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虚飾のアリス ‐不死の少年と白黒の吸血鬼‐  作者: 竜馬
第2章 王都トランセル
21/214

第2章:7 『可愛い兎さん』

3000PV突破しました!

読んでくださってる方々に、本当に感謝です!

 シンゴは妹のイチゴの事、そして、アリスとカズについてシモアに話した。

 シモアはシンゴの話を最後まで聞き終えると、腕を組んで目を閉じる。しばしの沈黙。喧騒がどこか遠くに聞こえ、時間が引き伸ばされて遅くなったような錯覚を覚える。


 シモアはたっぷり十秒は固まると、その目をゆっくりと開きシンゴを見た。

 シンゴのごくりと生唾を飲み込む音を合図にしたように、シモアがその口を開く。


「――残念だけど、二つとも情報は入ってきていない……すまないね」


「…………そう……ですか……」


「シンゴ……」


 肩を落として下を向くシンゴに、珍しく笑顔を引っ込めたイレナが心配そうな声をかける。

 正直、期待していなかったと言えば、嘘になる。過度な期待はしまいと考えていたが、いざその事実を正面切って告げられと、かなり来るものがある。


 目に見えて落ち込むシンゴに、シモア、イレナの二人までも暗い表情になる。

 申し訳ないと思い、「大丈夫だって」と無理に笑って言ってみるも、声がかすれて上手く伝わったかどうか怪しいものになってしまう。すると――、


「よし! 待ってな!!」


 シモアは大きな声でそう言うと、奥の方に引っ込んでいった。シンゴとイレナは顔を見合わせ、お互い頭の上に疑問符を浮かべる。

 数分後、シモアは手に大きなジョッキを持って現れ、そのジョッキをシンゴの前にだんッ!と置いた。


 中を見てみると、シュワシュワと泡が立った飲み物がなみなみと注がれていた。


「……あの……俺、未成年なんすけど……」


「え? 嘘!? シンゴって本当にあたしより年下だったの!?」


「え?」


 シンゴとイレナは、お互い驚いた表情で相手の顔を見て固まる。

 今、イレナは何と言った?シンゴの聞いたことが確かなら、イレナはシンゴより年上だという。

 

 しかし、それだけなら一、二歳程度だろうと思えるのだが、この会話の流れからしてそれはない。シンゴは己が未成年だと告げた瞬間に、イレナのこの反応だ。これが示すことは一つ。つまり――、


「イレナが成人〜〜〜〜!!??」


 立ち上がり、大声で驚きを顕にしたシンゴに客たちの視線が集まるが、それもすぐさま興味が失せたらしく、客たちは中断された談笑へと各々戻っていく。

 一瞬だけしんとなり、再び戻った喧騒にシンゴは気づく様子はなく、顎が外れんばかりに口を開いてイレナを凝視する。


 シンゴの驚声を受け、イレナは「失礼な言い方ね……」と呑気に不満を顕にする。

 一方、固まってわなわなと震えるシンゴの胸中は、まるで大嵐に見舞われたかのような様相だった。

 まさかこの眼前にいる、いかにも頭の足らなさそうな少女が少なくとも二十を超えているお姉さんだなんて、一体誰が信じられよう。カズが実は女でした――なんて冗談の方が、まだ信じられるというものだ。いや、ねえな。


 女物の服を着たカズが、シンゴに向かって投げキッスをしてくるイメージが脳裏をよぎり、シンゴは吐き気を催す。

 口を押さえて顔を背けると、シンゴは青い顔のまま殺人的なイメージを払拭するために、メガネをかけたウサギ耳の少女を見てSAN値の回復に務める。


 おどおどした様子で、客の注文を聞いているウサギ耳の少女。その庇護欲をくすぐる、まさにウサギのように臆病そうな姿を見て、シンゴのSAN値がもの凄い勢いで回復し上限を突き破った。


 一方ウサギ耳の少女は、野生の勘なのか、シンゴの下心にまみれた視線に気付くと、「ひぅ」と肩を跳ねさせ、持っていたお盆で口元を隠してがたがたと震え始める。

 ありゃ?とシンゴが思っていると、シンゴの視線からウサギ耳少女を守るようにして、イヌ耳少女が前に立った。


 そして、殺人的なオーラを漂わせて睨みつけてくるので、シンゴは「じょ、冗談やねん……」と愛想笑いを返しつつ、そんなシンゴにジト目を向けているイレナの方に向き直る。

 イヌ耳少女にまた幾分か削られた気がするが、それを差し引いてもお釣りが来るほどにシンゴの潜在エネルギー的なものは回復している。今ならヒィースも目じゃないかもしれない。――やっぱそれは無理。


