疑い
ギルドマスターに疑いをかけられますがレイは職業についての真実を知ります
受付のお姉さんはさらに持ち込まれた品質の良い薬草とゴブリン討伐証明となる大量のイヤリングで困っていると奥からどうした?というような顔で覗く男性の姿があった。
「マスター、この子です、例の・・・」と続く言葉はレイにはよく聞こえなかったが、なにやら6属性持ちについてだったりギルド試験でグランを倒した事。そしてこの大量の薬草を2.3時間ほどで持ち込んだ事やグランの甥であることなど色々話していたらしい。
話が終わったらしくそのマスターと呼ばれた男がカウンターへ向かって歩いてくると「レイ=ティンバー君だね?ちょっと話したいことがあるからこっちに来てくれないか?」と奥の部屋を指差す。
レイはそれに頷くと2人で部屋に入って行き、向かい合わせのソファへと腰掛けた。
「さてさて、まずは自己紹介だな。私の名前はアイン。アイン=ソルド。このギルドのギルドマスターをしている。君はグランの甥っ子さんだね?まずこの薬草について説明してくれるかい?」
アインは足を組みながらレイのギルド登録資料を片手に質問してきた。
うーん、ここで何を話すと色々面倒なことになるんだろう。あ、そうだ、アカネに聞いてみよう。
レイはアカネにTellを飛ばしたが返信は来なかった。しょうがないか。
「えーっと、説明も何も薬草を見つけて持ってきただけなんですが」
「ああ、質問の仕方が悪かったようだね、すまない。レイ君は"どうやって"薬草を見つけて持ってきたんだい?」
アインは足を組み直してそう言い放つ。
このユニークスキルである鑑定に関して言えば色々面倒なことになりそうだから、職業としてのスキルの採集鑑定で探したと言えばいいかな?
「採集師のスキルで採集鑑定というものを使いました。それによって薬草がすぐに見つけられるようになり集めるのがとても捗りました」
よし、これでセーフな筈だ。だが事態は思った方向とは別の方向に進展する。
「採集師?君は魔法使いであり、剣士なんだろう?採集師という職業は存在しないんだ。仮に存在したとしてもなれるわけがないんだよ。まず、メインの職業についてはこの世に生まれると神から与えられるものだ。またサブの職業というのは自分自身で選ぶことが出来る。この職業というものは一度確定すると変更が効かないものなんだ。どういうことかわかるね?」
あれ、そんなこと習ったことないぞ?いや、だが待てよ。例えば貴族の子は貴族に。農民の子は農民に。騎士の子は騎士になるのが"当たり前"だと思っていたがそれは生まれた時からの神からの職業設定によるもの?だとすると農民の子から剣士は生まれない?いや、サブ職業といっても剣士をサブ職業にしたからといって能力値が下がるわけでもない。それで剣士として上まで登りついたとする。そしてその子どものメインの職業は何になるだろうか?きっと神さまからは剣士としての才能を与えるはずだ。その方が親にとっても"幸せ"だろうしな。剣士から農民の子が生まれたとしたらどんなショックを親に与えるかわからない。なるほどなるほど。
レイの思考はその職業システムに気を取られてしまっていたが思考高速化によりそれは現実での時間は1秒にも満たなかったためアインへの返事も遅れることはなかったが、うまい答えは見つからなかった。
「つまり、自分が嘘を言っていると?」
「いや、そういうことじゃないんだ。どうやってやったかが気になっているんだ」
「先程も言いましたが、採集師のスキルによって薬草を選別、採集しました。採集師という職業の概念はないのかもしれませんが、自分自身としては"ある"と認識しています。また、"ある"と認識しているからこその結果です」
ふう、ただ薬草を採集してきただけなのになんでこんな面倒な事に巻き込まれるんだ?
アインは少し考えた後に立ち上がり、なにやら部屋の棚にあった一枚の紙を取り出してレイの前に出した。
「わかった。君のいうことを信じるためにこの紙に魔力を注いでくれないか?」
アインはほんの少しニヤッと笑ったように見えたがレイはそれに気づくこともなくその紙に魔力を込めたのであった。




