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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第三章 クラン結成編

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ロレーヌ、面接を受ける

クラン加入メンバー視点。

暫くの間、更新が月、水、土の週三日を予定。

 あたしの名前はロレーヌ。16歳の女盗賊だ。水色のショートヘアは癖が強くて縮れている。顔にはソバカスが残り、体も痩せ型で細い。


 ……正直な所、女としての魅力が乏しい事は自覚している。


 そもそも、あたしは孤児である。早くに両親を亡くし、親戚もいなかった為、孤児院に引き取られた。


 そして、孤児院では貧しい生活を強いられて来た。


 あたしにオシャレに気を使う余裕なんて無かった。いつもお腹を空かせていたから、発育不良で体も痩せて小柄だ。


 今のあたしが魅力に欠けるのも、全ては過酷な環境のせいなのだ。


 そんなあたしは、10歳頃から盗賊ギルドに出入りし始めた。簡単なお手伝いをするだけで、お菓子や食事を分けて貰えたからだ。


 10歳のお腹を空かせた子供には、ちょっとした食べ物はご馳走に感じた物だ……。


 盗賊ギルドでは、ギルド職員や冒険者のオッサン達に可愛がられた。今の新人を見てても信じられない位に親切にされた。


 ……今だから思うが、小さな子供が働く姿に、荒んだ心が癒されたのだと思う。盗賊なんて職業は、周りの見る目も厳しいからね。


 ただ、あたしにとってはチャンスだった。数年間の間に、色々な事を教えて貰った。


 食べ物を安く買えるお店や時間、子供でも手に入れられ薬草の群生地、ギルド職員の家庭での弱み等々……。


 そんな環境で育ったあたしは、当然ながら盗賊になった。それからも、ギルド職員や先輩盗賊達に、色々な技術を教えて貰った。


 最も教えて貰ったのは、気配探知と気配隠蔽の二つ。ソロでも薬草等を採取出来るし、パーティーでも斥候が勤まるからだ。


 それはあたしの安全を考えてくれての事だろう。しかし、あたしは次第に、このスキルを別の事に使い始めた……。


 それはスリである。あたしは独自に盗むスキルを身に付け、スリの腕を上げて行った。


 スリであれば街から出なくて済む。外からやって来る奴なんて、いくらでもいる。薬草採取なんかより、よっぽど稼ぎも良い。


 わざわざ危険な外に出る必要なんて無いわけだ。


 しかし、何故かそんなあたしが、クランの面接を受ける事になってしまった。


 ギルドマスターの言い分では、試しに応募したら通ってしまったと。ギルドマスター自身も驚いたらしい。


 失礼な事に、クラン事務局からの依頼で、適当に選んだとの事だ。


 しかも、そのクランのリーダーは、賢者ゲイル様のお孫様らしい。書類選考が通った後に知らされたらしく、今さら断れないと泣き付かれた……。


 そんな訳で、あたしはやむ無く面接を受ける事になった。ギルドマスターの顔を立てる為である。


 あたし自身は、クランに入りたいと思っていない。入れば本格的に、冒険者として活躍しないといけないからだ。


 だから、サクッと行って来て、さっさと断られて来るつもりだ。あたしは軽い気持ちで面接場所へと向かった。




「ほぁ~……」


 あたしは屋敷を見上げて呆然とする。明らかにでかくて、金の掛かった屋敷だったからだ。


 富裕層が住むエリアとは言え、平民の区画にこんな屋敷があったのか……。


「……ロレーヌ様、アレク様がお待ちです」


「ああ、ごめんごめん」


 ピリピリしたクラン事務局の職員に、あたしは軽く謝っておく。彼女は軽く顔をしかめ、小さく息を吐いた。


 ちなみに、彼女がピリピリしてるのは、あたしが待ち合わせ時間に遅れたからだ。


 遅れたとは言え、時間は精々三十分程度。そこまで気にしなくて良いのにね?


