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白のネクロマンサー ~死霊王への道~  作者: 秀文
第一章 ケトル村の日々編

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アレク、魔法を覚える

 今のボクは、爺ちゃんと草原に来ていた。ボクは赤い石の付いた、小さな杖を手にしている。


 そして、服装はいつもの村人の服では無く、明るい若草色のローブだ。いずれも、爺ちゃんお手製の、魔術師見習い装備である。


「さあ、アレク。いつでも始めて良いぞ」


「う、うん……」


 爺ちゃんはニコニコと、いつも通りの笑顔である。それに対して、ボクの表情は引きつっていた。


 何故なら爺ちゃんは、沢山のスライムに絡まれていたからだ。


「じゃ、じゃあ、行くね……」


「うむ。思いっきりやりなさい」


 爺ちゃんの態度は、完全に余裕であった。必死に爺ちゃんを溶かそうとするスライム等、まったく眼中に無い様子である。


 余り爺ちゃんをスライム漬けにしても可哀想なので、ボクは思いきって杖を掲げた。


「ファイアー・アロー!」


 ボクの声に反応し、杖の先に付いた石が輝く。すると、ニンジン程の火矢が生まれ、一匹のスライムへと飛んで行く。


「ピキィ……!」


 表面を焦がされたスライムは、怒った様に鳴き声を上げた。どこから声を出しているかは謎である。


 そのスライムは、爺ちゃんから剥がれてボクに向かう。しかし、爺ちゃんが手にした杖を振り下ろした。


「ほいっ!」


「ピギャ……!?」


 爺ちゃんの攻撃により、スライムは爆散する。


 装備の性能か、爺ちゃんのレベルか、見た目に反して爺ちゃんの攻撃はエグい威力であった。


「さあ、遠慮無く続けなさい」


「あ、うん……」


 ボクは再び杖を掲げ、火矢を撃ち続ける。


 そう、今のボクは黒魔術師のレベル上げを行っていた。爺ちゃんが魔物のタゲ取りを行い、ボクは安全な場所から攻撃する。


 ゲームとしては良く有る光景だが、リアルでやると中々にシュールな絵となる。


「お? 矢が二本になったのう」


「あ、本当だ」


 十匹のスライムを倒した辺りから、ファイアー・アローのレベルが上がった。


 ちなみに、その直前にジョブレベル上昇を知らせる通知が、ボクの脳裏に浮かんでいた。


 しかし、どうもこのシステムはボク固有の物らしく、周りの人には隠す事にしている。


「アレクや。そろそろ、精神力が尽きて来る頃じゃ。精神ポーションを使いなさい」


「うん。わかったよ」


 ボクは爺ちゃんの指示に従い、マジック・バッグから青いポーションを取り出す。これは爺ちゃんお手製の精神力回復アイテムである。


 魔法職には必須のアイテムで、買うと体力回復アイテムの数倍の値段となる。貴重な品のはずだが、爺ちゃんは自分で作れるから、大量に用意してくれていた。


 ボクは精神ポーションを一気に飲み干すと、空の瓶をバッグに戻した。


「じゃあ、続けるね」


「うむ。ドンと来なさい」


 ボクは二本になった火矢を、爺ちゃんに向けて飛ばして行く。ボクのコントロールはまだまだだが、爺ちゃんが上手く動いてスライムに当ててくれる。


 ちなみに、先程から際限無くスライムを狩っているが、これには爺ちゃんの仕込みが色々とある。


 まずは、魔物寄せの強烈な臭い袋を爺ちゃんが所持している。これにより、先ほどから途切れる事無く魔物が寄って来ていた。


 スライム以外の魔物は、爺ちゃんが魔法で仕留めている。視界に入る度に消し炭となるので、ボクは安全にスライムだけを相手に出来た。


 そして、爺ちゃんは自身にバリアの魔法を掛けている。バリアは一定威力ダメージまで攻撃を無効化する魔法だ。


 これにより、爺ちゃんはスライムの攻撃を完全に防いでいた。


 爺ちゃんは賢者を習得している。なので、ゲーム知識としては、この程度の事が出来るのは知っていた。


 しかし、ボクはこの世界に生まれて六年が経つ。爺ちゃんが一般人からしたら、規格外の存在であると、今なら理解する事が出来る。


「お? 矢が三本になったのう」


「あ、本当だ」


 無心でスライムを狩っていたら、いつの間にかレベルが上がっていた。


 先程と同じく十匹程で上がったのは、与えるダメージ量が増えたからだろう。それだけ、一匹辺りの経験値効率が上がったという事だ。


「そろそろ、アイス・ブリッツも使えるのう。しかし、今はファイアー・アローの強化を優先するとしよう。今日の目標は、矢を五本にする所までじゃ」


「うん、わかったよ」


 黒魔術師は、ジョブレベルが二つ上がる度に、新しい魔法を覚える。


 そして、まずは火、水、風、土の基本属性攻撃が揃う。この四属性を使いこなす事で、黒魔術師は高い攻撃性能を誇る事が出来るのだ。


 また、本来ならばジョブレベルが上がる際に、スキルポイントが手に入り、好きなスキルのレベルを上げて行く。


 しかし、ゲームと違い、この世界にはスキルポイントの概念は無い。


 スキルの熟練度があがるとスキルレベルが上がり、それに伴いジョブレベルも上がるらしい。この辺りの違いは注意する必要がありそうだ。


 ちなみに、黒魔術師がファイアー・アローを最大のLv5まで上げるのは、ゲームでもセオリーとなっていた。森や草原には火が苦手な魔物が多く、最大効率でレベル上げが可能になるからだ。


 後は好みで、残り属性から一つを選んでLv5まで育てる。全てを鍛えると、後半の魔法が鍛えられ無くなるので、このスタイルを選ぶ人は多い。


 ちなみに、ボクはゲームで雷魔法を選んでいた。海底洞窟には水の魔物しかおらず、全て雷魔法で有利に戦えるからだ。


 しかし、海底洞窟は海の底にある。ゲームの様に、自由に行き来するのは難しいだろう。


 それに、当面は村の周辺でレベル上げをする事になる。土魔法が有利な、水属性の魔物は数が少ない。


 ここは汎用性の高い、風魔法が無難な気がする。


「さあ、アレクや。どんどん来なさい」


「うん、わかったよ」


 ボクは三本になった火矢を、スライムに向けて飛ばして行く。スライムはこの三本の火矢により、蒸発して消えて行った。


 どうやらダメージ量が、スライムの体力を上回った様だ。


「ほっほっほ。アレクの魔力は中々に高いらしいのう。これなら、ゴブリンも一撃じゃな。次からはゴブリンも相手にしてみなさい」


「うん、わかったよ」


 ボクは爺ちゃんの指導の元に、黒魔術師のレベルを上げて行く。


 爺ちゃんの安全第一の狩りの元に、ボクは半日で黒魔術師をLv5まで上げる事が出来た。


 ちなみに、明日はミーアと一緒に訓練だ。教わるのは白魔術だけど、きっと今日みたいに順調なんだろうね。

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