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虚飾のアリス ‐不死の少年と白黒の吸血鬼‐  作者: 竜馬
第2章 王都トランセル
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第2章:46 『晴れ時々女の子』

また長くなりそうだったので、キリのイイところで切りました。話数的にもちょうどいいので。

そしておそらく次回で二章は最終話です。


それでは、本編をどうぞ――。

 時は巡り――否、戻り、場所は再び玉座の間へ――。

 シンゴは嘆息すると、やることがないらしく、束ねた自らの白髪の先を弄って遊んでいる隣のアリスへと視線を向ける。

 シンゴの視線に気付くと、アリスは髪で遊ぶのを中断して微笑み返してくる。


「ずいぶんと長く難しい顔で考え込んでいたけど、何を考えていたんだい?」


「――いや、ちょっと俺が目ぇ覚ましたときのことを、な……」


 そう返すシンゴの言葉を受け、アリスもその顔を曇らせると、


「うん、イレナたちの家はなくなっちゃったんだよね……ボクたちも短い間だったけど、あの修道院ではみんなと過ごしたし、それに――」


「……ああ」


 アリスの言わんとすることを察し、シンゴは沈痛な面持ちで頷いた。


 ――アルネ。


 金髪でメガネをかけた、ちょっとドジが目立つ女の子。しかし思いのほか家事全般は優秀で、食卓に並ぶ彼女の作った料理はみなおいしかった。それに彼女は、突然の来訪者であるシンゴたちにも優しく接してくれた。


 聞いた話によれば、騎士たちが焼け落ちた修道院の瓦礫の下を探したが、アルネの姿は見当たらなかったらしい。ならばカワードの屋敷内はどうだろうかとも思ったが、騎士たちがくまなく捜索した結果、そこにも彼女の姿はなかったという。


 そういった事情もあり、現在アルネの扱いは行方不明ということになっている。

 死体となって見つかったなどという報告よりは断然いいのだが、それでも所在知れずとなると、やはり心配だ。それに、生きているなら姿を現してもいいはずである。それなのに現れないとなると、考えられる可能性は一つだ。


 何か姿を現せない理由がある。そう考えるのが妥当だろう。そうなると、真っ先に思い至るのはリドルを攫ったあの黒いローブを着た人物である。アルネと同様に、奴の姿はあれ以来確認されていない。つまり、アルネはそいつと共にいるのではないだろうかというのが、シンゴたちが話し合って至った結論だ。


 唯一情報を知り得たであろうカワードは死亡。現在シンゴたちは、黒いローブの人物について知ることはできない状況だ。

 完全に手詰まり。そのことについて相談しようとしていた矢先、ユピアの戴冠式が開かれ、その話し合いは保留となっている。


 当然シンゴたちも悩んだが、アネラスが羽を伸ばすことも必要だと言い、今だけはこの宴を楽しむこととなった。しかし、どうしても彼女のことを考えてしまうのは仕方のないことだろう。

 そしてそれはどうやらアリスも同様のようで、現在彼女はその端正な顔に暗い影を落としている。


 そんなアリスに何か声をかけなければと思い口を開こうとしたシンゴは、しかし途中で開きかけた口を閉ざしてしまう。理由は単純。頭の中に、咄嗟にかけるべき言葉が浮かばなかったからだ。


 当然だ。いくらシンゴが慰めの言葉をかけようとも、状況は決していい方向へは進展しない。これは腕力が強いとか、強力な魔法が使えるとか、そういうのは一切関係ない。今必要なのは、もっと別の力だ。


 それにそもそもな話、真に慰めの言葉をかけるべき相手は、帰る家をなくした当事者であるイレナや子供たちだ。

 現在、修道院で暮らしていたイレナたちは、ユピアの配慮により王城内の空き部屋を使わせて貰っている。しかしそれも、いつまでもという訳にはいくまい。


 アリスと二人して、うんうん頭を悩ませていたときだった。玉座の間の扉が開き、アネラスの説得を終えた――というより、折檻を貰ってきたらしく、頭部にたんこぶをこしらえたイレナとシャルナ、そしてそれを刻んだ張本人であるアネラスが戻ってきた。


