神も英雄も知らぬその世界で
これにて第一章完結です。
騎士ライトから逃げ、城から脱出するために現在僕は無数の部屋がある長い長い廊下を走り抜けているところだった。
「そろそろ、体力が切れてきたし、スキルを使うしかないか……?」
恐らくだけども『タキオン加速』のスキルならばなんとかなるはずだ。
「……晴兎か? どうして走っているんだ?」
兵士長に見られてしまった。
嘘をつく?
いや、ここで嘘をつけば不自然過ぎる。
「騎士ライトって人が僕を魔族だって言って襲ってきたのでここを脱出しようと思ってて……」
「……そうか。そう言うことならオレが城の裏口を知っているからついて来い」
兵士長は数秒の間考え込んでいたがどうやら強力してくれるらしい。
「ありがとうございます!」
十数分後、僕は無事に兵士長と共に城の裏口へと辿り着いた。
何人か巡回している兵士とすれ違いはしたが、兵士長のおかげで何とか怪しまれることは無かった。
「ついたぞ、ここが裏口だ」
「この棚が、ですか?」
兵士長はよくよく見ると少し配置に疑問を持つ程度の位置にある食器棚を指差しては裏口だと言う。
「虚属性魔法が使われているからな。そのまま潜れるからあまり気にすんな。それとこれも渡しておく」
すると兵士長から渡された袋を受け取ると『じゃらり』と音が鳴り、ある程度の重さがあった。
もしかしなくとも、お金を渡してくれたのだろうか?
「餞別だ。この辺りでも1ヶ月はギリギリ生活できるだろう金額だ。無くすなよ?」
「少しの間でしたがいろいろありがとうございました!」
僕はしばらく走った後、振り返っては追ったが来てないことにひとまず安心した。
まずは最寄りの街を探して寝床を確保しよう。
そう決意を決め、僕は街を探し始めたのだった。
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◇sideグラン(広乃綺羅)
「あっけないね、この国の騎士とやらも」
「きっ…きさ、まっ!」
目の前でそう言った後に気絶したのはさっき晴兎を襲っていた騎士。
かなり手加減したとは言えステータス差があるから当然なんだけど、あれほどの威勢を張っておいてこれかぁ……。
そろそろここから退かないと人が来るよね。
それに、ここに来てから気づいたけど晴兎は間違いなく『主人公』の力を持ってる。
その真実を知っていれば狙う奴らも多いはずだ。
「ま、この程度の実力じゃあ力は奪えないだろうけど」
そう言ってわたしが部屋から出ようとしたその時、ボクからしてもとても速いスピードでここに向かう気配がする。
ボクは咄嗟に偽装スキルを使用して気配と存在を偽装し、身を隠す。
「くっ、遅かったか…!」
1秒もしないうちにやってきたのは霧乃 星也。
クラスの中ではカリスマ性もあって発言力がある厄介な人物だ。
だけどこのまま隠れていればバレることは無いはず……。
「そこにいるのは誰だ?」
バレている? そんな馬鹿な、偽装スキルのレベルは最大値の10だぞ?
……いや、鎌をかけただけだ。
きっとそうだろう。
「もう一度聞く。そこにいるのは誰だ? 次は無い」
その鋭い言葉には恐ろしいほどの殺気と気迫があった。
私は普段の彼からは考えられない様子に警戒しながらも姿を現した。
「ボクだよ。霧乃 星也」
「……晴兎くんは?」
「そこの騎士に襲われてたからボクが引きつけてその隙に逃したよ。今頃は城の外だと思う」
「そうか、少し安心したよ」
「それで、さっきの気迫、アレが君の本性?」
「そんなものじゃない。けどその言葉は君にお返しするよ。さっきから一人称がいつもと違うけど、それが君の本性かい?」
「……まぁそんなところ」
先程までの気迫や殺気は無い。
けれどもお互い隠していることがあるのは確かだ。
「俺と手を組まないか?」
「理由は?」
「今は味方になる強力な戦力が欲しい。そして今、クラスの中でその戦力となり得る可能性があるのは俺を除いて2人しかいない」
2人?
ボク以上の戦力なんてクラスでいたっけ?
……いやでも、実際のところ霧乃 星也の戦力をボクは見抜くことができなかった。
そう考えると不思議なことではないけども。
「ちなみにもう一人は?」
「黒影留空、自称転校生のアイツだ」
あぁ、あの謎に包まれてるあの女ね。
……あの女はともかく私の目的としても戦力が増えれば助かる。
「……グラン」
「グラン?」
「冒涜神グラン、それが今のボクの名前」
「そういうことならこっちも名乗ろう。今の俺は朝葉 アタル、世界からは大英雄と呼ばれている。これからよろしく頼む」
「あぁ、うん、こちらこそよろしく」
大英雄、かぁ……。
「え? 偽名?」「こいつら何者なの?」「続きが気になる」
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