2話
「もう・・・伯父様何がリーン・シェイダ様のお宅ですかな?よ・・・」
母さんが初老の男を睨みつける
「ハッハッハ!スマン!スマン!ちゃんと母をやっておるではないか!結構!結構!」
当たり前です!と本気ではないが少し怒りつつ手に持っていた森ウサギの肉を机に置く
「うむうむ、キミがリュート君だな?昔の面影が確かにある」
よく見てみると大分前だが以前家に来た男の顔と似ている、ヒゲが生えていて
一瞬わからなかったが
「あの時はこんな小さな子だったからワシを覚えていなくても無理はないワシはマキシュ・セルダールと言うキミのお爺さんという所かな」
「爺さんですか何か実感がないですけど」
長く一緒にいたわけではないので全然そんな感じはしないんだよな
「で?伯父様はここに何しに来たんですか?」
うむと一つ頷くと神妙にこう言った
「まずは弟の嫁の夕食を楽しみたいかのう」
森ウサギの肉を西の森でとれるハーブと高価な香辛料を使って焼いて
簡素なスープを少し作り
普段よりちょっと豪華な夕食となった
夕食をすませて少し時間を置いてから爺さんは話始めた
「では、話が少し長くなるが端的に言うと魔族が一部の砦を破り王国内にまた近づいてきおった」
やっぱり・・・と母さんが心配そうにあの人は大丈夫かしら・・・と呟く
「このままでは魔族は王国首都に攻め入る勢いだそれはワシも望む所ではない」
奴らの狙いがわからんと呟く爺さんに聞いた
「大丈夫何ですか?」
「幸い最重要拠点にはケントの部隊がおるからな、お前の父じゃよ」
父さんが・・・俺が小さい頃に家から出て行ったと聞かされていたがそんな所にいたのか・・・
「この20年防衛を続けていたが後数年もつかどうか・・・そこでだ」
「私たちのメンバーをですか・・・もうかなり危ない状況何ですね・・・わかりました」
母さんがこちらを向き真剣な眼差しで俺を見る
「リュート・・・やってもらいたい事があるの私たちが身動きができない状況に陥ってしまっているこの時に」
母さんが懐から綺麗な深紅の装飾がついた宝石を取り出す
「これを持ってある方に助力を頼んできてほしいの、かなり危険な役目を押し付ける事になるわね・・・やってくれる?」
「母さんそいつは何て奴なんだ?」
「龍神王ミドガルズオルム、魔国にいる龍族の長よこの深紅の宝石を見せればきっと助力してくれるはずよ」
「わかった、頑張って行ってくるよ」と力強く答える
母さんがそんな簡単に決めて大丈夫?と聞いてきた
「その為に俺をこんなに鍛えてたんだろ?」
というと少し驚いた顔をした
「それだけではなかったんだけれど、そうねあの人と私の子だもの我が子には死んでほしくはないわ」
そうね、1週間後ぐらいには準備を済ませてこの村をたちましょう
という言葉とともに今日の話は終わった
翌日の朝伯父さんは頼んだぞと一言残して王国に帰っていった
何やらあの後話あっていたようだが、俺は空気を読んで席をたってすぐに寝たのだ
その日の夜アイラさんとフェルが俺の家に訪ねて来た
開口一番アイラさんが
「行くんだろ?」と真剣な顔で母さんに聞いてきた
「えぇ、アイラもついてきてちょうだいね」
「わかってるよ、ケントの馬鹿にはまだ死んでもらったら困るからなアタイが援護してやるよ」
ついでにお前もなとニカっと笑って母さんの背中を叩く
「ウォルドにはここに残っていてもらうわ、村人の護衛もかねてね」
「そうだな、アイツがいれば大抵の奴はこの村を落とせねぇ」
それに奥さんを置いていけねぇしな・・・と遠くを見て苦笑するアイラさん
「って事はザイスとアタイとリースか、雑魚狩りにはこれで十分だろうな」
んじゃま、コイツを頼んだぞ!とフェルの背中を叩き俺に押し付けてきた
うわぁ!とフェルの体が俺に密着する
「母さん何するんだよ!ココココイツに触っちゃったじゃないか!」
素早く距離をとりながらあせるフェル
触っちゃったって・・・俺はゴキブリか何かか・・・
「女は積極的にだぞ!フェル!男は押しに弱いヤツが多いぞ!ハッハッハ!」
快活に笑うアイラさん
おう、少しぐらいなら手出しても大丈夫だぞ?と小声で囁いてくる
フェルにそんな魅力があれば出しますけどと小声で返答しておく
「まぁ、それはさておきコイツにはアタイの技は多少は使えるようにしておいた役には立つはずだ」
フェルもついてくるのか確かに一人で龍神などのところにいくのは不安だったから同行者はありがたい
「ボクがいればリュートも安心だろ?やっぱりボクがいないとね!」
あまりない胸をそりながら・・・いや最近は少し成長してきた胸をそりながらエッヘンという言葉がピッタリな顔で言う
「あ、一緒に行くからって襲ったりするなよ!」と少し赤くなりながら言う
「そんな事言ってる内は当分はしねーよ」
と・・・とうぶんは!何時かはするって事!?ねぇ!?と何か言ってるフェルを無視していると
「リュート、頼んだわよ」
「やってみるけど期待しないでくれよな」と母さんからの言葉に返答した