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第7話 あなたと〜♪

前の話で、利き手じゃない方かつ片手では卵が割れないと書いたのですが、実際にやってみたらめちゃくちゃ綺麗に割れました。なんなら、両手でやるより綺麗に割れました。

投稿頻度について追求するよりも早く進んでいった方がよろしいのではなくて?








ごめんなさい


 家から歩いて2〜3分で、すぐにコンビニに着いた。

 ちょうど昼休みが終わる頃なので、お客さんはあまりいないようだ。

 自動ドアが開くと心地よい入店音と共に、耳を塞ぎたくなるような怒号が飛んできた。


「温めるに決まってんだろ! 分かるだろ普通!」


 スーツ姿で四角いメガネをかけ、髪をオールバック風に固めた40代ぐらいの黒いビジネスバッグを持った男性が鬼の形相で気弱そうな店員さんを怒鳴りつけていた。

 そんなことで怒るなよ……。

 いくらなんでも怒りの沸点が低すぎである。

 こういう奴は勝手に温めても怒ってくるので、どう転んだとしても結果は同じになる。


「大変申し訳ございません。すぐに温めますので、少々お待ちください」


 コンビニの店員さんはこの面倒な客をこれ以上は怒らせまいと、出来る限り丁寧な接客を心掛けているようだった。

 しかし、それだけでは怒りが増幅しないだけで、収まることはなかった。


「お前みたいな底辺がエリートの俺の時間を奪うんじゃねぇよ!