 そしてそのままシンゴたちの元へとやってくると、シャルナが疲れ果てた顔で、


「――ったく、人の話を聞かないのは相変わらずだわ、あのババア……」


「――シャル、何か言ったさね?」


「な、なーんでもごぜぇませーん」


 地獄耳のアネラスに小言を拾われたシャルナが、小声で呟くようにそう返す。見れば、イレナもどんよりと暗い顔で肩を落としている。どうやら相当絞られたようだ。

 ここでふと、シンゴは素朴な疑問を抱いた。というのも――、


「なんでババア――アネラスさんがここにいんだ?」


「シンゴ……言い直せてない」


 確かに、現在王城内で暮らしているアネラスがここにいるとうのは、距離的にはおかしい話ではない。しかし、アネラスはこの宴の誘いを断っていたはずなのだ。というのも、アネラス曰く、自分たちはここで厄介になっている身であり、さらに今回の一連の騒動では何の役にも立っていない。だから、参加する権利はない――とのこと。


 その点で言うと、シンゴたちは今回の事件解決に少なからず貢献している。いや、本来なら騎士団がもっと穏便に事を済ませていたはずだろうが、しかし形としては何か示さなといけないらしく、サラスから是非参加して欲しいと頭を下げられたのだ。


 さすがにそこまでされてノーとも言えず、シンゴたちはなし崩し的にここにいるという訳なのだ。

 そして話は戻るが、誘いを固辞したアネラスが何故ここにいるのかということなのだが――、


「なに……話したいことがあるから、ユピアに来てほしいって言われてねぇ……。別にこのタイミングじゃなくてもいいんじゃないさねって言ったら、このタイミングを逃すと溜まっていた政治事で時間が作れないってことで、あたしが一人で来たって訳さね」


「話したいこと……?」


 アネラスの事情説明に、イレナが頭部のたんこぶを涙目で押さえたまま首を傾げる。

 すると、ちょうどその時だった。銀髪銀眼のメイドが、こちらへ向かって歩み寄ってきた。そしてシンゴたちの目の前までくると、その銀色の瞳をアネラスへと向け、


「ようこそおいでくださいました、アネラス・バレンシール様。私の名はサラス・リネルガと申します。以後、お見知りおきを――」


 短いスカートの端をつまんで優雅にお辞儀するサラスに対し、アネラスは「ほう――」と驚きを秘めた息を吐いた。


「アンタがあの『透徹のリネルガ』さね?」


「……その名は、私には少々大仰すぎます」


「――――?」


 アネラスの口から飛び出た『透徹のリネルガ』という名で呼ばれたサラスは、少しだけ不快そうにその端正な顔を歪ませる。

 そんな彼女の反応にアネラスがくつくつと笑う中、その名の意味するところが理解できないシンゴたちが首を傾げる。


 しかし、サラスはこれ以上この話題を続けるつもりがないらしく、さっそく本題へと移ってしまう。

 サラスは銀色の瞳を改めてアネラスへと向けると、その薄い唇を開いた。


「女王、ユピア・レッジ・ノウ様の伝言をお伝えいたします。――落ち込まなくても大丈夫です。私が大臣たちに掛け合って、修道院を新しく立て直すように言いつけました。もちろん建築費は全てこちら持ちで、その後の生活費等も支援いたします。完成するまでの間、この王城内で生活してください。あと……王様って便利ですね! ――とのことです」


「……………………」


 あっさり問題が一つ解決した。しかしシンゴたち全員の顔に浮かぶのは、酸っぱいものを食べたような後のような、なんとも言えない複雑な感情だった。というか――、


「それ、職権乱用なんじゃ……」


「…………」


 そう呟くシンゴだが、その呟きを聞いたサラスの反応は無言。しかしその顔からは隠し切れない疲労が窺え、おそらく大臣たちの説得に相当尽力したのであろうというのが容易に想像することができた。


