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第11話 君はもうダメ

シアトはかなり強い神様にしてあります。

自分がいつも先送りに勝てないし、みんなも割と納得してくれると思うので。

後、番外編を書いているうちに設定が変わったので前回の話で攻めてきた勇者を戦士に変更しました。



「これでもダメかー」

 

 すでに10回ぐらいは挑戦しているが、まだ相手の体力を半分まで削った事がない。

 これでも最初に比べればかなりダメージを与えられるようになってきてはいるのだが、ベリーハードのチュートリアルなだけあって、一筋縄ではいかない。

 だが、今までの戦闘での立ち回りが段々と固まってきた。

 戦士が来てから真っ先にやるべき事は、魔王の部屋に入られる前に、なるべく多くの部屋を踏ませてデバフを掛ける事である。

 魔王の部屋に入られると、敵は死ぬ寸前までその部屋から出てこなくなるので、魔王の部屋に入られる前に沢山の部屋を踏ませる必要がある。

 その後、弱った戦士を魔物達で袋叩きにする展開に持ち込む事ができれば、勝てる気がする。

 部屋を一列に並べる事が出来れば、部屋を踏ませるのは簡単になるのだが、決められた枠内に部屋を配置して行く以上、そんな無茶な事は出来ない。

 そして、敵は隣接した部屋に出入りできる為、普通に歩かれると思ったよりデバフが掛からないまま魔王の部屋まで到達してしまう。

 そこで編み出したのが、1体の魔物で戦士のターゲットを引きながら逃げることによって、部屋を踏ませるという囮作戦なのだが、


「この戦士足速すぎるだろ!」


「もっと上手く立ち回らないとダメっぽいね」


 部屋を踏ませて行くうちに、囮の魔物がバッタバッタと薙ぎ倒されていくので、最後の袋叩きにする戦力が減ってしまい、結局負けてしまう。

 神子都は手伝わないと言っていたので、シアトと協力しながら立ち回りを改良していくが、やっぱり勝てない。

 1時間近く経過したところで、神子都がこのままでは無理だと判断して、ゲーム機を俺から奪ってきた。

 

「ああもうっ! 貸せ! あたしがやる!」


 神子都は慣れた手つきで部屋と魔物を素早く配置して、戦闘を開始したのだが、その配置は今まで2人で考えてきた形と全く違った。

 

「そんな配置じゃ全然踏ませられないんじゃないの?」


「いいから大人しく見ておけ」


 戦士が家に入ってたら玄関、廊下、キッチン、トイレ、風呂場と神子都も囮作戦を使って部屋を踏ませて行く。

 そんなにやっている事は変わらないな、と思っていたのだが、


「あれ? 戦士、俺たちの時より足が遅くなってないか?」


「本当だね。追いつかれる間隔が長くなってるね」


 目に見えて魔物の減っていくペースが遅くなっている。

 同じような作戦をやっているはずなのに、この差は何処から出てきているのか、素人の俺にはさっぱり分からなかった。


「なんでこんなに敵が弱くなってんの?」


「部屋の踏ませ方で、デバフにボーナスが乗るんだよ」


 今回は水回り関連の部屋を連続して踏んでいったので、鈍化デバフにボーナスが乗って、俺たちの時よりも更に戦士の足を遅くすることができていた。

 神子都はそのまま全部の部屋を踏ませて弱らせた後、戦士を魔物がひしめく部屋に招待して、見事勝利を収めていた。


「とまあ、こんな感じだ」


 俺たちが苦戦していた戦士を1回で撃退した神子都は、少し自慢げな顔をしていた。


「俺だって、最初の説明を聞いていればもっと上手くやれたし」


 神子都からゲームを奪い返し、ストーリーを進めて行くと、シアトが飛ばした所の説明が不自然な感じで出てきた。


「(部屋についての説)明をしていきます。敵は部屋を踏むと特殊な魔力によって能力が下がります。何の能力が下がるかは(部屋ごとに効果が)変わってくるのでよく確認して配置してください。(魔物は部屋を)自由に移動することができるので、部屋の配置と魔物の移動を駆使して戦ってください」


 以上だった。

 最初の説明を全部読んだ俺に対して、神子都がニヤニヤを抑えながら、俺の肩に手を置いて優しい言葉で貶してくる。


「そうだな、最初にこれが聞けてれば勝てたな」


 それに乗っかってシアトも俺をいじめてくる。


「ごめんね。チュートリアルの説明だから要らないと勝手に思っちゃったけど、必要だったね」


 さっきまでお前はこっち側の神様だっただろ!

