進展
6月の大会の組み合わせ表が
届いたこの日。
メンバー登録の発表があると
体育館ではなく
特別棟の会議室に集まるようにと
連絡があった。
「初めての大会ドキドキするね」
一緒に会議室に向かっていた舞が
そう声をかけてきた。
「そうだね。バスケの大会自体
初めてだから
私は緊張しかないよ。」
女バス部員は全部で32名。
そのうち登録できるのは15名。
3年生は10名全員が登録になるといいなと
思っていながら
会議室に入ると
すでに何人かの先輩が席に座っていた。
どこに座ればいいのかと
立っていると
まゆ先輩が
「列ごとに座るから1年は
窓側の列に座って」
と言ってくれた。
「分かりました。」
一番窓側の前の席に座って
先輩や先生が来るのを待った。
「男バスも今日隣でミーティングらしいよ。」
「そうなんだ。来週、選手壮行会あるもんね。
今週中に選手登録の部活がほとんどなのかも。」
そんな話をしているうちに
先生と部長達が入ってきて
登録メンバーの名前が
読み上げられた。
3年生は全員登録になり
2年生4名、そして1年生から
舞が登録された。
ミーティングが終わり
「よかったね!舞!」
舞は経験者で1年の中でも1番上手だ。
私は嬉しくて、声をかけた。
「ありがとう。頑張る」
舞は緊張したような顔で答えた。
このあとは
いつも通りの練習になるので
会議室を整え、鍵を職員室に返しに行くのだが
1年の中でじゃんけんをして
負けた私が行くことになった。
ほんと、じゃんけん弱いなと
しょんぼりしながら
小走りで
職員室に向かい、
息を少し整え、コンコンとドアを叩き
「失礼しまーす」と言いながら
ドアノブに手をかけるとガラッと
ドアが開き、
中から出てきた人とぶつかってしまった。
「すみません。」と謝ると
「こちらこそ、すみません。」
と返してくれた。
見上げると、
笑顔のかわいい先輩である"ケイ"先輩だった。
恥ずかしくなり
パッと下をみると
中から「あっちょっと待て、草薙。
教卓にこのプリント置いといてくれ。」
「はい。」と返事をして先輩は
プリントを受け取り
職員室を出て行ってしまった。
私はその様子を横目に見ながら
鍵を返した。
草薙先輩
名前の分かった喜びで
足取りは軽くなり部活へと向かった。