第5話 もちろん私は抵抗する
行き当たりばったりで書いてるので、突き当たりばっかりですが、このままで大丈夫ですかね?
設定も後付けが増えて、物語の軸もブレて、キャラ崩壊が起きて、ということ考えると不安になってきます。
まあ、楽しいからいいや
学校を出てすぐに後ろから呼び掛ける声が聞こえた。
「ちょっと待ってー! 一緒に帰ろー!」
声でもう誰なのかすぐにわかった、姫乃だ。
俺が振り返ると、まだ靴をちゃんと履けておらず、踵を指で直しながらこっちに向かって来ているところだった。
そして、踵が直せた瞬間にローファーを履いているとは思えない速度で走り出した。
「おまたせ、ごめんね待たせて」
「いや、速すぎて待つこと無かったわ……。にしても、なんでまだ学校にいるんだ?」
俺はテスト後に職員室に寄っていたので、皆より帰るのが遅くなっている。それなのに、姫乃はそんな俺より後に昇降口から出てきたのだ。
「生徒会の仕事があったから、それ終わらせて帰ろうとしたらこの時間になっちゃった」
姫乃は現在、生徒会で副会長をやっている。
次期会長も彼女でほぼ決まりだろう。何故なら、彼女にはもう相手が居ないからである。
その原因は去年の生徒会選挙にあった。
去年の書記の選考の時には、彼女含め7人ぐらい立候補者がいたのだが、そんな事はものともせずに、圧倒的票数で役職を勝ち取ったのだ。そして、今年の副会長に立候補したのは彼女1人だけになった。なので、余程の物好きが居なければ、来年の生徒会長に立候補するのは姫乃だけなので、ほぼ決まっている様なものだろう。
こんな事を言っているが、俺は生徒会に興味が無いので、誰が何の役職に就いたのかなんて気にしていない。
「今日の数Ⅱの時間に結構荒れてたけど、今回は何の神様だったの?」
姫乃は俺が神様を見ることができ、人より多く加護を授かっているというのを家族以外で唯一知っている。
しかも、過去に1度説明しただけなのに、
「なるほどね、合点がいったわ」
と言って、自分の過去の記憶と俺の説明を照らし合わせて、即座に理解しやがった。
「今回は最後の問題に点Pの神様がいて、その動きを止めよって書かれてた」
「それで? 神子都ちゃんはどうやって解いてたの?」
いや、俺の解答は興味ないんかい! 俺も頑張ったんだからもうちょっと興味持ってもらっていいのだが……。
「神子都の解答? ええと、最初は……」
そこから順番に起こった事を話していった。
テスト中に突如鳴り響いた音の正体は、シャーペンを机に叩きつけた音であったこと。濃い線で捕まえられなかった点Pを、薄い線で捕まえたこと。最後はシャーペンを突き刺して、神子都が勝ったことなどを伝えた。
一応、俺が神子都にバトンタッチする前の事も伝えておいた。
「何で、あの線を点Pは破れなかったんだろうな?」
未だに、俺はそれを解決出来ずにいたが、姫乃はなんとなく答えが分かったようだった。
「多分だけど……芯の硬さが関係してるんじゃない?」
そこから、姫乃は自分の仮説を話し始めた。
「神子都ちゃんが最初にやったのは、鉛筆の芯をHBから10Bくらいまで柔らかくして、芯の硬さがどう影響するのかを調べることじゃないかな? それで、軟らかいほど破損部分が大きくなることが分かったから、次に、芯を9Hとか10Hぐらいまで硬くして捕まえにいったんだと思う」
「はぇ〜、そんな事考えながらやってたのか……」
俺は呆れ返りながら、あの時そんなやり取りがあったかもしれないのかと、ちょっと感動していたがある重要な事に気がつく。
「じゃあ、それが成功しない可能性もあるよな? そうなったら神子都の負けだったってことか?」
「それが駄目だった時は……、解答用紙を切り取っちゃえば点Pの行動範囲を狭められるんじゃないかな? 点Pは紙の上しか移動出来ないだろうし……」
確かに、点Pは紙の上しか移動していなかったから、その作戦の方が鉛筆の奴より上手くいけそうだ。
しかし、いつも感じるが、よくそんな事をスラスラ思い付くものだ。
もし、姫乃が俺の体質だったら神子都の力を借りなくても、ある程度の神様なら自分で対処してしまうだろう。
何を食って育てばこうなるのか、昔から不思議で仕方なかった。
「って感じなんだけど、どう? 神子都ちゃんは何か言ってる?」
