「必要ない。」と追放されたので、頑張ることにした。
ようこそ、バーボンハウスへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね。謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この小説タイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「カッとなって書いてしまったんだな」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。
そう思って、この小説を書いたんだ。
じゃあ、注文を聞こうか。
「お前はもう必要ない、用済みだからクビだ!」
「はい?」
突然のパーティーリーダーからのクビ宣言にビックリした。
「な、何で?」
「はぁ? マジ気が付いてねーのか?
剣は使えない、魔法も使えない、かと言って荷物を沢山持てるわけでもない、お前は無いないづくしなんだよ!!」
「くっ…」
確かに事実だ、だからっていきなり首って無いんじゃないのか!?
だけど、リーダーが言っていることは俺も理解している。仕方ないか…
「分かった…」
「そうか! よく決心してくれた!!」
こうなったら…
「いや~! 旦那も冗談が上手いっすね!!」
ぺちっ! 俺は額を叩いてリーダーをヨイショする!
「よっ! 男前! カッコイイ! 最強! さすがっす!!」
「はぁ? 何言ってんだ?」
「さぞかし女性にモテるんじゃ無いっすか? あっ、すいませんね、当たり前の事をつい言ってスイマセンです!」
「ま、まーな。…って違う!」
「それにこの武器、こんなに良い物を持てるなんてさぞかし強いんでしょうね。」
「そーだろ? 自慢の剣でさぁ~苦労したんだよ、これ買うの。」
「そうでしょ、そうでしょうとも、次はその武器に有った鎧も必要になるかと思います。
これはほんの、リーダー様へのお近づきの印として、御進呈させて頂きます。」
俺は荷物より、菓子折りの箱を取り出した。
「ほぅ? 中身は何だ?」
「山吹路の菓子にてございまする。」
俺は菓子折りの箱を、リーダーへと手渡した。
リーダーに渡す前に、チラリと箱のふたを開けて中身を見せる。
「男よ、お主も悪よのう。」
「いえいえ、リーダー様ほどでは。」
「「わっはっはっはっはっは~!!」」
「ちょっと! 何返事してるのよ、こいつを追い出すんでしょ?」
良い所だったのに…会話に割り込んできたのは、魔法使いの女だ。もちろんリーダーのコレ(小指を立てる)だ。
「姐さん!! 今日もお綺麗っすね!!」
「な、何を突然、あ、当たり前じゃないの。」
「こりゃまた失礼しました。姐さんにとっては当然のことでしたね。失言しました。」
「わ、分かれば良いのよ。」
「ちなみに、ここに王都で流行りの化粧品を入手したブツが有るのでゲスが、姐さんなら特別にお譲りしても良いと思ってたんすけど、どうでっしゃろ?」
俺は荷物の中からそっと、ブランドのマークが入った化粧品を取り出した。
「そ、それ! 王妃様でも入手困難と言われている、幻の化粧品じゃない!!」
「その通りでゲスよ。姉さんにより綺麗になってもらうために、頑張って入手致しました。」
「く、くれるの?」
「もちろんでゲスよ! あっ、お代はもちろん要らないでゲスよ。」
「ふ、ふん、良い心掛けじゃない。」
「ありがとうでゲス!! 私、さらに美しくなられた姉さんを楽しみにしてるでゲス。」
「まーそこまで楽しみにされるんだったら、使ってあげなくもないわ。」
そう言って嬉しそうに化粧品を受け取ってくれた。よっし!
「そこまでアル!」
そこに割り込んできたのは武道家の女だ。もちろんリーダーのコレ(小指を立てる)パート2だ。
「みんな騙されているアル!」
「ははぁ~!!」
俺は土下座をかませる。
「と、突然何アル!」
「この世に舞い降りた女神様ではございませんか!! そんな女神さまに対し、頭を下げるのは当然です!!」
「何を言ってるアルか?」
「この無駄のなく美しく均等の取れた肉体、そしてお顔、噂に聞く武道家の女神様でございますね!!」
「ふ、ふふん、違うけれど、そう思えてしまうのも仕方ないアルね。」
「えっ? 女神様じゃなかったのでございますか? これは失礼しました。
いやしかし、貴方様が女神様で無かったのなら、この世の女神様は全部クソでございますね。」
「そうアルか? は、恥ずかしいアルね。」
「女神様の戦う姿を是非、この私めにお見せ頂きたく存じます。」
「こ、こんな感じアルか?」
女武道家はシュッシュとパンチやキックを繰り出している。
「おぉ…やっぱり女神様だ…素晴らしいでございます。」
「そ、そうアルね。まぁ、私くらいになると勘違いしても、ま、まぁ、間違いじゃないアルね。」
「これは新たな女神様の誕生の記念としまして、とってもお似合いだと思いますので、お布施とさせて下さい。」
俺は荷物の中から、ダイヤがちりばめているティアラを取り出した。
「貴方の信仰に感謝致します。」
女武道家はティアラを受け取った。
「みなさん! 騙されてはいけません!!」
最期に割り込んできたのは聖職者の女だ。もちろんリーダーのコレ(小指を立てる)パート3だ。
「この男の言葉に惑わされていけません! 気をしっかりと持ってください!」
「女王様! 醜い私を、その綺麗なお足で踏んでは頂けないでしょうか?」
俺は床に這いつくばり、聖職者の女に懇願する。
「なっ、何をおっしゃってるのですか?」
「その踵の尖った先端で私の背中をグリグリと踏んで下さいませ!!」
「えっ? えっと、こ、こうですか?」
聖職者の女がグリグリと俺を踏む。
「はぁはぁ、そ、そうでございます!
女王様にお願いするのは、申し訳無いのですが、お願いする悪い私を、この鞭でお仕置きをして下さい!」
女聖職者の顔がニヤリと微笑む。
「いいでしょう。悪い子にお仕置きするのは聖職者としても必要ですからね。」
女聖職者が何とも言えない顔で俺を鞭で叩いた。
ピシッ! パシッ!
「はぁう! も、もっとでございます。もっとお仕置きを~!!」
「えぃ! やぁ! この豚が!」
「ブヒブヒ! 有難き幸せでございますブヒ!」
女聖職者が足を前に出してきた。
「ほら、これが好きなんでしょ? 豚のせいで汚れたじゃない、綺麗にしなさい!」
「喜んでご奉仕させて頂きますブヒッ!!」
俺は女聖職者のヒールをペロペロと嘗め回した。
「あ~はっはっはっは~!!」
女聖職者は楽しそうだ。
「な、なぁ、みんなちょっと良いか?」
「何かしら? リーダー。」
「ちょっと考えたんだが、今こいつをクビ首にするのも可哀相じゃんか。
これからも仲間としてやって行っても良いと思うんだが、どうだ?」
「そうね、多少は役に立つみたいだし、良いわよ。」
「私は、この者の罪を許します。」
「あはははっ、たまらないわ! もちろん良いわよ!!」
「ありがとう!」
へへっ、ちょろい♪
「よし、新たなパーティーとしてやり直すぞ~!」
「「「「お~!!」」」」
こうして俺は、頑張った御蔭で元のパーティーに戻ることが出来た。
人間頑張れば何とでもなるんだな。ざまぁw
おしまい。
一応、嘘はついてない(笑)