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第26話 0.01mmの境界

4月1日に「神のご加護がありませんように」が1周年を迎えました。

なんやかんやあったわけではないですが、筆が止まってからやる気ゲージが0になり、いつの間にか5月になってました。

あぁ〜、今年も5月病の季節がやってきましたね。

 チカとリアンが帰ってからは、特に何も起こらず無事に眠りについた。

 そして、ついに次の日がやってきてしまった。


「う〜ん、今何時……?」


 休日はアラームなどという物騒な物はつけないので、現在の時間がわからない。

 寝起きに瞼なんか開けてられないから、手をずらして枕元にあるスマホを探す。


「えっとぉ……。熱っ!」


 枕元で充電していただけのスマホが、レンジで温め過ぎたご飯ぐらいの熱を持っていたので、驚いて飛び起きてしまった。

 最初は何が何だかわからなかったが、すぐにこれが今日の加護なんだと理解した。


「おはよう。朝から大変そうだな」


「本当だよ。それで、これは何が起こってんの?」


「今日のは『手のひらで触れた物全てが熱くなる』っていう加護だな」


 とりあえず、今日はほとんど手のひらが使えないって事をそこで理解した。

 神子都に説明されている間、俺は手術前の医者のように両手を上げていたが、その時は熱く感じなかった。

 空気には触れても大丈夫なようだ。

 この部分に加護のうっすい慈悲を感じる。


「熱いのはすぐに消えるんだね」


「仮初の熱だから、火傷もしないぞ」


 日が沈む頃には、手が真っ黒焦げになっているだろうと思っていたが、その心配はいらないみたいだ。

 朝ごはんを食べるためにベッドから起き上がり、最小限の接触でドアノブを回して部屋を出る。


「おはよう〜」


「おはよう(ミコト)