「神子都〜、この予想合ってる?」
「そうだな……、あれが駄目だったら紙を木っ端微塵にしてから.とどめを刺す予定だったから、それで合ってるぞ」
姫乃が予想を的中させたことの驚きよりも、俺の解答用紙が木っ端微塵にならず、穴だらけで済んだ事の安堵の方が大きかった。
驚くといっても、いつもは的中まではしないものの、模範解答にしても差し支えない事を言ってくるので、そんなに大きく反応したりはしない。
姫乃に合ってたよ、と伝えると笑顔になるでもなく、ガッツポーズをするでもなく、目線を下に向けて何かを真剣に考えているようだった。
少しの間静寂が流れたが、すぐに先程の話に戻った。
そうしている内に、姫乃と別れる所まで歩いてきた。
「じゃあ、私こっちだから。また明日ね!」
「おー、またなー」
姫乃と別れてからは、神子都と俺の2人で話しながら帰っていた。
ふと、テスト中の神子都のある行動が気になった事を思い出したので、忘れない内に聞いてみる。
「そういや、テストの時にシャーペンから鉛筆に持ち替えたけど、シャーペンのまま芯を変えれば良かったんじゃないのか? 自分で作ってるんだし」
「……確かにな、鉛筆の方が芯の種類が豊富のイメージがあったから変えたんだが、無駄だったな」
いくら神様と言っても、いつも万能で最前を尽くせる訳ではない。
思っているよりも神様には抜け目があるのだ。
大体、そうだとしても、実戦中に考えて気付けるような感じではなく、終わってからふと気付くものなので、その隙を突くことはなかなか出来ない。
「まあ、問題なかったからいいか! それより、昼メシの事なんだけど、味噌汁はそろそろ食べられるようになった?」
「そろそろも何も最初から食べれただろ? 沸騰してるだけで」
「それを食べられるって言わないから聞いてんだよ!」
今日の加護って言うぐらいなので、やっぱり駄目だった。
「なら、コンソメスープで我慢するか」
「それなら大丈夫だぞ、味噌汁限定の加護だからな」
いや、こっちは大丈夫なのかよ。
まさかの味噌汁一点張りとかいう、なんとも狂った条件の加護だ。
残りは適当にあるもの混ぜて焼けば何か出来るだろう。
空いたお腹を早く満たすために、少し駆け足気味にその日は帰ることにした。
私は神様がいる事は信じてる。だって、命が加護に遭っているところを実際に見ているから。
でも、神様は好きじゃない。昔、命が加護に苦しんでいるところを見ていたから。
もちろん、いつも神子都ちゃんが助けてくれるのは分かっているのだが、それだけではどうしようもない部分が出てくる。
例えば、友人関係である。
命が皆と遊ぶと、途中から皆は命の事を気味悪く思い始める。
なぜなら、身の回りで怪奇現象が発生し始めるからだ。
命は一生懸命に説明をするのだが、神様のせいだと言っても納得してもらえるはずがない。
それから、命は友達を作る事や、友達と遊ぶ事を一切しなくなっていった。
ある日、いつものように命の家に遊びに行くと。
「僕の近くにいると危ないよ、神様の加護があるから……」
周りの人に気味が悪いと言われ、人との関わりを避けるようになっていた。
そんな命に対して、私ははっきりと言ってやった。
「神様も加護もどんと来いよ! そんなの、私がブっ飛ばしてやるんだから!」
そう言ってやると、命はしばらく静かに泣いた後、泣き腫らした目に少し笑みを浮かべて、
「姫乃がいるなら安心だね」
と言ってきた。
その時の顔は未だに鮮明に思い出せる。心からの信頼と安心を含んだ笑顔は眩しいくらいに優しい光を放っていた。
それから、私は神様に対抗すべく準備を始めた。
元々の才能も相まって、勉強もスポーツも人間関係も何ひとつ滞りなく進んでいるが、私の相手は神様である。
見えも触れもしない相手とどうやって戦えばいいのかは、未だに分かっていない。
でも、まだ諦めない。せめて一泡ぐらいは吹かせてやる。
姫乃はまだ気付いていないが、元の才能と多大なる努力によって着実に鍛え上げられた能力は、すでに神様を脅かすレベルになっていた。
最後のところの入りが無理矢理過ぎる気が否めないし、選挙の説明もあやふやな気がする。
普通に読めるのって凄い事なんだと分からされる今日この頃。
まあ(ry