 何とも性格の悪い神様達である。

 俺が何も抵抗できないのをいいことに、散々煽ってくる。


「今日はもうゲームはおしまい! そろそろ勉強やるよ」


「どの口が言ってるんだか」


 神子都に呆れられながら、なんとか神様達のいじめを致命傷で切り抜けることに成功した。

 ゲームが終わったことに対して、シアトは少し残念そうにしていた。


「そうか、もう時間になっちゃったか……」


 何の時間になったのか俺にはよく分からなかったが、そんな考え事は次の神子都の言葉にかき消された。


「(シアト、命ミコトは明日)テストがあるからゲームなんてしてる時間は無いぞ。(おい、最後まで)聞け!(それやめ)んか!」


 1時間前にシアトが飛ばした言葉が今帰って来た。

 今度のシアトは大人しくその半分だけの言葉を聞いて、


「分かったよ、今日はここまでにする。じゃあ、またね」


 と言って窓からどこかへ去っていった。




「さて、やりますか」


 さっきまでゲームをやっていたのにも関わらず、やけに勉強に対するモチベーションが高くなっている。

 明日の科目は数Bとコミュ英である。

 2日連続で数学があるのはちょっとキツいが、これも加護と一緒でどうしようもないので仕方ない。

 まだ課題も終わらせていないので、答えをチラチラ見ながら淡々と進めていく。

 たまに、こんなの習ってないだろという初めて見るような問題が混ざっているが、解法を血眼にして覚える。

 こんな式を量産した天才達に怒りを覚えながら勉強をしていると、背後で激しい衝撃音が鳴り響き、床が抜けたのかと思うほど揺れた。

 

「なになに!? 何が起こった!?」


 後ろを振り返ると、神子都がメガネを付けたスーツ姿の女性を一本背負いしていた。

 あの音はこの女性が思い切り床に叩きつけられた音だとここで分かった。

 叩きつけられた女性はヨロヨロと立ち上がり、少し目に涙を浮かべながら神子都に向かって話しかけ始めた。


「酷いじゃないの神子都ちゃん、私の猛烈なハグを拒否するなんて」


「ハグがしたいなら、(ミコト)にどうぞ、アリスさん」


「こいつはもう私のストライクゾーンから外れてるの、だってもう数学Bまで習っているじゃない」


 この神様は数学の神様で、重度の少年少女好きである。

 特に算数を習っている小学生の時が1番いい時期なんだそうだ。

 算数や数学の問題は歳を重ねるに連れて、「〜でしょうか?」、「解きなさい」、「求めよ」と命令口調になっていくのはよく知られていると思うが、それはどんどんこの神様の好きの対象外になり、対応が雑になっていくからである。

 数学の神様なのに、名前がマースじゃなくてアリスなのは、数学よりも算数の方がいいとブチギレられたからである。

 先程の対応から分かるように、神子都は少女の姿をしているため、凄く気に入られているが、俺は最初に会った時からこいつ呼ばわりをされている。


「神子都ちゃんは今日、点Pに勝ったんですってね。頑張りましたね〜」


  アリスは両手を上げ、手をワキワキさせながら神子都にジリジリと近づき、また抱きしめようとしているようだった。

 神子都はそうはさせまいと、体の前で両手を構えて臨戦態勢に入っている。


「今日はご褒美として神子都ちゃんの頭を撫でてあげるわ」


「結構です!」


 俺としては勉強に集中出来ないから、早くこの無駄な争いは終わって欲しいのだが、


「今日こそは撫でるまで帰らないわよ」


 と言っているので無理そうだ。

 アリスはどうせ俺の話を聞いてくれないので説得するのはやめて、神子都に諦めて撫でられるように促した。


「神子都、今日は大人しく捕まってやってくれ」


「あら? あんたもたまには良いこと言うのね。全然好みじゃ無いけど」


「それだけは出来んな」


 どちらも引く気は無いようなので、もう俺に出来ることは無くなってしまった。

 後ろでドッタンバッタンと争っている音に気を取られながらも、俺は進まない課題を少しずつ進めて行った。

数学の神様出したのは良いけど、考えてあったやりたいこと1000文字くらいで全部やってしまったんだが?

ここからどうしよう。

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