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第36話 願うは塵と化した君

あけましておめでとうございます。

前回の話を投稿してから、かなり間が空いてしまいました。

そろそろ現実の方が落ち着きそうなので、またボチボチ進めていこうと思ってます。

 ピンポンパンポーン


 会場全体にアナウンス音が流れると、神様達は一斉に静まり放送に耳を傾けた。


「ただいまよりビンゴ大会を始めます。皆さま、ステージの前までお越しください」


 空から聞こえてくる声はリテラのものだった。

 その放送が終わると神様達が一斉にステージに向かって動き始めたので、その流れに逆らわずに進む。

 すると、すぐに会場に辿り着けた。


「なんだ、あのデカい山は?」


 移動している時から見えていたが、リテラの立つステージの裏には、黒い布が掛かった山としか言いようがないものがそびえ立っていた。

 中身が見えないのではっきりとはわからないが、大きい1個の物というよりは、小さな物が積み重なって山が形成されている気がする。

 その大移動が落ち着くと、すぐにビンゴ大会の開始の合図が出される。


「ただいまよりビンゴ大会を始めます。参加者の皆さまには今からビンゴカードを配布いたしますので、お受け取りください」


 その部分の説明が終わると、会場のみんなの胸の前に黄色に光る球が現れ、それが弾けるとともに5×5のビンゴカードが現れた。

 ビンゴカードの真ん中のFREE マスを無意識的に開けながら説明を聞いていると、


「あれ? (ミコト)君だ、久しぶりだね」


 いつの間にか隣にいたシアトに声をかけられた。


「んぇ!? いつからそこにいたの、シアト」


 ずっと知らない神様が隣にいると思っていた。

 なんなら、隣の神様なんて意識していなかったので、思わず華麗な2度見をかましてしまった。


「来てたんだ」


「なんか、変な人に誘われたからね。少し面倒だったけど」


 シアトはアリスさんとは違って、ちゃんとハレハレさんに招待されたようだ。


「なんかこのビンゴ大会にいい商品が出るらしいから、それを貰いにね」


 ビンゴ大会は運が良い人が勝つゲームのはずなのに、何故かシアトは実力で景品を取りにきていた。

 彼にとっては自分がビンゴするまで、みんなのビンゴのタイミングを先送りにすればいいだけのゲームなので、は簡単に1位を取れてしまう。


「さぁて、今回の大会の景品はこちらです!」


 リテラの発言と共に、後ろの山に覆い被さっていた黒い布を彼女の部下達が勢いよく剥ぎ取る。

 すると、その中身を見た神様達から驚くほど大きな歓声があがった。

 そこにはありとあらゆる種類のお菓子が、これでもかと積み上げられていた。

 大量のお菓子がこんなに神様達を喜ばせるとは思っていなかったが、食べ物をお供え物にする事もあるなと思えば、少しは納得できた。


「2位の方から順にこの山の半分を持っていってください。1位でビンゴした方には、更に豪華な景品が用意してありますが、それは後1位が出た時に発表するので、楽しみにしておいてください」


 景品の内容を聞いたシアトは俺の肩をぽんぽんと叩くと、お菓子の山を眺めている俺を呼んだ。


「僕の欲しい物があそこの山に出てきちゃったから、もう1位がいらなくなっちゃったんだけど……。(ミコト)」くんは1位いる?」


「そうなの? じゃあ、貰おうかな」


 シアトがそんなに欲しがりそうな食べ物ってあるのかと不思議に思いつつも、1位は豪華商品がもらえるようなのでもらっておく。


「他にも加護がいる人はいる?」


「お前達が1位2位取ってくれるなら、後は好きにやればいいだろ」


「そう言われるとそうだな」


 2位以降は景品が変わるわけではないので、とりあえず貰っておけば後でいくらでも分配できる。

 というわけで、俺とシアト以外に先送りの加護をかける。

 加護をかけてもらったからと言って、特に見える変化があるわけでもないが、これで有利に事が運ぶようになった。


「準備はいいですか? それでは、始めます!」


 リテラが抽選器をガラガラと回すと、黒字で数字が書かれた白い球が出てきた。

 もちろん、その番号は俺のカードの中にもあり、1番左下のマスが空く。

 その後も右上に向かって次々とマスが空いていき、あっという間に、


「揃っちゃった」


 まさかの……。

 いや、神様の力を使ってるからもちろんか。

 最短の4手で1列が揃ってしまった。


「ちょっと行ってくるわ」


 手を挙げてアピールをしてみたものの、あまりに神様が多いので、ステージの前まで行かないとリテラは気付いてくれない。

 俺は他のビンゴした神様が出てくる前にと、駆け足でステージに向かった。




「さぁ、現在4回回しましたが、揃った方はいますでしょうか!?」


 リテラは煽り文句を言い始めると、会場のボルテージが一気に上がり、そこら中で「もうちょっとでリーチだ!」とか「まだ真ん中しか空いてねーよ!」などの言葉が飛び交った。


