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ゲームの始まり

 周りの家は焼け、焦げ臭い町に息をしていない子どもを抱き抱えている男がいた。男は燃え上がる炎と対面しており、どこか炎は人の様な姿をしている。


 【さぁ選べ。汝は何の力を望む】


 「俺は、誰かを守れる力を。誰も傷つかない世界にするために。」


 【汝の願い承った。ようこそディヴァインズゲートによって支配された世界へ】


 光が男を包む。





 次に男が目を覚ました場所は先程の焼け野原とは違い、緑の草原が広がっていた。


 「どこだここは。神が言っていた、ディヴァインズゲートによって支配された世界なのか。」

 男は、立ち上がり周りを見渡す。見渡せば見渡すほど、自分のいた世界とは違うことに気づく。そして、自分の近くに先ほど抱き抱えていた子どもがいないことに気づいた。

 

 「アラクネどこいった。俺と一緒にこっちの世界に飛ばされた訳ではないのか。」


 男はもう一度周りを見渡すが、どこにも見当たらない。

 「くそ!あの神ってやろうアラクネをどこにやりやがった。おいっ見てんだろ。アラクネをどこにやったんだよ。出てこい。」


 男は大声で叫びが、人の様な形をした炎がもう一度現れない。それに男は業を煮やした。何度も叫ぶが出てくることはなかった。


 「全然出てきやしねえ。神ってやろうに騙されたのか。誰かを守る力が欲しいと言った割に、その力もなんら備わった訳じゃないし…。あーもうイライラするな。」


 男は、苛立ちを押さえつけられず、地面を蹴った。足先にかすめた土が前方に飛ぶ。土は流線を描き、土から出ている何かに当たった。すると、その何かはいきなり土から飛び出した。


 「おうおうおう。誰々だ。おらに喧嘩をうるのわ。わざと土をおらに当てやがったな。」


 その容姿はまさにもぐら。もぐらがかなり大きくなった形であった。男がけった土は、どうやらもぐらが地上に出ようとしていた時に丁度頭にあたってしまった様だ。


 「いやすまない。別に喧嘩を売っている訳はなくてだな。って、大きいもぐらがなんで喋ってるんだ。しかも、二足歩行だと!」


 男は蹴った後、後ろを向いており喋っているのがもぐらだと気づかなかった様子であった。しかし、もぐらはそれを聞いて、先程よりも一層怒っていた。


 「おい。誰がもぐらだって…。あんな下等生物と一緒にするな!おらは、雷獣だぞ。」


 もぐらは、前足の三本指の足で地団駄を踏んでいる。男としては、どうしても雷獣に見えないらしく、笑いをこらえているが、堪えきれていない。


 「てめえ。この雷獣様のライデーンを馬鹿にするとはいい度胸だ。おらに喧嘩を売ったことを後悔させてやる。ディヴァインズゲートオープン。」


 ライディーンのディヴァインズゲートオープンという掛け声と共に、どこからともなく扉が上空に出現した。その扉は、禍々しき骸骨と神々しい神と天使の相反する模様が描かれていた。男は初めて見る扉に驚きを隠せない様子で空を見上げている。それを見たもぐらは、何処か余裕の表情を浮かべている。


 「もしかして、お前は初めてなのかディヴァインズゲート。ふっふっふっ。これはいい獲物になりそうだ。」


 もぐらは笑っていると、扉から脳内に声が聞こえた。


 【ライディーン。汝の要求はなんだ。】

 その声は、炎の形をした神と名乗っていた者の声だった。


 「うーん。敗者が勝者の奴隷になる。これにしよう。」


 【相分かった。それでは、ディヴァインズゲート開門。】


 その言葉と同時に、光が縦9マス、横3マスの盤上が現れた。男とライディーンは光に囲まれ、体が浮き盤の両側に運ばれる。

 男は何が起こったか理解できず狼狽える。そして、理解しないうちに進んでいく。男は思考回路が追いついていない。


 「おい。もぐら。勝手に話を進めるんじゃねえ。俺の話を聞け!大体今から何が始まるんだ。この扉はなんだ全部説明しろ。」


 「ふっふっふっ。おらがこれから勝負する奴に話すと思うか。バーカ。」


 男はライディーンに更にイライラしていたが、自分に落ち着くように言い聞かせた。色々聞きたいこともあるが、ライディーンからは聞けないことを理解したからである。男は思考回路をフル回転させていた。