「それでは、案内させて頂きます。どうぞ、お入り下さい」


「どうも~。お邪魔しますね~」


 あたしは屋敷に足を踏み入れる。キョロキョロと観察すると、内装にも金を掛けてるのがわかる。


 カーペットも飾られた絵画も、売れば相当な値になりそうだ……。


 そして、とある部屋の前に案内される。その扉の前には、一人のメイドが立っていた。彼女はこちらに頭を下げた後、扉を軽くノックする。


「ロレーヌ様が参られました」


「どうぞ、通して下さい」


 中から若い男の声が返って来る。この声の主が、例の賢者様のお孫様かな?


 メイドが扉を開き、あたしに入る様に促す。あたしはそれに従って入室する。


 そして、そこには三人の青年少女が待ち構えていた。


「アレク様、ロレーヌ様をお連れしました」


「ありがとう御座います。さあ、ロレーヌさん。席にお座り下さい」


「は~い」


 ソファーの真ん中に座った青年が席を勧める。真っ白な衣装も着てるし、彼が賢者様のお孫様で間違い無いだろう。


 あたしは席に向かってゆっくり歩く。そして、こちらを見つめる三人をじっくりと観察する。


 真ん中のアレクってのは、優しげな笑みを浮かべている。余り威厳は感じないけど、あの笑みは作り物臭い気がするな……。


 左の青年はヤバい感じがする。年齢はあたしと変わらない位なのに、纏う空気がベテランクラスと同じだ。


 今も自然体に見えるけど、いつでも腰のナイフを抜ける体勢にある。彼は怒らせ無い様に気を付けておこう……。


 右には小さな女の子が座っている。クランには不似合いな、10歳にも満たない子供である。


 今もアレクに引っ付いて、オドオドとこちらを見ている。場違い感が凄いけど、今の所は様子見だね。


 あたしが木の椅子に座ると、真ん中のアレクが口を開いた。


「今日はお越し頂きありがとう御座います。条件等のお話の前に、まずは私達の紹介から行わせて頂きます」


「宜しく~」


 あたしが軽く返すと、背後で気配が動く。女職員が何かを言いかけて止めたのだろう。


 ただ、目の前の三人に反応は無い。アレクは気にした様子も無く話を続けた。


「まずは、私がこのクランのリーダーを勤めるアレクです。既に聞いているでしょうが、賢者ゲイルの孫で、私自身も賢者の職を修めています」


「へえ、凄いね~」


 ヘラヘラと笑いながら答える。背後の気配が強まるが、やはり三人に反応は無い。余りにも反応が無さすぎて、少しイラッとくる。


 ただ、あたしと同い年くらいで上級職なのは流石だよね。余程、恵まれた環境で育って来たのだろうな……。


「隣の彼はギリーです。Lv50の狩人で、私の乳兄弟でもあります。彼にはこのクランのサブリーダーをお願いします」


「宜しく頼む……」


「よ、宜しく~」


 少々ふざけた態度を控え目にする。彼の雰囲気が、あたしを指導したベテラン職員に似ている為である。


 彼に叱られた記憶が甦り、ギリー相手に軽い態度が躊躇われるのだ……。


 それにLv50って言った? それって、普通は10年位かかるんだよね?


 雰囲気から嘘では無さそうだけど、どうなってんだろう……?


「そして、こちらがボクの妹のアンナ。年齢は7歳だけど、Lv15の黒魔術師です」


「よ、宜しく……」


「宜しくね~」


 アンナちゃんにはヒラヒラと手を振る。しかし、アンナちゃんには目を逸らされてしまった。


 ってか、Lv15の黒魔術師? いやいや、まだ7歳なんだよね? 流石にあり得なく無い?


