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虚飾のアリス ‐不死の少年と白黒の吸血鬼‐  作者: 竜馬
第2章 王都トランセル
57/214

第2章:43 『虚無の中で』

「――――ッ」


 少年は自室のベッドの上で膝を丸め、涙を流していた。

 艶やかな金髪を肩にかかるまで伸ばした、少女と見紛うほど美しい少年だ。

 しかし、少年の頬は腫れ上がっており、その美しい相貌を台無しにしていた。


 少年の頬にその腫れを刻んだのは、少年の母に当たる人物だ。

 少年のおねだりが、母の琴線に触れた結果だった。いや、たとえ少年がおねだりをしなかったとしても、頬、もしくは他の部分に傷は刻まれただろう。


 ――それは、少年にとっての日常だった。


 母は、ことあるごとに少年を殴り、蹴り、時には自室に軟禁し、肉体的にも、精神的にも虐げた。

 少年が物心ついたときには、既に母の暴行は日常の一風景となっていた。


 しかし、少年にはその暴行の意味が理解できなかった。先ほどのように理解できるものもありはするが、それでも理解のできない、理不尽な暴力の方が圧倒的に多かった。

 おはようと言えば殴られ、おやすみと言えば蹴られる。廊下ですれ違えば足をかけて転ばされ、目が合えば怒声を浴びせられる。


 それでも、少年からしたらたった一人の母親だ。父親と呼べる人は、生まれてから一度も見ていない。どこか遠くにいるのか、それとも死んだのか――。母にそのことを尋ねても、返ってくるのは意味のない暴力のみ。


 だが、罵声を浴びせられれば自分を見て貰えていると感じ、暴力を振るわれれば母と触れ合える。痛く、苦しく、悲しく、つらかったが、それでも少年は母が大好きだった。


 だが、日に日に母の暴力は過激になり、少年は少し、ほんの少しこの屋敷にいることが嫌になった。だから、それはふとした拍子の思いつき、ほんの出来心だった。

 少年は、屋敷をこっそり抜け出した。


 生まれてからずっと屋敷で暮らしていた少年からしたら、外の世界は見るもの聞くもの全てが新鮮で、輝いて見えた。

 そして、少年に友達と呼べる存在が数人できた。全員、少年と歳は同じ。物珍しそうに街を徘徊する少年に、その内の一人が声をかけてきたのがきっかけだった。


 その日を境に、少年の新しい日課が生まれた。

 朝起きて母に暴行を受けたあと、少年はお金を握りしめて街へと繰り出す。

 上がる息、しかし弾む心。少年が目指すのは、友達がたむろする秘密基地だ。


 少年が合言葉を告げ、備え付けられた穴からお金を入れると、中から友達が笑顔で少年を迎えてくれた。

 楽しかった。嬉しかった。こんなに日々が充実していると感じるのは、初めてだった。


 ――しかし、そんな生活が続いたある日、少年は母に呼び出された。待っていたのは、今までの比ではない暴力の数々だった。

 殴る蹴るは当然、暖炉で熱した鉄で背中を焼かれ、手足の爪を剥がされた。

 絶叫し、涙を流しながら許しを請う少年に、母は呼び出しの理由を金切声で述べた。


 私のお金が消えている、お前が犯人だというのは分かっている――と。

 少年の家はかなり裕福だった。なんでも、母の兄がこの国の王だとか。だが、こんな環境の中にいる少年が、お小遣いなど貰えるはずもない。そこで少年は、母の金を盗んでいたのだ。


 しかし少年からしたら、その行為が悪だという認識はなかった。ただ、お金は友達と遊ぶのに絶対に必要、故に盗んだだけだった。

 少年は足を引きずりながら自室へと戻る。足の爪も剥がされているので、歩くたびに激痛が少年の神経を侵し、歯を食いしばって悲鳴を堪えた。


 そんな少年の痛ましい姿を、この屋敷の使用人が遠くから見詰めているのが見えた。

 しかし、使用人は少年と目が合うと、そそくさと去って行ってしまう。

 少年はそんな使用人の反応に「?」と首を傾げる。


 昔から少年に対する使用人の態度は、今のような反応が常だった。

 使用人が非情なのではない。彼ら彼女らは、ただ恐れているのだ。少年に関わることで、主の暴力の矛先が自分たちに向くのを。


 最近は毎日通っていた秘密基地だったが、母から受けた傷が深く、少年はしばらく街にでかけることができなかった。

 そして、ようやく傷が癒えたある日。少年は母の目を盗み、久しぶりに友達の元へ駆け出した。


 少年は秘密基地の前までやってきて、逸る鼓動を抑えきれぬまま合言葉を告げようとして、気付いた。

 あの一件の後、母は少年がお金を盗めないように細工をした。そのせいで、今日はお金を持ってこれていないのだ。


 しかし、少年は伏せていた顔を上げて気を取り直す。そろそろ友達との付き合いも長くなってきている。だから、たとえお金がなくとも、合言葉だけで自分を迎え入れてくれるだろうと判断したのだ。