 さて、現実逃避はこのくらいにして、シンゴはそろそろ目の前の現実に向き合うことにする。

 未だシンゴに軽蔑の視線を向けているイレナに、シンゴは呼吸を整え、来たるべく衝撃に心の準備を整えると、思い切って切り出す。


「イレナって……成人してるのか……?」


「そうよ?」


「ごっふおぉ!?」


 準備していたにも関わらず、あまりの衝撃にシンゴは吐血(エア)して後ろにぶっ倒れる。その際に頭を強打して床で転げ回るシンゴを見ながら、イレナも問いを返す。


「びっくりしたのはあたしの方よ。まさかシンゴが――“十五歳”だったとはね」


「…………は?」


 イレナの言葉にシンゴは転がるのをピタリと止め、ばっと体を腹筋で起こすと、そんな声を上げる。

 シンゴのそんな反応に、イレナは「?」と首をかしげ、「だから――」と再度口を開く。


「あたしが“十六歳”だし、シンゴは“十五歳”でしょ? さすがにあたしでも、このくらい計算できるわよ! それとも、もしかして十四?」


「…………待てよ……?」


 シンゴは起き上がって椅子に座り直すと、目を閉じてこめかみの辺りをトントンする。

 イレナの今の言葉をゆっくり吟味しながら、シンゴは片目を開けて、今まで静観を貫いていたシモアに質問する。


「シモアさん、この世界の成人年齢って……?」


「おかしなことを聞くね、そんな常識も知らないのかい? “十六”に決まってるじゃないかい」


「やっ――――ぱりぃかいッ!!」


 シンゴは思いっきり額をカウンターに叩きつけた。



――――――――――――――――――――



 シンゴは先ほど出された飲み物に手をつけながら、これからどうするかなあ、と思考を巡らせていた。

 先ほど出されたのは酒ではなく、甘い炭酸ガスの水――要は、ただの炭酸水だった。


 口もとを泡だらけにしながら炭酸水を飲み、シンゴは悲観にくれる。

 イチゴの情報はおろか、アリスたちのことすら分からずじまいだ。一体どうすればいいのだろうと先程から考えているが、この世界の事に疎いこともあり、なかなか明暗は浮かんでこない。


 こんなことをしている場合ではない。早くイチゴを見つけなければと焦りが湧いてくるが、シンゴは深呼吸でそれを落ち着ける。こんな時こそ冷静に、だ。

 シンゴはユリカの事を思い出しながら、そう考える。


 ちらりと視線を向けると、その先では、どうやらここにいるケモ耳少女たちとも顔馴染みだったらしいイレナが、それぞれに親しげに挨拶をして回っているのが見える。

 ふと、そんな彼女らの横の席に目を向けると、酔いつぶれて、数人用のテーブルに一人で突っ伏している男が視界に入った。


 結構な大柄で、その髪はシンゴに近い茶髪。しかし、シンゴが目を付けたのはそこではない。その男が着ている“服”だ。


「……あれって、着流しってやつか?」


 男が着ているのは、紺色の、いわゆる和服のような服だった。

 まさかと思い足元を見るが、さすがに靴は下駄ではなかった。

 人のことを言える服装ではないが、あのおっさんの服、浮いてるな――と思うが、なぜかあの男が着ていると、妙に馴染んで似合っているように見えてしまう。


 しかし、こんなところで元居た世界の――それも、日本の和服が登場するとは思っても見なかった。そしてそれは、この世界とシンゴの元居た世界の繋がりをより一層強くシンゴに意識させた。

 そんなことを思いながら、シンゴがその男を眺めていると、突如、怒声が上がった。


「おいおいおい? ちょっと付き合ってくれって言ってるだけだろぉ!?」


 その声のした方を見ると、腰に剣を帯びた、身なりの悪い男たちの一人が、イレナの顔を下から覗き上げるようにして睨みつけている。その顔は真っ赤になっていて、どうやら相当酔っている様子。