 あたしでもLv14まで一年以上はかかってるんだけどな……。


 内心では混乱するも、それを見せずにヘラヘラ笑う。良くわからない相手に、弱味は見せない方が良いからだ。


 とはいえ、説明が本当なら、この三人はかなり異常だね……。


「さて、簡単ですが私達の説明は以上です。次にロレーヌさんの話に移って良いですか?」


「うん、良いよ~」


 軽薄な笑みを浮かべながら答える。疑問は沢山あるけど、何から聞いて良いかもわからない。


 なのでまずは、相手の話を全部聞く事にした。


 アレクは満足そうに頷く。そして、手元の資料を見ながら、楽しそうに続ける。


「……中々に面白い生活を送ってますね。盗賊のスキルを使って窃盗ですか。ギルドマスターも手を焼いてるみたいですね」


「なっ……!?」


 何でそんな事を知ってるんだ? ギルドマスターが知っていた? だとしても、それを面接するクランに伝えるだろうか?


 あたしは警戒を強めてアレクを睨む。しかし、アレクはクスクス笑うだけである。


「しかも、盗んだお金の半分は、孤児院に匿名で寄付ですか。院長も、さぞかし困ってる事でしょうね……」


「な、何で……!?」


 どうして、そんな事まで知ってるんだ? 調べようと思って、簡単に調べられる事では無いよね?


 それに、そんな事をあたしに聞かせる理由がわからない……。


 あたしはゴクリと喉を鳴らす。アレクは戸惑うあたしに微笑みを向ける。


「ロレーヌさんは、孤児院を大切にしてるんですね。孤児院で暮らす子供達も。それに、孤児院長には格別の恩を感じている……」


「…………!?」


 アレクの目を見て戦慄する。顔には笑みを浮かべていた。しかし、目の奥には違う感情が感じられたからだ。


 ……あたしは観察されている。弱味を突き付け、あたしがどう反応するか確かめている。


 まるで、あたしを実験動物か何かの様に……。


「……ふざけるな!」


 あたしはカッとなって立ち上がる。アレクは驚いた表情を浮かべるが、それすらも嘘臭い。


「賢者の孫だからって、関係あるもんか! 孤児院に手を出すなら容赦しないよ! あたしがあんたを殺してやる!」


 あたしが啖呵を切ると、アレクは不快げに眉を寄せる。そして、厳しい視線を扉の方に向けた。


 そちらにいるのは事務局の職員とメイドだ。あたしの事を抑えつけるつもりか!?


 あたしは慌てて振り返る。ただの面接と思って、武器を置いて来たのは失敗だった……。


「ん……?」


 何故か、職員とメイドは固まっていた。目は大きく開かれ、口は半開きである。


 そして、二人の目はあたしに向いていない。あたしの背後に向けられていた。


 ……背中に悪寒が走る。猛烈に嫌な予感を感じ、あたしは恐る恐る正面に向き直った。


 そして、あたしも二人と同じく、目を見開いて驚愕した。


「な、あ……」


 少女が佇んでいた。


 いつの間にか、手には杖が握られている。ゆらりと体を揺らし、その視線をこちらに向ける。


 世を恨むかの様な、深い闇を感じさせる瞳で……。


「お兄ちゃんを……殺す……? 貴方は……お兄ちゃんの敵……?」


 この子はアンナちゃんなのか?


 先程までのオドオドした様子は無く、今の彼女は別人にしか見えない。


 その顔には鬼気迫るものがあり、尋常では無い圧力を放っている。


「う、ああ……」


 あたしの体はカタカタと震え出す。足に力が入らず、その場に尻餅を着いた。


 ……この強烈な圧力は、殺気という奴なのだろう。


 彼女の放つ殺気に、あたしの本能は恐怖を感じていた。


「敵は殺す……。奪われる前に殺す……。もう、奪わせない……。私の大切な人を……決して、誰にも……」


「ひうっ……!」


 彼女が一歩を踏み出す。それだけで、あたしは泣きそうだった。自分の死をイメージしてしまったからだ。


 ……そう、彼女はあたしを殺せる。


 彼女には魔法という力がある。殺そうという意志がある。


 そして、何よりも人を殺す覚悟がある。ハッタリで殺すと口にした、あたしとは言葉の重みが全然違っている。


 この子は何なのだ? 彼女は7歳の少女じゃないの?