 少年は改めて、合言葉を告げる。そして、今日はお金を持ってこれなかったことを、秘密基地の扉越しに伝えた。

 ――しかし、返ってきたのは無言の返答だった。


 少年は焦り、もう一度、合言葉を告げる。二回、三回、四回――。そして、五回目でとうとう中から返答があった。

 曰く、お金がないなら秘密基地には入れないとのこと。しかし、もう少年にはお金を調達する術はない。無知な少年には、あの方法でしかお金を手にいれることができないのだ。


 少年は扉を叩き、叫ぶ。中に入れてよ――と。何度も叩き、何度もうるさく騒いでいると、不意に扉が開いた。少年は嬉々として中に入ろうとして――飛んできた拳に吹き飛ばされた。


 鼻血を流して倒れる少年を見下ろすのは、今しがた少年を殴った友達だった。そしてその友達は、最初に少年へと声をかけてきた、あの友達だった。

 何故、自分は殴られたのだろうか。疑問符で埋め尽くされる頭を振り、少年が立ち上がろうとすると、秘密基地の中から残りの友達がぞろぞろと外に出てきた。


 全員が全員、少年を冷めた瞳で見下ろす。

 少年はこの目に見覚えがあった。そう、これは母が少年に向けてくる、あの目だ。

 少年の心を暗く、粘ついた何かが蝕み始めた。


 自分の胸を掻き、呼吸が荒くなる少年。そんな少年の周りを友達らが囲むと、次の瞬間――




 ――少年は、振り下ろされる友達の足に、悟った。


 友達――いや、友達だと少年が思い込んでいた者たちは、少年をただ利用していただけだったのだ。

 おそらく最初に少年へと声をかけてきたのも、少年の裕福そうな身なりと、その見るからに世間に疎そうなところに目を付け、自分たちに金を貢がせようと画策してのことだったのだろう。


 そして、その利用価値がなくなったと分かった途端、この手の平返しだ。なんとも卑劣で、下賤で、悪辣なのだろうか。

 そして、そんな者たちを心の底から信頼し、友達だと勝手に勘違いしていた自分は、なんとも浅ましく、愚鈍で、愚かで、馬鹿なのだろうか。


 恥ずかしい。こんな奴らを友達だと思っていた自分が、心底腹立たしい。何より、このクズどもが――憎い。そして、こいつらと同じことをする母が――


 少年の中に、狂いそうなほどの激情が産声を上げた。その激情は少年の心を喰らい、外に飛び出さんと暴れ狂う。

 少年が、自らの内に溢れる初めての感情に戸惑っていたときだった――。

 少年の中に、何かがするりと滑り込んできた。それは、少年の中で芽吹き、静かに脈打ち始めた。そして、隣で暴れ狂う少年のドス黒い激情に共鳴するように、強く脈動した。


 その何かの鼓動は徐々に速くなり、やがてうるさいほどの歓声を上げ始めた。

 少年はその歓声に突き動かされるように顔を上げ、今まさに足を振り下ろそうとしていた最初の友達――だった者を見た。


 次の瞬間、その友達だった者が動きをぴたっと止め、尋常ではないほどの汗を流し始めた。

 足を振り上げたまま動きを止めたそいつの異変に周りの面々も気付き、訝しげに視線を向けた。――次の瞬間、その者たちは一斉に目を見開いた。


 視線の先、不自然に硬直するそいつの顔は、恐怖でくしゃくしゃに歪んでいたのだ。

 そのことに驚く面々の真ん中で、少年は静かに立ち上がった。そして、ぐるっと、かつての友たちの顔を順に見渡す。すると、少年と目を合わせた者は皆、同様に硬直し、その顔を恐怖に歪めた。


 少年はそんな元友達に囲まれたまま、ゆっくりと天を仰いだ。空は雲がかかり、薄暗い。まるで、今の少年の心を映したかのようだった。――いや、違う。少年の心はもっと激しく、荒々しい。そう、言うなれば――嵐だ。


 少年は改めて視線を下げると、少年を虐げ、裏切った――そう、いじめた者らを紫紺の瞳で冷ややかに睥睨した。

 無言で震える者、泣き出す者、吐く者、必死に謝る者――。

 ある程度、体の自由を取り戻したらしいかつての友たちは、各々そんな反応を少年に対して示してきた。


 だから、少年はにっこり笑って――全員、殺した。



――――――――――――――――――――



 あれ以来、少年は自分に向けられる敵意にひどく敏感になった。向けられる敵意から、自分が次に何をされるのかが、うっすらとだが予測できるようになった。

 友たちの裏切りを受けてから、既に数か月の時が流れている。そして、今日も今日とて、母の無意味な暴力は続いている。


 しかし、少年は母の暴力に対し、今まではなかった感情を抱くようになった。

 何故だ、おかしい、理不尽だ――。少年は、母の暴力が意味を持たないことを、本当の意味では理解できていなかったのだ。しかし、あの事件を経験した少年は、改めて自分の置かれた状況に疑問を持った。


