が酷くてね。誰か助けてくれる人を待ってたんだよ。本当にありがとう。えっと君は?」
「僕は命です。そして、こっちは僕の神様の神子都っていいます。いやぁ、助けに行くか相当迷いましたけどね。すごい怖かったんで」
血をあげてからは元気を取り戻し、幽霊っぽさも無くなっていた。
「私は献血の神様。申し訳ないね、その部分は気を付けてはいるんだが、あれが限界なんだよ」
あれだけ重度の貧血だったら、立つことすら厳しいだろう。
何はともあれ微力ながらも力になれたようでよかった。
「命君の血を分析したけど、特に問題無いみたい。健康な血だね」
「変なウイルスとか成分が入ってなくて良かったです!」
その場で全ての検査を終わらせ、別れを告げて家に戻ろうとすると、後ろで衝突音と金属がひしゃげる音が混ざった轟音が聞こえた。
振り返ると地面に倒れた女子生徒と走り去る車が見えた。
直ぐに近寄って安否を確認するが、無事でないのは明らかだった。
出血が特に酷く、既に赤い小さな水たまりができていた。
「私が止血するから、命」君は助けを呼んで!」
長い髪を器用に操作して止血を行い始める。
俺はすぐさま頷き119番に電話を掛け、コール中に1つ神子都に頼み事をしておく。
「この子を轢いた車のナンバー確認できる?」
「それくらいは余裕でやれるぞ」
轢き逃げした車はかなり遠くまで進んでおり、俺の目ではナンバープレートを見ることが出来ない。
すぐに神子都は俺に情報を伝えてくれ、救急車も手配出来たので、後は救急車が到着するまで適切な応急処置を行う。
止血は完了しているようだが、それまでにかなりの血が出ており、顔が青白くなっている。
「……さっき貰った血を分け与えるしかないね」
少女の腕を伸ばして、肘の内側に針を刺して血を送る。
「また血が足りなくなりますよ」
「血ならいつも足りてないさ、それより今は少しでも可能性を高くしておきたいからね」
その後、救急隊と警察官が来て事情聴取やらなんやらをこなして、一段落ついたのはいいが……、
「……血ィ、……血ィ」
また最初の姿に戻ってしまった。
もう一度助けようと腕を差し出してみるが、
「……血、足りてない」
と断られてしまった。
流石に連続で血を抜くのは体に良くないらしい。
それでは、これからどうするのか聞いてみると、
「…………」
特に血を入手できる当ては無いらしい。
近くにそんなに都合よく血をあげられるような便利な人がいただろうか?
あの人もこの人もダメだしと考えていると、神子都がある人を提案した。
「コンビニの神様でいいだろ」
数十分前に助けてもらったばかりなので申し訳ないが、また助けてもらおう。
ついでに、さっき暴れていた岩倉とやらの様子も見てやるか。
そうと決まれば、早くコンビニに向かおう。
ふらふら歩く献血の神様のペースに合わせながら、15分ほどかけてコンビニに辿り着いた。
「いらっしゃいませー、あっ、さっきのお客さんだ、何かありましたか? って、うわぁ!」
店員さんは一緒に連れて来た献血の神様の姿を見て、ひっくり返りそうなほど驚いていた。
そうなるのも無理もない、何処からどう見たってこの姿の間は幽霊にしか見えないんだから。
事のあらましを説明したら協力を得られるだろうと勝手に判断して、話を進めていく。
「……という事があって、いま血が欲しいんです」
「分かりました、協力しましょう」
「ありがとうございます!」
あっさり承諾してくれた。
それから、どれくらい時間がかかるのかを聞かれ、十数分で終わりますと伝えると、
「岩倉くん! 10分ぐらい1人でやっておいて」
「私、今日から働き始めたばっかりなんですが、そんな人に任せて大丈夫ですか? ……ちょっと聞いてます!?」
「大丈夫でしょ、君エリートらしいから。じゃあ、頑張って」
岩倉はここでしっかりと仕事をこなしていて、店員さんとの仲も良好そうなので問題なさそうだ。
イートインのスペースに座って血を吸い取る。その間、岩倉はしっかりと客も仕事も捌ききっていた。
エリートと言うのは嘘じゃなかったようだ、性格がアレだっただけで。
「今日2回目の復活! あんたもいい血してるね!」
「仕事は大事ですけど、健康が1番大事ですから」
なんとか一件落着となっただろうか。
コンビニを出てみんなと別れて、再度家に帰る。
献血をした後に動いたからか、少し頭がふわふわする。倒れないように気をつけながらゆっくりと歩いて、今度は何事も無く家に到着した。
そういえば、あの日からあのコンビニは献血の神様の輸血ステーションになったらしい。
「……血ィ」
「また来たんですか!?」
注射の時に針は見る派ですか?僕はガン見する派です
ちょっと時間ないんでこれだけでいいですか?
59分なんで
追記
2秒くらい間に合いませんでした