 こんな子が、どうして人を殺す覚悟なんて持っているの?


 こんな小さな子が、どうすればこんな殺気を放てる様になるの?


 次の瞬間、彼女の持つ杖があたしに向けられる。あたしは死を覚悟して、ぎゅっと目を閉じた。


「ごめんなさい、院長先生……」


 不用意に挑発しなければ、あたしは死ぬ事が無かったかもしれない。それに、あたしが怒らせた事で、孤児院に被害が出るかもしれない。


 あたしがもう少し、考えて行動出来ていれば……。


 ……しかし、あたしの後悔を他所に、待てども死は訪れ無かった。


 不思議に思って目を開くと、そこにはアンナちゃんを抱き締める、アレクの姿があった。


「……お兄ちゃん?」


「大丈夫。ボクは死なないよ」


 ぼんやりと見上げるアンナちゃん。それを優しく見下ろすアレク。


 そして、アレクはゆっくりと語って聞かせる。


「ロレーヌさんは、勘違いをしただけだよ。自分の大切な人達が傷付けられるとね。だけど、ボクはそんな事をしない。アンナならわかるよね?」


「うん、お兄ちゃんは優しいから……」


「なら、ロレーヌがボクを傷付ける事も無い。しっかりと話し合えば、誤解は解けるはずだよ」


「……うん、わかった」


 アレクは気遣う様に、アンナちゃんを座らせる。


 そして、自身も隣に寄り添い、彼女をそっと抱き寄せた。彼女が落ち着く様に、その頭を撫でながら。


 アンナちゃんは照れた様子で俯く。しかし、アレクからは離れない。むしろ、しっかりとアレクの服を握りしめている。


 ……なんだ、このシスコンとブラコンは?


 空気が一気に甘くなった。殺伐とした空気は、一瞬で霧散した。


 あたしが感じた、死の覚悟は何だったんだ……。


 あたしは大きく息を吐く。緊張のあまり、息する事も忘れてたらしい。あたしの体から、空気と共に力も抜けて行った。


 すると、アレクは苦笑いを浮かべ、職員に声を掛けた。


「ここからは、私のやり方で進めます。……良いですね?」


「はい……。申し訳ありませんでした……」


 後ろへ視線を送ると、職員は頭を下げていた。隣のメイドは残念そうな顔をしている。


 そして、顔を上げた職員は悔しそうな顔をしていた。しかし、それも一瞬の事で、すぐに無表情を作ってしまう。


「ロレーヌさん、すみませんでした。誤解を招く言い方をしました……」


 振り返ると、アレクは頭を下げていた。そして、アンナちゃんの頭も下げさせていた。


「えっと……」


 あたしは状況に取り残される。そんなあたしに、顔を上げたアレクが、優しい声で語り掛けて来る。


「まず、ロレーヌさんの大切な人達に手を出さない事を約束します。それで、最後まで話を聞いて頂けるなら、席に座り直して頂けないでしょうか?」


「は、はあ……」


 あたしは自分が床の上に座っていた事を思い出す。


 この状況で断るだけの勇気は無い。あたしは言われるままに席に座り直した。


「ありがとう御座います。誤解を解く為に、まずはクラン加入に際して、こちらが提示する条件を話させて頂きます」


「提示する条件……?」


 支払われる報酬とかの事かな? あたしが首を傾げていると、アレクは微笑みながら頷いた。


「まず、ロレーヌさんへは毎月2万Gが生活費として支払われます。狩りの収穫は全てクランで管理しますが、代わりに武器や防具はクランから支給します」


「毎月2万G……」


 あたしはゴクリと喉を鳴らす。あたしにとっては大金だ。スリで稼いでも、そこまで稼げる月はそうそう無い。それが毎月って……。


「更にこの屋敷に部屋を一室用意します。引っ越すかはお任せしますが、ここで生活するなら朝晩の食事も提供します。ああ、この屋敷の風呂も自由に使って下さい」


「ほ、本当に……?」


 宿代が浮くし、食費も浮く。屋敷は豪華過ぎて落ち着かないが、お金を考えると魅力的な提案ではある。


 しかも、お風呂まで付いてるらしい。話しには聞いた事があるけど、実物なんて見た事も無い……。


「……それと、これが本題です。このクランは孤児院の支援を行いたいと考えています」


「え……?」


「当面は毎月2万Gの寄付を。クランが成長すれば、それに合わせた増額も予定しています。その他にも考えている事はありますが、そちらは院長と相談が必要になりますね……」