 と、同時に、あの時と同じようなドス黒い感情が湧き上がり、あの日以来、少年の中に居座る何かが囁きかけてくる。

 その激情を解放し、思うがまま、衝動に身を委ねろ――と。


 しかし、少年はその囁きを意思の力でねじ伏せた。理由は、やはりどこまでいってもあの女は、少年のたった一人の母だったからだ。

 少年は理解していた。この衝動を解放すれば、自分は母の命を奪ってしまうと。だから、少年は今日も、理不尽な暴力に耐え続ける。



――――――――――――――――――――



 少年が自室へ戻ると、ベッドの上に見知らぬ白い少女が座っていた。

 目を見開いて固まる少年に、少女は友達の家に遊びに来たかのような気さくさで片手を挙げると、


「やあ、待っていたよ」


 ――と告げ、ニコリと微笑んだ。



――――――――――――――――――――



「――だったら、王になればいい」


 少年の話を聞き終えた少女は、間を置かずにそう告げた。

 飛躍したことを言う少女に、少年がどう反応を返せばいいのか悩んでいると、


「王になれば、大抵のことは君の思い通りだ。皆、君を崇め、崇拝し、歓声を上げる。言うことを聞かない奴は、それこそ王の権力で“叱れ”ばいい。それに、君が王になれば――」


 少女は真紅の瞳で少年の目を覗き込み、


「お母さんは、喜ぶと思うけどな――」




 この日から、少年は王様を目指すことにした――。



――――――――――――――――――――



 王になる――。一言でそう言っても、その道は前途多難、無理難題の、修羅の道だ。

 しかし、少年には白い少女――名をデプレシンと言うらしい――が付いていた。

 少年は少女の助言に従い、まずは準備をすることにした。


 手始めに、母の立場を利用することにした。幸いと言うべきか、少年は現国王の妹の息子という、他の者に比べてかなり好条件なスタートラインに立っていた。

 だから、その立場を最大限に利用する為に、少年は日課という名の暴力を受けた後、その暴力を振るった張本人である母に、とある計画を持ちかけた。


 もちろん、その計画というのは少年が考えたものではない。全て、白い少女が考案したものだ。

 少女――デプレシンは胸を張り、自信満々のドヤ顔で大丈夫だと言っていたが、少年の心を覆うのは不安の二文字だった。


 しかし、母は数十秒ほど思案すると、なんと驚くべきことに、了承した。そしてその日、少年は初めて母から褒められた。

 体に傷を作らずに自室へと帰った少年は、鼻息荒く、先の出来事を少女に報告した。


「それは良かったじゃないか」


 少女に微笑まれ、少年は頬を赤く染める。

 そんな少年を愛おしそうに見詰め、少女は次の案を少年に授けた。

 曰く――、


「君の立場は、王の座に近いのは確かだよ。でも、君よりも王に近い立場にいる者達がいる。三人――いや、一人は女の子だから、二人かな。まずは、その二人をどうにかしなければならない」