「なんであたしがアンタみたいなおっさんと一緒に行かなきゃならないのよ!?」


「ぐちぐちうるせえなぁ!? この際、オメエみてえなガキで我慢してやるって言ってるんだよ! むしろ感謝して欲しいくらいだぜ。なあ?」


 後ろに控えている、同じく相当酔っている様子の仲間らしき男たちに、男は問いかける。それを受け、後ろの仲間たちも口々に反応し、はやし立てる。


「何やってんだよ、アイツ……」


 シンゴは嘆息しながら頭を掻くと、とりあえずイレナの元に向かおうと腰を上げかけるが、


「まあ、待ちな」


「? いや、でも……あれって結構やばいんじゃないすか? 今にも腰の剣抜きそうだし……」


「いいから、アンタは座って見てな! これから“おもしろいもの”が見られるからさ――」


「おもしろいもの……?」


 シンゴをそう言って制止するシモアは、ニヤリと笑う。

 シンゴはそんなシモアの態度に眉を寄せながら、いや、アンタが真っ先に止めろよ!ここの責任者だろ!?強そうなんだし――!と、心の中で思うが、そんなの怖くて口には出せなかった。


 シンゴは立ち上がろうとしたところを静止させられたため、そろそろぷるぷるし始めていた足を折り、座り直す。そして言い合いがデッドヒートし、今にも一触即発のところまできているイレナと酔っ払い集団に目を向け直す。


「テメェ……いい加減にしねえとこっちも力ずくで行くぞ! いいんだなあ!?」


「上等よ! かかってきなさい! 全員まとめて相手にしてやるわよ!!」


「オイ、聞いたか!? 俺らまとまて相手してくれるってよ! その華奢な体でいつまで耐えられる!? あァ!?」


 全員まとめて相手にしてやる――なんて、人生で一度でいいから言ってみたいセリフをさらっと叫んだイレナは、とうとう剣を抜いて構えた男たちを鋭く睨むと、すぅと空気を吸い込み、“構え”を取った。


 片足をだんッ!と前に叩きつけるように踏み出すと、そのまま足を開いて腰を落とす。踏み出した足と同じ方の腕を、手のひらをグーにしたまま真っ直ぐ前に突き出し、もう片方の腕を弓を引くように顔の横に構えた。


