見つけよう
【1】
僕は近所のマンションの屋上に立った。
古いマンションでセキュリティ一の甘さに驚いた。
冬の冷たい風が吹き付けて体が揺さぶられた。
高所恐怖症なら足が竦んで立てないくらいの高さだ。
もうすぐこの理不尽な世の中からおさらば出来ると思うと心が弾んだ。
「あぁ…俺…親不孝者だ…」
そう言い残し俺はこの世を絶った。
絶とうとした-…
確かに俺は死んだはずだった。
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「あっはは〜愉快だねぇ〜、この子は」
「でもよぉ、なんでこげぇな少年が自殺なんだ?」
「まぁね、いろいろあるのさこの子にも…」
耳に聞こえる確かな会話と笑い声。
高い笑い声に頭がズキっと痛んだ。
徐々に目が開き、意識もハッキリとしてきた。
ここは…?
その思った時、1人の男が話しかけてきた。
「やぁ、お目覚めかい?青くん?」
体を起こして全身を見るとピンクのズボンに白いTシャツの上に茶色のちゃんちゃんこに頭の上には青色のニット帽を被っていた。
なんともダサい。
「おっと、まだ意識が戻ってないのかい?」
「あ…っと…?」
男の横には小学生くらいの白いワンピースを着た女の子が立っていた。
「意識が戻ったようで良かったよ。僕の名は澤部瑞樹。初めまして。横に立っているのは金田閑だ。よろしくどうぞ」