 そんなシンゴたちの反応に対し、サラスは意識して表情を引き締めると、次にシンゴへその視線を向けた。

 指で自分を指し示し、首を傾げるシンゴに頷きかけ、サラスは今日一のとんでもないことを告げた。


「もちろん、今回の事件解決の功労者であるシンゴ様たちにも褒賞がございます。シンゴ様たちには――屋敷を贈呈いたします」


「――――は?」


 口を開けて固まる面々の心情を代表し、シンゴの呆けた声が玉座の間にぽつりと落とされた。



――――――――――――――――――――



「で、でか!?」


 早速サラスに連れられて、シンゴたちは贈呈されるという家の前にやってきていた。

 驚き、目を見開くシンゴの眼前には、元の世界で石油王あたりが住んでいそうな大きな建造物がそびえ立っていた。というか、誇張なしに豪邸である。


 サラスが先導する形で正門をくぐり、玄関へと辿り着く。

 ここも一体いくらかかっているのかと思わされる扉を開けると、広々としたホールがシンゴたちを出迎えた。


 チラリと上に視線をやれば、階段が二階へと続いている。

 口を開けて固まる面々に、サラスが「こちらへ――」と案内してくれる。圧倒され、驚きから声が出せず無言になるシンゴたちがサラスの後ろに続く。


 階段を上ってすぐ手前の部屋に入る。

 中は広く、豪華な絨毯が床に敷かれ、隅には天蓋付きの巨大なベッドがある。


「…………嘘やん」


 思わずエセ関西弁で驚きを表現するシンゴに、隣のアリスが服の袖を引っ張ってきて、


「見て、シンゴ。まだ隣にも部屋がある……」


 アリスが見やる方向へと視線を向けると、確かに隣の部屋へと続いているらしい扉の存在を確認できた。何から何までスケールが違う。

 顎が外れんばかりに口を開けるシンゴたちに、サラスがその扉を開く。中には――、


「僭越ながら、シンゴ様はあの奇妙な服がお気に入りのようでしたので、完全に再現できているかは怪しい所ですが、ざっと百着ほどご用意させていただきました」


「ここ衣裳部屋かよ!?」


 驚くシンゴの視線の先、無駄に広い部屋の中には、シンゴが通っていた学校の指定制服がサラスの言う通り所狭しと並べられていた。

 黒々とした異様な光景を生み出す制服の群れの中から、恐る恐る一着だけ手に取ってみると、シンゴが着用していた制服と見分けがつかないレベルで見事に再現されていた。


「――あ!」


 ここでシンゴは、やたらと時間のかかった採寸の理由に思い至る。もしや、これを用意する為にあれだけ念入りに採寸していたのだろうか。

 しかも驚くべきことに、採寸されたのは昨日のことだ。つまり、ほとんど一日でこれだけの制服を用意してしまったということだ。


「…………」


 制服を手に持ったまま絶句するシンゴを余所に、何故か付いてきたシャルナとアネラスが物珍しそうに制服を手に持ち、「へえ」やら「ほう」などと呟いている。

 さらに、隣で同じように固まっていたアリスとカズだったが、同時に一つの可能性に思い至り、「まさか!」という顔をする。そしてそのまさかは、次のサラスの言葉で現実となった。


「隣の部屋、さらにその隣の部屋も同じような構造になっております。もちろん、アリス様とカルド様の服もご用意させていただいております」


「…………」


 アリスとカズ、そしてイレナが同様に絶句して固まる中、ここでようやくシンゴの頭に冷静さが戻ってくる。と言っても、未だ衝撃は抜けきらないが。

 シンゴは制服を元の場所に戻すと、申し訳なさそうに顔を曇らせ、


「サラスさん。こんな豪邸を用意してもらっておいてアレだけど、俺ら、明日には王都を出ようと思ってんだよ……」


 シンゴのその言葉を受け、一瞬イレナの表情が暗くなったような気がしたが、シンゴは敢えてイレナから視線を切る。このまま彼女を見ていれば、必然的に訪れる時に意識が行ってしまう。つまり、別れの訪れに――。


