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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第一章 ケトル村の日々編
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アレク、爺ちゃんを手伝う

 ボクは五歳に成長した。身動き取れない苦痛の時間は、はるか昔に卒業している。


 では、今のボクが何をしているかというと、それは爺ちゃんの手伝いだ。


「爺ちゃん、コルワ婆ちゃんとこに薬を届けて来たよ。ついでに、庭の薬草にも水をあげといたから」


 爺ちゃんの部屋に入ると、爺ちゃんは薬作りの最中であった。爺ちゃんは優しげな顔を上げ、こちらに笑みを向けて来る。


「おお、アレク。お手伝い、ありがとう。こっちは良いから、夕方まで遊んでおいで」


「わかった。じゃあ、行って来るね」


 薬師には興味があるが、まだ慌てる時間じゃ無い。今はまだ、村人のレベル上げを優先すべきだ。村人がLv10になったら、改めて爺ちゃんに教われば良い。


 ちなみに、村人のレベル上げは、村の活動に参加する事で可能だ。


 ヘルプ機能の回答に、初めは半信半疑だった。しかし、爺ちゃんの手伝いをしてたら、確かにレベルが上がった。なので、今のやり方で間違い無いらしい。ちなみに、今のボクは村人Lv2である。


 時間はまだ昼過ぎだから、村に行けば何か仕事があるだろう。ボクとしては、使い馴れた死霊術士ネクロマンサーへ、早く転職したいと思っている。


 しかし、死霊術士ネクロマンサーへの道のりは長い。少しでも早く、村人を極める必要があるのだ。


 ボクは爺ちゃんに手を振って家を出る。爺ちゃんはニコニコと、手を振り返してくれた。長い白髪と髭でモジャモジャだが、誰に対しても優しい爺ちゃんである。


 なお、爺ちゃんの家は、村の外れにある。森が近くにあり、他の家とは結構な距離があった。


 なお、この場所を選んだ理由は、薬草栽培に適しているからだ。決して、爺ちゃんが偏屈な訳では無い。


 ボクは駆け足で、村の広場に向かって行く。しばらく走ると、途中で見知った顔を発見する。


 向こうもボクに気付いたらしい。ボクに向けて、手を振っている。ボクは速度を落とし、彼の前で足を止める。


「やあ、アレク。また、いつもみたいにお手伝い?」


「やあ、ギリー。勿論、いつも通りのお手伝いだよ」


 呆れた表情で、ギリーがボクを見つめている。


 ちなみに、ギリーはボクの乳母、リリアさんの息子だ。彼は母親譲りの、ブラウンの髪と瞳を持つ。一般的な村人の特徴を持っている。


 ちなみに、ボクは黒髪に黒目で、この国では珍しい姿である。


 本来なら似ていない二人。しかし、ボクはリリアさんに、母乳を貰って育っている。その為、ギリーとは兄弟同然の付き合いをしていた。


「アレクも飽きないね。じゃあ、母さんが呼んでるから一緒に来てよ」


「わかった。今日も、いつもの毛皮剥ぎかな?」


 ギリーの父親は狩人だ。良く森で、動物を仕留めて来る。


 そして、ボクはその毛皮を剥いで、素材にする手伝いをする事が多かった。


「薪拾いもお願いしたいみたい。今日もポムの実が二個づつかな?」


 ボクとギリーは並んで歩く。ギリーの家で、一緒に働くのはいつもの事だ。


 そして、リリアさんはいつも仕事後に、赤くて甘いポムの実をお駄賃としてくれる。サイズはサクランボ程だが、この村の数少ない名産品である。


「多分、ミーアも家に来てるよ」


「そっか。じゃあ、一緒に手伝って貰おう」


 ボクの言葉に、ギリーは嬉しそうに頷く。ミーアは一つ年上の女の子。ギリーは彼女の事が気になってるらしい。


 しかし、ボクの予想では、彼女はボクに気がある。五歳にして三角関係とか、勘弁して欲しい所ではある……。


「ミーアが待ってるから、急いで戻ろうよ」


「そうだね。待たせても悪いからね」


 ボクとギリーは駆け足となる。ミーアが待っている、リリアさんの家に向けて。

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