 少年は少女から聞いたことを、母に告げた。すると母は笑い、少年の頭を撫でると、使用人を呼び出し、何ごとかを命令し始めた。

 使用人の顔が強張るのを横目に、しかし少年の心を満たすのは、母に頭を撫でられたことへの喜び、ただそれだけだった。




 ――それからしばらく経ったある日、王の息子である王子二人が王都の外から帰還する際に、乗っていた馬車ごと崖に転落して亡くなったという悲報が、王都全域を震撼させた。



――――――――――――――――――――



 すっかり母の暴力を受けなくなって、大分経つ。

 少年は青年となり、その美しい姿に貴族の娘たちからの求婚が絶えなかった。しかし、青年はその全てを断った。


「ふむ……可愛い子ばかりじゃないか。どうして断ったんだい?」


 そんな少年の行いに、初めて会った時と全く同じ姿形の白い少女――デプレシンが問いかけた。

 青年はそんな少女の問いかけに、子供のように頬を膨らませる。


 和やかな日常を送る青年だったが、今日は彼にとって大きな意味を持つ日だ。

 青年は先ほどの少女とのやり取りを思い出し、不満げな顔で廊下を歩く。辿り着いたのは、母の自室だった。


 青年が中に入ると、母は青年を笑顔で出迎えた。

 昔は、まさかこんな未来が訪れるとは思いもしなかった。それもこれも、全てあの少女のおかげだ。


 青年は母に笑顔を向けておはようと挨拶すると、間を置かずにさよならと告げた。

 青年の言葉を理解できず、首を傾げる母。その母の首が、首を傾げたままさらに角度を深め、深め、やがて――ごとりと音を立てて床に転がった。


 青年は母の血で濡れた手を布で拭くと、自室で待っているであろう白い少女へ報告する為に、足取り軽く鼻歌を歌いながら、廊下へと歩を進めた。



――――――――――――――――――――



 ――計画が行き詰った。


 根回しはほとんど終わっているが、最後の問題がなかなか片付かない。――王が、殺せない。

 王を警護する騎士団。奇妙な服を着た団長の男を筆頭に、かなりの手練れが揃っていた。

 裏のルートで“その手”の専門を雇うも、ことごとく失敗している。完全にお手上げだった。


 青年は困り果て、そのことを白い少女へと相談した。

 少女は用意された椅子に腰かけ、優雅に紅茶を傾けると、その美しい線を描く足を組み換えて、


「私なら造作もないことだが、残念ながら訳あって直接、手助けはできない。君が王へと至る道は、君自身が切り開いていかなければならないんだ。私ができるのは、ちょっとした助言のみだ」


 少女から直接手を借りることできない。青年自身も、あのとき以来、内に居座る――デプレシン曰く、『激情』という罪らしい――モノの力を借りれば、ある程度は戦える。しかし、騎士たち全てを敵に回すとなると、少し、いや、かなり厳しい。特に、あの団長が一番厄介だ。


 王家直属近衛騎士団団長――ベッシュ・ウゥユ・ヴジト。またの名を『無刀の鬼』。武器はおろか魔法すら使わず、純粋な身体能力――素手のみで相手を封殺するその修羅のような姿から、その名が付いた。

 他の副団長たちだけでも強すぎると言って過言ではないのに、この男のみ、その底が一切見えず、頭が二つも三つも飛び抜けていた。


 頭を悩ませる日々が続く。一体どうすれば、王を殺せるのか。最悪、殺さなくても王位から引きずり降ろせればよいのだ。しかし、今からその方針を取ろうとすると、かなりの時間と労力が必要になってくる。何故かと言うと、現国王は民からの信頼も厚く、政治の腕も悪くないといった、まさに人の上に立つために生まれてきたような人物なのだ。


 故に、敵対する者は微々たるもので、たとえその者たちが結託したところで、王を擁護する大勢により、あっという間に押し潰されて排されてしまうだろう。だから、表立って王に反発する者は、今のところ皆無と言っていい状況なのだ。


 つまり、王をその玉座から降ろすのは非効率的で、現実的でない。なら、王自信を直接どうにかしなければならないのだ。しかし、そうなってくると騎士団が――といった具合に、青年は完全に煮詰まってしまっていた。


 ――そんなときだった。青年の元に、民にとっては悲報、しかし青年からしたら歓喜の声を上げるほどの朗報が飛び込んできた。


 それは――


 『星喰い』


 この王都の王族のみに稀に起こる、消失現象のことだ。ある日忽然と姿を消し、その者は二度と戻ってはこないという怪現象である。もちろん青年も他人ごとではないのだが、しかしこれは、王は死んだも同然ではないだろうか。


 青年の邪魔をする最後の障害が取り除かれた。青年は王になる為の最後のフェーズを開始する。――やがてそんな青年の前に、愛おしいあの少女の気を引く、奇妙な少年が現れることになることを、この時の青年は知る由もなかった。



――――――――――――――――――――



 上も、下も、左右も、自分の存在すらも認識できない虚無の空間で、カワード・レッジ・ノウは自分の人生を変えてくれた、愛する少女のことを思い描いていた。

 少女のことを考えると、胸が熱くなり、鼓動が速くなる。彼女の全てを自分のものにし、一つになりたいという欲求が首をもたげる。しかし、今は彼女を思うことしかできない。


 思い返されるのは、愛しい彼女の気を引く憎き少年と、おそらくカワードをここへと飛ばしたであろう、茶の髪をツインテールに纏めた少女だ。


 憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い。


 ドス黒く歪んだ感情が溢れ出し、カワードの心を暗く染め上げる。

 しかし、その歪んだ感情が変化を見せる。

 熱く、熱く、熱く――。狂い、理性を消し飛ばすほど強い激情。そう、これは――怒りだ。


 自分をこのような状況に追いやったアイツらに、何もできない自分に、そしてどこまでも残酷で、無慈悲なこの世の理不尽に――。

 手を伸ばす。伸ばしているのか分からないが、それでも伸ばす。怒りに、激情に突き動かされるまま、身を委ね、手を伸ばす。


 そして、その手が――。


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