「…………っ」


 シンゴは頭を振ると、無理やり思考を現状へと引き戻す。

 この王都ではイチゴの姿はおろか、その痕跡すらも見つからなかった。つまり、イチゴはここに来ていないということになる。なら、ここに留まっていても仕方ない。焦りは禁物であるが、行動するのは速いに越したことはないだろう。


 そしてもし、他の土地でイチゴを見つけることができた場合、あとはもう元の世界に帰るだけになる。相変わらずどうやって帰ればいいのかは不明だが、それでも王都に帰ってくるという保証はどこにもないのだ。


 そんなシンゴの困窮した視線を受け、しかしサラスは首を振ると、


「大丈夫です。シンゴ様たちがお留守の間、私の下のメイドたちに管理させます」


「そ、そうっすか……いや、ありがとう……」


「――――?」


 シンゴの煮え切らない返答を受け、サラスが銀髪を揺らして首を傾げる。

 シンゴが言いたかったのは、ここに帰って来れず、この豪邸が無駄になるかもということだったのだが、サラスはこの家の維持についてシンゴが悩んでいると思ったらしい。


 確かにこれほど大きな家となると、人が少し住んでいないだけであっという間に寂れてしまうだろう。しかし、事情を説明しようにも異世界がどうのこうのと絡んでくるので、簡単には信じて貰えない可能性が高い。接した感じ、サラスは生真面目そうだというのも理由の一つである。


「いや、待てよ?」


 ここでシンゴは考えを改めてみる。

 仮にイチゴを見つけたとしよう。そこからの行動方針は元の世界に帰ることだ。しかし、すぐに帰る方法が見つかるとも思えない。というか、すぐには見つからないだろう。長期戦になるのは必至である。そうなると、一時的に住処があるというのは案外ありがたいことなのではないか。

 それに今サラスは、シンゴたちが不在の間ちゃんと家の管理はしてくれると言ってくれた。


 当初の王都での予定であった、宿を確保するということ。それは修道院を仮宿とすることでどうにかなっていたが、自分の家があるなら断然そっちの方がいいに決まっている。それに案外速くイチゴが見つかった場合、修道院がまだ建設途中な可能性も大いにあり得る話だ。

 

 そこまで思考が巡ると、シンゴは「よし!」と頷き、サラスにサムズアップして、


「お願いします!」


「……はい、かしこまりました」


 態度が急変したシンゴにサラスは一瞬だけ固まるが、すぐに恭しくお辞儀し、了承の意を返す。

 すると、制服で遊ぶのが飽きたらしいシャルナが乱暴に制服を投げて戻し、シンゴへと視線を向けてくる。


「アンタら、王都から出てくの? つーか、王都に住んでたんじゃねーの?」


「ああ、まあな。育ちはド田舎で、俺ら――というか、主に俺の目的を達成する為に王都に来てた」


 そういえば、シャルナにはシンゴたちの事情を話してなかったっけ、と思い、シンゴは軽く説明をする。

 そんなシンゴの説明を受け、シャルナはさらに深くへと切り込んでくる。


「目的? 一体どんな?」


「人探しだ。俺の妹。――ついでだし、今から特徴を言うから、もし知ってたら教えてくれ」


「え〜……」


 面倒くさそうに顔をしかめるシャルナだったが、背後から発せられるアネラスの怒気に当てられ、青い顔でびくっと飛び上がると、


「ぜ、是非聞こうじゃない!」


「……お前、大丈夫か?」


「う、うっさい! いいから話せっつの! あ、いや、話して欲しいな〜なんて……」


 背後のアネラスに怯えながら引き攣った笑みを浮かべるシャルナを胡乱げな目で見やり、シンゴは嘆息してから、この王都で最後になるイチゴの聞き込みを行う事にした。


「名前はイチゴ。年齢は十四……じゃなくて、十五。黒髪をこう後ろで小さく纏めてて、目の色は青っぽい感じ。んで、外見は……そうだな……上が白色っぽくて、青いスカートを穿いた、珍しい服装だ。何か知ってねえか?」