「な、何で……?」


 アレクの様子は先程までと違う。嘘臭さが消えて、自然な感じで話しているとわかる。あたしも、この言葉なら本心だと信じられる。


 ……ただ、そこまでする理由がわからない。


 あたしは、自分にそこまでの価値が有ると自惚れたりしていない。


 見た目が魅力的でも無い。特別な能力も無い。あたしに、そこまでのお金を掛ける理由が無い。


 その戸惑いがわかったのだろう。アレクが説明してくれる。少し照れた様子で目をそらしながら。


「祖父から言われたんです。この力を、人の為に力を使う様にと。……ただ、ボクの力は大きくありません。全ての人に手が届く訳ではありません。だから、まずは身内と、その大切な人達を助けたいと考えています」


「身内……? それって、あたしも入るの……?」


 身内って言うと、普通は家族に対して使う言葉だ。


 クランがどんな物か知らないけど、少なくともパーティーメンバーに使う言葉では無い。


「同じ組織で働く仲間なので、身内で良いですよね? 少なくとも、私はそう考えて付き合うつもりです」


「…………」


 ポカンと口を開く。それが普通なのか、アレクが特別なのかわからない。


 ただ、あたしにとっては孤児院の皆が身内だ。アレクはあたしの事を、それと同じに扱ってくれるのかな……。


「それで、ロレーヌさんに求めたいのが……」


「うん、良いよ」


「……え?」


 あたしの言葉にアレクはキョトンとする。あたしはクスリと笑って彼に告げた。


「あたしは、ここのクランに入る」


「そ、そうですか……?」


 アレクは不思議そうに首を傾げる。その様子が楽しくて、あたしはニヘラと笑う。


 条件なんて聞く必要は無い。アレクがあたしを身内として扱うなら、あたしに出来ない事を求めたりしない。


 それに、今のアレクは院長先生と同じ空気を感じる。彼ならあたしの事を、大切にしてくれると信じられる。


 アンナちゃんを大切にするアレク。兄を心底慕っているアンナちゃん。そんな二人を優しく見守るギリー。


 彼等の身内になら、なっても良いかなって思える。


「それで、あたしは今日からここに住んで良いの?」


「え、ええ……。部屋の準備は、後ろのメアリーに任せてあります。何か必要な物があれば、彼女に相談して下さい」


「うん、わかった」


 扉の方に振り向くと、メイドの少女が頭を下げていた。


 彼女の名前はメアリーか。あたしは頭を上げた彼女に、ヒラヒラと手を振る。彼女は微かに笑みを浮かべてくれた。


 あたしは再びアレクに向き直る。彼は優しげに微笑んでいた。なので、あたしもニィッと笑みを浮かべた。


「雑用でも汚れ仕事でも、出来る事なら何でもやるよ。これから宜しくね、ボス!」


「はい、宜しくお願い……って、ボス?」


 アレクは組織の頭である。なら、ボスと呼ぶのが相応しいだろう。盗賊ギルドではそう教わった。


 多分、間違って無いよね……?


 ボスは不思議そうな表情だけど、特に否定する感じは無い。なら、問題無さそうだね。


 あたしは親しみを込めて、ボスに笑顔を送った。

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[一言] 主人公は窃盗常習犯でも孤児院に寄付してたら何の償いもせずとも全て許されてセーフって倫理観の持ち主なの? 窃盗被害者の事を一切考慮してなくて凄いね そして周囲の人間もその事に疑問を持たずに主人…
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