「おう、おはよう」


 両親と軽く挨拶を交わしてから、朝ごはんを用意を始める。


「アチッ、アチッ、アッツ!」


 根性で熱さに耐えながら、お椀に冷たいご飯をよそう。

 他にも何かおかずが欲しいと思っていたが、これ以上の準備はしたくないので、ふりかけでもかけて済ませることにした。


「今日は何が起こってるの?」


 母親が不思議な物を見る目で、こちらに聞いてくる。


「今日は、手のひらで物に触ると熱く感じる加護がかけられてるんだって」


 俺がふりかけを開けるのに苦戦しながら答えると、代わりに開けてご飯にかけてくれた。

 しかも、味噌汁のおまけ付きだ。


「そんなんじゃ箸もスプーンも待てないでしょ? 私があーんして、食べさせてあげようか?」


「いや、いいよ! 自分で食べるから」


 母親がニヤニヤしながらとんでもない提案をしてきたが、流石に恥ずかしすぎるのでやめておいた。


「そう、じゃあお母さんたちは買い物行ってくるから、留守番よろしくね」


「はーい」


 そう言って2人で車に乗って近くのスーパーに向かっていった。

 ご飯が冷たいままなので、ラップをかけてレンジで温めることにしたが、ここでまた絶望することになる。


「……勘弁してくれよ」


 いつもそこに出ているはずのラップの端が見つからない。

 箱が閉じないように蓋をテレビのリモコンで固定してから少しずつ回して探すが、完全に一体化している。


「少し水をつけてから、レンジであっためればいいか」


 ラップは諦めて、別の方法でレンジにかけることにする。

 ご飯が硬くならないように、水をつけてから温めようとすると、


「ちょっと待ったー!」


 と俺でも神子都でもない声が部屋に響き渡ったが、声の主の姿はどこにも見当たらなかった。


「せっかく準備したんだから、遊んでいってよ」


「もしかして、フィル?」


「そうだよ!」


 フィルはラップフィルムの神様である。

 彼は白髪で青いオーバーオールを着ている少年の姿をしているのだが、何故か今日は見えなくなっている。


「姿が見えないけど、どうなってんの?」


「ラップの端を見つけられてないから、僕も見つけられなくなってるんだよ」


 フィルの姿はラップの端の状態と連動しているらしい。

 そんな能力が必要なのかは置いておいて、今はそんなところに構ってられないことを伝える。


「ごめんけど、今日は見つけてられないかも」


「そっかぁ……、僕ならその加護を和らげてあげられるとおもうんだけどなぁ。いいや、なら他の所で遊んでくるよ」


「待って、その話をもう少し詳しく聞いてもいいかな?」


 そこが関わってくるなら話は変わってくる。

 俺の中でラップの端を見つけるという作業の需要が、上位に上がってきたのが感じられた。


「条件が付かないと遊んでくれないのは、友達としてどうなの?」


「それはそうだけど、こっちも状況が状況だから……」


 俺に卑しい人を見る目を向けているであろうフィルの顔が頭の中に浮かび上がるが、今回ばかりはしょうがない。


「別に気にしてないけど、少しだけ厳しくしようかな」


「えっ?」


「神子都ちゃんが僕を見つける前に、(ミコト)くんが端を見つけられたら、ご褒美をあげるよ」


「つまり、あたしと(ミコト)の対決ってわけだな」


 なんということだ。

 条件は違うとはいえ、神子都に勝たないといけなくなってしまった。

 負けても何も罰はないので、やるに越したことはないのだが、始まる前から負けが濃厚になっている。


「悪いが、手は抜かないからな」


「知ってるよ、何年一緒にいると思ってんの」


 神子都が手を抜かない理由がよく分からないが、スポーツマンシップにのっとっているのか、俺を苦しめたいかのどちらかだろう。

 何はともあれ勝てばいいのだ、相手はあの神子都だが……。


「準備はいいかな? それじゃあ、始め!」


 フィルの合図と同時に俺は針に糸を通す時のような目で、ラップを少しずつ回しながら注視する。

 しかし、透明で1mmもない段差を見つけるなんて事は、人間に出来ることじゃない。


「本当は端なんて無いんじゃないの?」


 ぶつぶつ文句を言いながらも、この加護からの解放を求めて必死にサランラップを見つめた。


「さて、さくっと勝ちに行くか」


 神子都は手に大量の輪ゴムを生成してから、四方八方に撃ち出した。

 部屋中を暴れ回る輪ゴム達は、どこぞの弾幕シューティングゲームを彷彿とさせる。

 しかも、その勢いは衰える事を知らないようで、部屋の中を際限なく飛び続けた。


「ちょっと、神子都痛い痛い!」


 俺の大きな当たり判定では、到底避けることなど出来ない。

 四方八方からバチバチと全身に痛みが走って、端を探すどころではない。

 特に耳に当たってくる輪ゴムが、泣きたくなるほど効く。


「これではダメか」


 輪ゴム戦法ではフィルを見つけられないようで、神子都は輪ゴムを全て消して、次の作戦に移った。

 神子都がゆっくりと両手の指先を合わせるように近づけると、その間の空間にソフトボールサイズの白い綺麗な玉が生成された。


「なにそれ?」


「これか? これは、小麦粉の玉だ」


 神子都がそう言うと、手元の玉が白い光を放って炸裂した。

 今度は視界が真っ白になって、何も見えなくなった。

 俺、最初の10秒ぐらいしかまともに探せていないんだが、ほんとうに大丈夫だろうか。

 しばらくして小麦粉が落ち着いた後にフィルを探すが、特にそれといった痕跡が見つけられなかったので、神子都はまた振り出しに戻っていた。

 俺は神子都の動きが止まっている間に、ラップに積もった小麦粉を払い除けて端を探し始めると、ラップに白い線が引かれていた。


「あっ、見つけた」


 俺が端に気付いたことに気付いた神子都は、急いで小麦粉を消したが、俺はもうそれを見失わなかった。

 破らないように丁寧に爪で剥がしてから、指で挟んで引っ張る。

 熱いのは少しの間の辛抱だ。


(ミコト)くんの勝ちだね」


 いつの間にか姿を現していたフィルが、俺の肩に手を当てて立っていた。


(ミコト)の勝ちはいいけど、フィルはゲーム中どこにいたんだ?」


「ずっとこの部屋にいたけど?」


「だが、輪ゴムも小麦粉も反応しなかったぞ?」


「まあ、端が見つかるまでは見つけられないからね。仕方ないよ。ちょっとしたイタズラだね」


 どうやら、あの設定は俺に緊張感を与えるだけのものだったらしい。

 なので、最初から俺の勝ちは決まっていたようだ。

 しかし、イタズラは相手を見極めてやらないといけないことを知っているのだろうか。


「じゃあ、約束通り加護をかけてあげるよ。両手出して」


 机の上に手のひらが天井を向くように手を出すと、フィルがそれを握ってきた。


「はい、もういいよ」


 フィルの加護をもらってから、机に手のひらをつけてみると、


「熱くない……」


 しっかり、今日の加護が打ち消されているようだ。


「だけど、ちょっとジメジメする」


 両手にピッタリ沿うようにラップが巻かれているような感覚があり、通気性がすこぶる悪い。

 フィルの言っていた和らげるの意味を理解しつつも、やっとまともに1日が過ごせるようになったことに安心する。


「フィル、ありがとう。これで今日もなんとかなりそうだよ」


「こちらこそ、遊べて楽しかったよ」


 いい感じに別れる事が出来そうだと思った時、今度は神子都が笑っていない笑顔でフィルの肩に手を当てていた。


「フィル、ちょっといいか。……ああ、(ミコト)はご飯食べてていいぞ」


 そう言って神子都はフィルを連れて部屋を出て行った。

 俺はフィルの無事を祈りながら、ご飯にラップをかけて、レンジにかける。

 ご飯があったまるのを待っていると、神子都のいる方から輪ゴムが目に追えない速度で飛んできた。

 流石にまずいと思った俺が急いで駆けつけると、そこにフィルはすでにいなかった。


「神子都! 何やったの!?」


「何って、普通に別れただけだが?」


「じゃあ、あの輪ゴムは何!?」


「あぁ、あれか?」


 神子都は俺を小馬鹿にするような、薄ら笑いを浮かべて答える。


「ちょっとしたイタズラだ」


「なんだよ、ビビらせるなよ」


 肩の力が抜けると同時に、空腹がやってきて腹が鳴り始めたり

 それに気付いたのか、丁度仕事を終えたレンジが急かすかのように俺を呼びだした。

1周年記念で活動報告に今までの感謝となんか色々書きました。

こっちはちゃんと4月1日に書きました。

1ヶ月も経ってるし、恥ずかしくて読み返せないしで、何を書いたか詳しく覚えてないですが、GWに呼吸ぐらいしかやることが無い暇な人がいれば、寄って行ってみてください。


進行度1.2% 書き忘れてた

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