こっちはお前と違って忙しいんだから、あんまりイライラさせんな!」


 この迷惑客はレンジで弁当を温めている数十秒の間ずっとガミガミと言っており、店員さんもその間ずっと頭を下げて謝り続けていた。

 忙しいのかどうかは知らないが、イライラするのも時間を奪っているのも、店員さんではなくほとんど迷惑客のせいである。

 そもそも、自分のことを真面目にエリートと言っちゃうような奴のレベルが高いわけ無いのである。

 この自称エリートさんの後ろに並ぶのも嫌なので、もうちょっと商品を選んでいるフリをしながら、レジが見える位置で耳を傾けていた。

 レンジがピーッと鳴り、弁当の温めが完了したことを知らせる。


「大変お待たせ致しました。合計で719円になります」


「いやいや……、お前これ全然温まってないじゃん。この程度じゃ移動中に冷めるだろ。もう1回やれや!」


 遠目に見ても弁当の蓋に水滴が付いているのが分かるので、かなり温まっているようにみえるのだが、まだダメなのだろうか。


「これ以上の加熱は危険ですので、お召し上がりの前に再度加熱していただいた方が良いと思うのですが……」


「はぁ!? つべこべ言ってないでさっさとやればいいんだよ! 俺の言うことが聞けねぇのか!? こっちは客だぞ!? お客様は神様って言葉をしらねぇのか!?」


 迷惑客の怒りは更にヒートアップし、レジカウンターを思い切り叩きながら暴言を吐くようになっていた。

 「お客様は神様である」この言葉は店員から客に言う場合には、そんなに問題も無い言葉だと思うが、これが逆になると最悪な言葉になる。

 この言葉を本当に使う奴がいたということよりも、この状況でその言葉を使った事に少しフッと笑ってしまった。

 この迷惑客は何も分かっていないので無理もない。

 その声を聞かれたのか、先程まで店員さんに向けていたヘイトが一気にこっちに向いた。

 恐ろしい顔をグルリと向けて、ズカズカとこっちに寄ってくる。


「お前、今俺の事を笑ったよな?」


「い、いやぁ〜このグミのパッケージが面白いなぁ〜、と思って笑っただけですよ」


 我ながら苦しすぎる言い訳だと思うが、店員さんがこの迷惑客を止めに向かって来ているので、少しだけ時間が稼げればいい。


「お客様! 他のお客様にご迷惑になることはおやめください!」


 店員さんが追いつき迷惑客の肩を抑えるが、迷惑客は強引に腕を振り回し追い払う。

 その時、迷惑客が振り回した腕が商品に当たり床に散らばった。

 そんなことは意に介さず、更に俺に近づいて来る。


「お前、そんな嘘が通用すると思ってんのか? そんなに面白くないだろ、このパッケージ。こういう嘘をつく奴には罰が必要だよなぁ」


 そう言って拳を振り上げるが、それを振り下ろす前に店員さんに止められた。

 しかも、さっきとは少し雰囲気が変わっており、さっきまでの気弱さは消え、ギラついた雰囲気を漂わせていた。


「おい、商品を雑に扱うんじゃねーよ。ここからはもう客として扱わねーぞ、このクソ野郎が」


 いや、俺が殴られそうになったから助けてくれた訳じゃなかったのかよ。

 結果的に助かったからいいけど。

 この店員さんは人間だけど神様である。

 人間生活に溶け込んでいる神様も別に少ないと言うわけでは無い。

 普通の人には気付けないだけだ。

 たまに、スポーツ選手や歌手、俳優などで素人が見ても明らかに周りよりレベルが高い人がいるが、その人達はこの種類の神様の中でもトップに位置する者たちである。

 そのようなレベルになると普通の人からも認識され始め、〜の神様やら神の子などと呼ばれ始める。


「この野郎! 放しやがれ!」


 今度は迷惑な奴が何度力を込めて腕を引き離そうとしても、ビクとも動かない。


「おい! さっさと放しやがれ!」


「そんなに放して欲しいなら、そうしてやるよ。ほら」


 そのまま腕を投げつけるようにして放した。

 迷惑な奴はその力に耐えられず、少しの間床を転がった。

 しかし、すぐに立ち上がって、鞄の中をゴソゴソ漁り何かを取り出した。


「バカが、そのまま捕まえておけばよかったものを」


 迷惑な奴が先程取り出した物をパチンと開くとナイフになった。

 なんでそんなもんが鞄の中に入っているんだよ、おかしいだろ。

 迷惑な奴はナイフを構えて、叫びをながら走り出した。

 しかも、こっちに。

 

「俺の方かよ!」


 店員さんと戦っても勝てない事が分かったからなのか、弱い方に狙いを定めて来やがった。

 この距離だと逃げ始める前に刺されそうなので、どうにかして受け止めるなり、躱すなりで対処しようとする。

 刺された場合はどうすればいいのだろうか? とりあえず止血はしないと駄目だろうが、消毒とかは必要か?

 神子都は助けてくれるだろうが、


「大丈夫だ、刺されたら助けてやるから」


 とか言ってくるんだろうな。

 それは結果が大丈夫なだけであって、途中に大丈夫じゃない状態を挟んでるんだよな。

 刺される前から刺される前提で物事を考えていると。

 店員さんが俺の前に入り込んで、一瞬でナイフを無効化し、迷惑な奴をねじ伏せた。


「大丈夫ですか?」


「はい、助かりました。ありがとうございます」


 そう伝えると店員さんはそれはよかったですと言うように軽くうなづいてから、足元にいる迷惑な奴に視線を下ろした。

 そいつの頭に手を置くと、緑色の光を放ち迷惑な奴の服がスーツから店員さんと同じコンビニのユニフォームに変わる。

 胸元には岩倉(いわくら)と書かれたバッチを付けている。


「商品を雑に扱ったうえに、お客様にも迷惑をかけるお前には、今日からここで働いてもらう。今まで勤めていた会社は辞めておいたし、ここの入社の手続きも終わらせておいたからな。今からよろしくね、岩倉くん」


「はぁ! 何を言ってやがる!」


「ほらっ、お客様が待ってるよ。早く行って!」


 命令されると怒り顔から営業スマイルへとスッと入れ替わり、俺をレジまで案内してくれた。

 あんなに些細なことで喚いていた人と同一人物とは思えないほど丁寧な対応で会計を済ましてくれた。


「これから君には神様なお客様がどういうものなのか、その身をもって学んでもらうよ。あと、ここで働いている間は疲れないから休みは無しね!」


 ここは24時間365日運営しているので、本当に1秒も休みが無い。

 労働基準法違反もいいとこだが、疲れないから問題ない。


「そんなぁ……、許してくださいー」


「客だからってあぐらをかいてちゃダメですよ。まぁ、頑張ってください」


 そうだな、更生するまで頑張れよ。

 俺は助けてやらないけどな。

 コンビニから出ると今度は心地よい退店音だけを聴くことができたが、今度は違う所に心残りがあった。

 

「卵……、高すぎな」


 早く安くなることを願いながら。お高い卵を割らないように慎重に家に帰った。

卵高いですね。

コンビニでは卵買わないんですけど、コンビニの神様を登場させたかったのでこっちに行きました。

前回話を書き終わる頃にはこれ書くって決めてたんですけどね。

思ったより筆が進まないし、やる気が出ないしで長くかかりました。

割合的には1:9です。

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