「流石にまだ足りないと思うので、どんどん回していきま……」


「……すいません、ビンゴしました」


 俺がその報告をすると、リテラが頑張って上げてくれた会場の熱が一気に下がっていくのを感じた。

 そのせいか、気温は変化していないのに少し肌寒くなった気がする。

 しかし、リテラがこの流れを上手く変えてくれた。


「なんと! すでに1人のビンゴ者が出ていました」


 そのままステージに上がってこいというリテラのジェスチャーに従って壇上にあがる。


「せっかくなので、インタビューをしていきたいと思います」


「えっ!?」


 すぐに景品を貰って帰れると思っていたので、思わず声をあげてしまった。


「それでは、1位になった気持ちはどうですか?」


「嬉しいですけど、少し困惑してます」


 これは酷い。

 リテラもこのやりとりで早くも見切りをつけたのか、すぐに質問の方向性を変えてきた。


「それでは、次の質問に行きます。温まってきた会場を一瞬で凍えさせたことについて何か言うことはありますか?」


 観客達の手前、リテラの表情は笑顔で固定されているが、裏に怒りが潜んでいるのがひしひしと伝わってくる。


「それは……、本当に申し訳ないと思っています」


「ビンゴしてからここにくるまで、何を考えていましたか?」


「本当に申し訳ないと思っていました」


「そうですか……。続いて……」


 もうやめてください、これ以上は死んでしまいます。

 リテラからの地獄の質問攻めをなんとか乗り切ると、ようやく景品の受け渡しが始まる。


「冗談はこれぐらいにしておいて、1位の景品の発表に入ります」


 リテラはステージの端まで景品を取りに行った。

 何を持ってきてくれるのかと思ったら、逆に手招きをされてそっちに向かう羽目になった。


「両手で皿を作って」


「はぁ」


「ウチが景品を渡したら、急いで欲しいものを頭の中に描いてね」


「それはどういう?」


 俺の理解があやふやなままリテラから渡されたのは、ソフトボール程の大きさに雑に丸められた紙粘土だった。


「えっ!? 何コレ?」


「急いで! それが固まる前に欲しいものを強くイメージして!」


 欲しいもの!?

 欲しいものって言って、最初に思いつくのはアレだろ、やっぱりお金だろ?

 でもさ、ここで100兆円を貰ったとしても、なんか悲しくなるよな。

 というよりも、祭りの場でやるもんじゃないよな。

 そんなことを考えているうちにも、みるみる紙粘土が固まっていく。

 あまりにも時間がない。

 もう俺が欲しいものじゃなくてもいい、何かないか探せ。

 神子都? シアト? チコちゃん? アリスさん? ネラ…‥。

 あっ、そうか。


「城! ネラとアルヴァの住む城が欲しい」


 欲しいものが決まると、手の中の紙粘土が荒ぶり始めた。

 中で誰かが暴れているんじゃないかと思うほど、表面がボコボコとしながら膨らむ。

 のはいいのだが、


「ちょっと、これどこまで大きくなるの?」


「そりゃ、君が想像した城のサイズまでだよ」


 それはまずい。

 ただでさえ、もうバランスボール程度までサイズアップしているのだ。

 このまま行くと俺が押し潰れるぐらいまで大きくなってしまう。


「おい、あれお前の加護でなんとかならないか?」


「あれ? まあなんとかできるでしょ」


 シアトが紙粘土に加護をかけると、膨張が止まった。


「止まったね」


「多分、友達が助けてくれました」


 この球はまた一定時間が経ったら膨らみ始めるだろう。

 俺はそのことをリテラに説明してから、ステージを降りて、でっかい球を抱えながらみんなの元に向かった。




「いやー、こんなにお菓子がもらえて助かったよ」


 あの後、シアトは当たり前のように2位を取って、お菓子の山の半分を受け取っていた。

 ネラとアルヴァは終盤にビンゴしたため、1掴み程度のお菓子をもらっていたが、ネラはとても満足そうだった。

 神子都とアリスさんは結局最後までビンゴしなかったのだが、


「お前、これなんかしただろ」


「いや、僕は(ミコト)君以外にはみんな平等にやったよ?」


 神子都のビンゴカードは20マスも空けられていたが、そのカードは底知れぬ執念を見せて最期まで1列も揃えさせなかった。

 なので、神子都はビンゴ大会が終わってから、ずっとシアトの加護を疑っている。


「ちょっとついてなかっただけだよ。ほら、コレあげるから機嫌直して。ポケットに入る分しか持ってきてないから少ししかないけど」


 シアトが神子都に飴玉を1つ投げ渡すと、神子都は空中で包装を外してそのまま口で受け止めた。


「また遊びに来る時に持ってこいよ」


「もちろん、そのために貰ったんだから」


 ビンゴ終わりに会場で話していると、この祭の最後のアナウンスが入る。


「この祭りももう終盤に差し掛かっています。最後は夜空を彩る花火で締めくくりましょう!」


 ラストに向けて会場の熱もどんどん高まってくる。

 しかも、今回はさっきみたいに熱を下げるやつもいない。

 最高のコンディションで大詰めを迎える俺達の前に、この祭りのクライマックスを知らせる1発の花火が打ち上がった。

普通にこの話を書くのにすごい時間がかかりました。

無難に終わらせる展開すら思いつかなかったので、かなり手を焼きましたね。

射的のところよりは上手く書けると思ってたんだけどなぁ。

残念。


進行度 31%

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