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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
番外編17 異世界の侵略者(前編)

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異世界からの来訪者

あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願いします♪

 ミーアさんに連絡役をお願いした所、すぐに返答が返って来た。というか、俺までヴィジョンの世界へと連行されてしまった。


 そして、俺と白騎士べフェールを迎えるのは六人の存在。父さんと使徒ギリ―さん。女神フローラム様と使徒ヴァルキリー。それとヴィジョンと母親まおうのミーアさんだ。


 父さん達はかなり警戒しているなと思っていると、べフェールは無機質な声でポツリと漏らした。


『――分析完了。この世界の神々の成り立ちを把握。我が世界とは大きく乖離している』


 べフェールの言葉に父さんが驚いた表情を浮かべる。それに対してフローラム様は微かに顔を顰め、それ以外はポーカーフェイスだった。


 そして、やはりと言うべきか、父さんが代表して問い掛けた。


「君はべフェールと言ったね? そちらの世界はどう成り立っているんだい?」


『――質問を受諾。我が世界では力が分散されていない。こちら風に言うなら、『秩序』と『混沌』の神が二分している。そして、互いを滅ぼそうと争っている』


 何だかとても殺伐とした世界みたいだ。この世界も殺伐とした所はあるけど、何だかんだと神様同士の仲は良いらしいしね。相手を滅ぼそうなんて神様は居ないみたいだ。


「それは『秩序』と『混沌』の神が派閥を作っているということ? それとも、『秩序』と『混沌』の神しか存在していないってこと?」


『――我が世界は後者。『秩序』と『混沌』の神しか存在しない。我も『秩序』の神の一部であり、この世界の様に力を拡散させる運用は行っていない』


「それは、驚きね……。そもそも世界が出来上がる前の状態と言う事でしょ? この世界で言うなら、父さんと母さんが生れた直後って事になるわよね?」


 二人のやりとりに、フローラム様が割って入った。そして、父さんに対して認識の擦り合わせを行っている。


 父さんは俺とべフェールに視線を送り、皆にわかりやすい様に説明を続けた。


「この世界では『光』の神スルラン神と、『闇』の神スレイン神がまず生まれたんだ。二人は争う事なく、互いに手を取り合って世界を創る事を決めた。そして、創った世界を管理する為に、多くの神々を生み出したって訳なんだ」


『――理解不能。力の分散は非効率。それは『混沌』を生み出す、害悪であると判断する』


 べフェールの瞳が赤く輝く。どうもその反応から、不快感を表しているのでは無いかと思う。


 べフェールの反応に父さんは苦笑を浮かべる。そして、ヴィジョンを見ながらクスリと笑う。


「そうかもしれないね。けれど、世界を成長される要素ともなる。その証拠として、僕の娘――未来への可能性も生まれたんだよ?」


『――その考えは危険。力の増大は世界にとって害悪。世界は一切変化しない、秩序へと向かうべき』


 再びべフェールの瞳が赤く点滅する。父さんの考え方は、べフェールには受け入れがたいものらしい。


 ただ、父さんは少し考えた後に、べフェールへと問い掛けた。


「ちなみに君は、この世界も君の言う秩序的であるべきと思うのかな?」


『――否定。この世界には、この世界の秩序がある。その秩序を乱す事を我は望まない』


「なるほどね。なら僕達は手を取り合う事が出来るね」


 父さんはニコリと笑みを向ける。すると、べフェールの赤い瞳が青色へと変わった。


『――肯定。ケイオス追跡の協力を要請する』


「そのケイオスって言うのが、『混沌』の神の一部なんだよね? ケイオスはこの世界で、何をしようとしているのかな?」


『ケイオスの意思は只一つ。全てを混沌に染めること。放置すればこの世界を、無秩序な状態へと変えてしまう』


 べフェールの言葉に全員が言葉を失う。無秩序な状態が何を意味するかわからないが、それがとても良くない物だという予感はあった。父さんは恐る恐る、べフェールへと問い掛ける。


「ちなみに、その無秩序な状態と言うのは……?」


『全てが意味を持たない世界。世界に法則は存在せず、ただ混沌とした力が渦巻くだけの世界』


「なるほどね……。全てドロドロに溶かされる感じか……」


 キッパリと返された答えに、父さんはげんなりとした表情となる。どう考えてもそれは、俺達的には世界の終わりに等しい状態である。


 つまり、ケイオス追跡は俺達にとっても重大な事案と言う訳である。べフェールに協力しないという選択肢は無さそうだった。


「じゃあ、この世界に侵入したケイオスだね。どうやって追跡を……」


『――議論の中断を要請。プライオリティの高いインシデントを検知』


 べフェールは父さんの言葉をぶった切る。そして、ヴィジョンの作る闇の世界に、ぐるりと手を翳して回る。


 すると、ぼんやりと淡く輝く穴が出現した。その輝きが消えると、べフェールは父さんへと向き直った。


『ケイオスの空けた侵入口を封鎖。侵入済みケイオスと本体との繋がりを遮断。これにより、この世界のケイオスは大きく能力が減衰』


「本当に? 凄い助かったよ! いや、そこも急いで対処が必要とは……」


『――ただし、ケイオス本体が幻想神を狙う確率が増大。踏み台として取り込ませ無い為に、早急に防御体制の構築が必要』


 続くべフェールの言葉に、父さんは言葉を失う。どうやら、一難去ってまた一難という状況らしい。


 というか、ヴィジョンのピンチ? それは、行動する前に教えて欲しかったなぁ……。


「……えっと、防御体制の構築って?」


『ケイオスは世界の半分に相当する力を保有している。この世界の『光』と『闇』の神が、常時守りに張り付いている状況が望ましい』


 それってこの世界の最高神なんだけど? それを常時張り付かせるなんて出来るの?


 俺が疑問に思っていると、父さんはフローラム様へと視線を向けた。すると、フローラム様がキリッとした表情で頷いた。


「任せておきなさい。――全力でお父様、お母様に甘えてきますわ!」


「ごめんね、姉さん。そっちはお願いするね?」


 どうやら話は付いたらしい。それで済むだなんて、実は神様ってかなりアットホームなのかな?


 そして、ヴァルキリーと共に姿を消すフローラム様。父さんはそれを見届け、再びべフェールへ問い掛けた。


「それじゃあ、他に必要な事ってある?」


『この世界の情報開示を要求。ケイオスの行動予想に利用予定』


「うん、わかった。それはミーアに頼むのが良さそうかな? 必要に応じて、他の神々への顔繫ぎもするね」


 ミーアさんは世界中のどこにでも転移が出来る。そして、世界中のあらゆる場所に、目となる眷属の悪魔を配置している。


 更に父さんは仲の良い神様が非常に多い。殆どの神様を、ケイオスに紹介出来るんじゃないかな?


 話をトントンと進めて行く父さん。ふとその目が俺に止まり、ニコリと笑ってこう告げた。


「トールもべフェールの案内ありがとう。また、必要になったら声を掛けるからね?」


「うん、わかった。それまでは待機してるよ」


 どうやら、ここから先は俺が知らない方が良い話になるようだ。俺はヴィジョンの世界からアッサリと追い出されてしまった。


 そして、戻された白亜の塔の中で、ゆっくりと息を吐く。後は父さんに任せようと考え、俺はのんびり階段を降り始めるのだった。

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