「ん〜……」


 イチゴの特徴を羅列し終えたシンゴが、目を閉じて顎に手を当てて唸るシャルナへ声をかける。

 もう王都に来てから何度撃沈したか分からない。だが、それでも自然と鼓動は速まり、手には汗が浮かぶ。


 ごくりと唾を飲み込むシンゴと同様に、目的を同じとして協力してくれているアリスとカズ、そしてこの王都で聞き込みを手伝ってくれたイレナまでもが緊張の面持ちでシャルナを見詰める。


 無限に続くように感じられる時間が過ぎ、唐突にシャルナが肩から力を抜いた。

 それを受け、シンゴの顔に諦めの色が浮かぶ。そしてそれを肯けるように、シャルナが首を横に振りながら、


「わりーけど、アタシは知ら――あ」


「――? なんだ?」


 ふりふりと首を振るのを途中で止め、シャルナが何かに気付いたような声を上げる。そして「んん?」と首を捻りながらシンゴの顔に己の顔を近付けてくる。


「な、なんだよ……?」


 息がかかるほどの距離まで詰め寄られたシンゴが声を上ずらせる。少し動けば唇同士が触れ合ってしまいそうだ。

 鼻孔をくすぐる女性特有のイイ匂いに、女はどんな奴でもイイ匂いがすんだな――と、シンゴが場違いな感慨を抱いていたときだった。唐突に「ああ!!」と声を上げて、シャルナの目が大きく見開かれる。


「うあっ!? きたねえ!」


 顔中にシャルナの唾が飛び、シンゴが袖で顔を拭う。そんなシンゴをいらっとした様子で睨み付け、


「ちょっと、なに嫌がってんだっつの。アタシの唾なんてご褒美みてーなもんだろーが」


「素を知ってなかったらそうだったかもな! ――ってか、何に気付いたんだよ? 俺の顔に何か付いてんのか?」


「うん、アタシの唾が」


「この野郎……ッ」


 青筋を浮かべるシンゴに、シャルナはケラケラ笑いながら「冗談だっつーの」と手を振ると、シンゴの顔に指を差し、


「うん、やっぱそーだわ。一応聞くけどさ、アンタの妹って……うるさい?」


「あ? 確かにイチゴは口がマシンガンで出来てんのかって疑うほど――おい、シャル。お前……まさか!?」


「寄るなスケベ! 燃やすぞ! あとシャルって呼ぶな!!」


 今度は逆に詰め寄ってきたシンゴに対し、シャルナはシンゴの顔面を鷲掴みにして遠ざける。

 女の細い片腕で遠ざけられたシンゴは、軽くショックを受けつつも「で!?」と前のめりになり、


「知ってんのか!? イチゴのこと、知ってんだな!? つか、会ったような口ぶりだな! あいつは今どこにいんだ!?」


 シャルナは、一気にまくし立ててくるシンゴを面倒くさそうに見返しながら、“上”を指差す。


「――――?」


 全員が釣られて上を見上げるが、そこには天井しかない。

 首を傾げて疑問符を浮かべる面々に、シャルナは何の気なしに告げた。


「この前、空から降ってきた」


「…………」


 まるで雨が降ってきたとでも言うようなシャルナ。

 そんな彼女の言葉に固まり、沈黙するシンゴ。それは周りも同じだ。

 やがて再起動したシンゴは、肺いっぱいに空気を吸い込むと――、


「はあッ!?」


 目を剥き、この王都に来てから一番であろう驚き声を上げた。


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