大会と中間テスト
初夏、大会が始まった。
私は声が枯れるほど応援した。
1回戦は勝ち上がったものの
2回戦で苦戦し敗れた。
3年生は引退となるため
涙が止まらない先輩達を見て
もらい泣きしてしまった。
引退試合後のミーティングで
新部長にまゆ先輩が選ばられ、
副部長に美樹先輩が就いた。
私はめまぐるしい変化に
追われつつ毎日を
過ごしていた。
先日、中間テストの日程および
出題範囲が発表されると
部活動は休みになり
試験勉強に追われる日々となった。
放課後、教室に残り
みんなで勉強会をするのが
日課になった。
「舞、ここ違うよ。
強調だから、shouldいれないと。」
「えっあぁそうか…。
那奈はいいね、英語得意でさー。
もう訳わからん。」
「私も得意ってほどでもないけど。
がんばろ!赤点取ったら夏休み補習になっちゃうよ
せっかくみんなでプール行こうって
言ってるのに行けなくなっちゃうよ!」
「それは絶対嫌!頑張る!」
私は文系には強いが、理系が苦手なので
教えつつ、教わりつつ
テスト対策を行なっていた。
「そろそろお開きにしよっか!」
里美に声をかけられ
みんなで帰り支度を整えた。
教科書をしまっていると
カバンの中に本が入っているのを見つけ、
今日中に返さなきゃいけないことを思い出した。
「あっやば、本返さなきゃ。
図書室寄って帰るから、また明日ね!」
私はみんなと別れ、1人図書室へと向かった。
静かにドアを開けると
何人かの生徒が試験勉強をしているようだった。
4人グループの席に
まゆ先輩と美樹先輩を見つけ、
まゆ先輩が私に気づいたようなので
一応、声をかけた方がいいかなと思い、
近づき小声で声をかけた。
4人グループは
まゆ先輩、美樹先輩、泰隆先輩、
そして…
笑顔のかわいい先輩…草薙先輩だった。
「まゆ先輩、美樹先輩、泰隆先輩
お疲れ様です。」
「おつかれ〜
那奈も図書室で勉強?」
「いえ、これ返しに。」
とまゆ先輩に見えるように
本を指差し答えた。
「あっそれ、この前圭くんも見てたよね?」
まゆ先輩は斜め右の方を見て聞いた。
「あぁ。結構いい感じだったよ。」
えっ草薙先輩も見たの!?
私は動揺を隠せず、
「ですよね!
あっ私、まゆ先輩の部活の後輩で
村瀬那奈と言います。」
と、なかなか変な挨拶をしてしまった。
「俺は草薙圭。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
私はたぶん顔を真っ赤にしながら
答えたと思う。
「私らもそろそろ帰るから
一緒に下駄箱まで行こう。」
美樹先輩の一言で
下駄箱まで皆さんと一緒に行くことになった。
先輩方が帰り支度をしているうちに
私は本を返却した。
図書室を出ると
まゆ先輩と泰隆先輩が前を歩き
美樹先輩、私、草薙先輩
の順で並びながら
下駄箱へと向かった。
隣を歩くことに
ドキドキ、バクバクしていた。
「那奈は教室で勉強してたの?」
「そうです。友達と教え合いつつやってます。
赤点だけは避けないと」
「私達と一緒だね。
って言っても今日は圭くんに教えてもらってばかりだったけど」
「そうなんですか。」
「こう見えて、圭くん頭いいから。」
「おい、こう見えてってなんだよ。
失礼だな。もう教えねぇぞ。」
「ごめん!それは、困る!
彼氏と夏休みデート行きたいんだから。
補習なんて受けてる場合じゃないの!」
「えっ美樹先輩、彼氏さんいるんですか!?」
「いるよ〜。他校だけどね!」
「いないと思ってました。」
「えっなんで?」
「居残り練とかもよくやってるので」
「他校だからなかなか会えないんだよね。
だから、暇な時は練習してるの。」
「そうだったんですね。草薙先輩は
部活何されてるんですか?」
「圭でいいよ。俺は弓道部だったけど
2年になったタイミングで辞めたんだ。」
「あっそうなんですね。じゃあ今は帰宅部ですか?」
「あぁ。毎日ぐーたら過ごしてるよ。」
1年次は部活動に加入するが
2年になるタイミングで辞める人も
多いのは知っていた。
そんな話をしているうちに
下駄箱に着き、挨拶をし、
先輩方と別れた。