マヌケな悪魔
マヌケな悪魔は存在する…!
誰のことかって…?なにを隠そう俺のことさ…!
昨日も俺は、どうしようもないマヌケをしちまったぜ…。
悪魔にキスされたら恋に破れるって聞いたことあるかい?
初恋の女の子が、大好きな彼に恋心を打ち明けられずに思い悩む日々を過ごしていたのを見た俺は…!そんな恋なんか破ってやろうと思った。彼女から俺は見えないが、俺には彼女が見えている…。
問題は俺のキスのタイミングだ!
彼女が少しでも彼のことを考えた瞬間がベストタイミングだ…。先輩悪魔からも、そのように教わってきたから。
俺にとって初めてのキスなのでミステイクは許されない。悪魔の俺らはずっと彼女の左肩に寄り添って、そのタイミングを見計らう。
と、その時。彼の左肩にドジな天使が寄り添ってキスしようとしていた。
「オイオイ!ちょっと待たんかい…!?」
ドジな天使はこちらに振り返ると、ニヤリと意味深なスマイルを送ってきた。
「お前の失恋キスを邪魔しまぁ~す!」
「なんて奴だ…!」
ドジな天使は彼の左頬にディープなキスをかました。焦った俺は何も考えず彼女の左頬に軽くキスをしてしまった…。
彼女は彼のことなど全く考えておらず、彼もまた彼女のことなど…!これぽっちも考えていなかった。
数年後…?
彼女と彼はごく自然に恋愛し、彼は毎朝彼女の左頬に軽くキスしていた。
マヌケな悪魔と…!
トジな天使のせいで…!