(このディヴァインズゲートとか言う物はなんだ。神がディヴァインゲートに支配する世界っていうのはこう言う事だったのか。そうだ。この頭の中に響いていた声は、あの神って名乗っていたやつの声だまずはコイツに聞こう。)


「おい!神!このディヴァインゲートって言うのは、なんだ。せめて、何が起きるか教えてくれ。」


……


(くそ!返事がない。ダメだ。ディヴァインゲートについて聞いても無理か。じゃあどうすればいい。)


【それでは開始とする。ダイスロール。】


 「せめてルールだけでも教えてくれ。」


……


 (これもダメか。もう覚悟を決めろ。)

 ライディーンは、自分の首から下げているモグラの形をしたネックレスを取った。


 「雷鳴を轟かし、全てに恐怖与えろ。1-2に雷獣召喚。」


その声と共に、雷が鳴り響いた。そして、ライディーンから1マス目、左から2マス目に雷を纏った白い針金の様な毛で覆われた、鼠の様な土竜の様な姿がゆっくりと現れた。そして、雷の音と似たような鳴き声が響き渡った。


 「何だあれは。もぐらが何か言ったかと思ったら、雷が落ちて来てモンスターが現れたぞ。」


「ふっふっふっ。恐れているな。おらの本当の姿だ。」


 「いやいやお前はモグラのままだろうがよ。」


 「違う!本当の姿だ!馬鹿にしやがって!お前もさっさと召喚しろ。」


 (召喚しろって言ったって、そんなもん…。)


 男は首に手をかけると、そこには一つの亀の形をしたネックレスがかかっていた。


 (これって…。)

 男は亀の形のネックレスを触った。




 《其方が儂の主か。》

 あんたは誰だ。

 《儂の名は玄武。四獣の1人。其方の守りたいと言う気持ちが強く感じた。だから、儂が力を貸してやろうと思っての。さぁ其方の望んだ力だ。召喚方法は頭の中にもう浮かんでいるだろう。さぁ力を見せろ。》



 男は亀のネックレスを握り締めた。

「守護の力を宿し亀よ、全てのものを守りし巨城を見せよ。」


……


 (おい。召喚されないぞ。すごいカッコつけて叫んでみたけど、何も起こらないぞ。)

 

「ふっふふふ。あはははは。笑いが止まらねえや。お前召喚もまともにできないのか。じゃあ時間切れになるまで待とうかな。3分が時間制限だから。中央に砂時計がある。それが全て落ちきったらお前の負けだ。」


(まずいぞ。時間制限があるなんて…。残り半分程度になっているし。考えろ、考えるんだ。そうだ玄武。玄武は、このルールは知らないのか。)


《すまないが、儂は知らん。》


(うーん。じゃあ自分で考えるしかないのか。召喚した時の、口上はあいつも言ってたから間違いはないはず。じゃあ何が違った…。)


『1-2に雷獣召喚。』


(そうだ。なんかの数字を言ってたな。この数字普通に考えたら座標だよな。じゃあ、1-2で召喚された場所は…。あの場所か。将棋だと1八馬とかそういう表現していたな。それと同じなんなんじゃないか。でも、将棋と違うのは先手側の方から数えて両方共一マスと言っているんだ。そうに違いない。)


「ほらほら早くしないと時間切れだぞ。後一分もないぞ。」


「もぐら見とけよ。守護の力を宿し亀よ、全てのものを守りし巨城を見せよ。9-2に玄武召喚。」


男が唱えた瞬間土が弾け飛ぶ。そして、巨大な城を背負った亀が徐々に姿を表す。雷獣に比べると2倍以上の大きさがあり、背負っている城はどこか古さを醸し出しながらも、神秘的な姿をしていた。玄武は、一歩踏み出し、雄叫びを挙げた。その雄叫びは、地響きをさせた。


「お前に負ける程俺は弱くない。そうだ俺の名前を教えてなかったな。俺の名前は近藤蓮水こんどうはすみだ。お前が負ける名前だ。よく覚えておけ。」


次から戦いのシーンに入ります。ルール説明もしっかり行います。

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