「お? ぎゃはははは!! 見ろよ!? こりゃ傑作だぜ! この女、ホントに俺らとやり合うつもりだぜ!?」


「――いいから、かかってきなさいよ。それとも、怖気付いたの――?」


「あァ? チッ、舐めやがって……お前らは手を出すなよ、俺がこの生意気な小娘に、世の中の常識ってもんをたっぷり教えてやるからよおッ!!」


 男は吠えると同時に、大きく剣を振りかぶりながらイレナに斬りかかった。

 一方イレナは、構えたままの姿勢で動こうとしない。それを見た男はニヤリと下卑た笑みを浮かべ、そのまま勢いよく剣を振り下ろした。

 すると、男の剣が振り下ろされると同時に、イレナは踏み出した足を軸にしてくるりと回転した。


 イレナの背中のすれすれの位置を、男の振り下ろした剣が通過する。

 茶色の毛が何本か宙を舞う中、イレナは反転した体を男の胸先間近に滑り込ませると、折り曲げたままだった方の腕の肘を、そっと男のみぞうちに当てた。

 曲げられた腕の手はグーに握られ、それを包み込むようにもう片方の腕が支える。


 次の瞬間、イレナが添えられた肘を、もう片方の腕でぐっと押しこんだ。すると――


「ごおぅッ――!!??」


 肺の空気を絞り出したような声を上げ、男は数メートル以上吹き飛ばされて、そのまま壁にノーバウンドでぶち当たった。


「――――ッ!」


 残った空気を最後まで吐き出し、男は壁に激しくバウンドして床にうつ伏せで倒れ込んだ。

 男は体をぴくぴく痙攣させ、一向に起き上がる気配はない。どうやら、今ので完全に気を失ったようだ。


「す……すげえ……!」


 自然と漏れたシンゴの言葉を皮切りに、他の客たちからも大きな歓声が上がった。

 イレナは「ふぅ――」と息を吐くと、表情を笑顔に変え、客からの歓声に手を振って答える。


「――っざけんなよ!?」


 見ると、吹っ飛ばされた男の仲間の内の一人が顔を怒りで真っ赤にさせて、イレナに指を刺して怒声を飛ばす。


「いい気になんなよ、このガキ!」


「ぜってぇ泣かしてやる!」


「結婚して!」


「今さら泣いて謝ってもおせぇからな!」


「ボコボコにした後で、たっぷり可愛がってやるよ!」


 男たちは次々に吠えると、剣を抜いて臨戦態勢になる。――――今なんか、さらっとプロポーズしてた奴がいた気がしたが、おそらく気のせいだろう……。

 イレナもそれを見て、再び構えを取ろうとする――が、そんなイレナをかばうようにして、イヌ耳の少女が前に進み出た。


 よく見ると、イヌ耳の少女の後ろには、あのウサギ耳の少女がガタガタしながら隠れている。

 そんな奇妙な光景なのに、何故か周りの一部の客がさらに盛り上がりを見せ、歓声と口笛が音量を増して飛び交う。


 イレナは何かに気付いたらしく、先ほどの勇猛ぶりはどこへやら、「ひ」と顔を引きつらせて客の輪に飛び込んだ。


 突然の給仕の少女たちの乱入に加え、敵対していた少女の戦意喪失からの逃亡。そんな状況に置いていかれている男たちは、困惑した様子でお互い顔を見合わせている。


 すると、イヌ耳の少女はシンゴの方――というよりは、シモアの方に顔を向けると、「本当にいいのですか?」というふうに、目線で問いかけてきた。

 問いかけられたシモアはというと、親指でクイッと、イレナが吹き飛ばした男の下敷きになって壊れたテーブルを指差すと、そのまま親指を流れるように真下に向けた。


 それを受けたイヌ耳少女は、「はぁ……もっとヒドくなるのに」と不穏な言葉を呟くと、困惑状態継続中の男たちに無防備に背を向け、ウサギ耳の少女に向き直った。

 ウサギ耳の少女は、相変わらず腕を体に引き寄せてふるふると涙目で震えている。


「あんまりやり過ぎないようにね……ユネラ」


 そう言うと、ウサギ耳の少女――ユネラの“メガネ”を、そっと外した。そして、全力でダッシュして、どうやら常連さんらしい客の一団に、頭からダイブして受け止めてもらう。


 一方メガネを外されたユネラはとういと、何やら纏う雰囲気が変わり、ゆらりと体を揺らしながら幽霊のような足取りで一歩前に歩み出ると、男たちに向かって中指を突き出して叫んだ。


「――――てめえら全員、皆殺しだぁッッ!!!!」


「「「「「えええええッッ!!!???」」」」」


 言動どころか、顔つき、性格まで変わってる様子のユネラによる、一方的な蹂躙が始まった。

 まず、手前の男の顔面を掴むと、勢いよく床に叩きつける。


 反応する暇も与えず、二人目の顎を蹴り上げる。一メートルは飛んだであろう男を、空中で横に蹴り飛ばして避けると、ようやく反応して動こうとした三人目の懐に飛び込み、シンゴの目では追いきれない速度で無数の拳を腹に叩き込む。


 先ほど胃に収めていたモノを戻しそうになる男だが、ユネラは器用に鼻と口を指でつまんで塞ぎ、そのまま指先の力だけで男を引っ張り、巴投げで後ろに放り投げた。

 投げられた男は、空中で吐瀉物を撒き散らしながら客の中に飛び込む。


 ゲロを浴びた客たちの阿鼻叫喚を尻目に、ユネラは巴投げの勢いを生かし、腕のバネで前に跳ね起きる。そして、すぐ目の前に迫った四人目の斬撃を、運悪く手の届く範囲に居合わせた、甲冑に身を包んだ大柄の男を引き寄せて盾にする。


 斬撃は甲冑にある程度防がれるが、完全には防ぎきれず、巻き込まれた男の脇腹が浅く斬られる。

 ユネラは絶叫する甲冑の男を横に放り捨てると、体勢を崩した男のこめかみを肘で打ち抜く。


 ユネラは顔に飛び散った血をペロリと艶かしく舐めとると、最後の男に悠然と歩み寄る。

 最後になってしまった男は、ガタガタと半泣きで震え、既に失禁している様子。

 ユネラはその男の胸ぐらを掴んでガンをくれると、草食動物をいたぶる肉食獣のように言い放った。


「楽に死にたい? それとも、苦しんで死ぬ?」


 結局のところ、男の辿る末路は同じらしい。

 男は顔面をくしゃくしゃにして、涙ながらに命乞いをするが、ユネラは可愛く一言。


「だ〜め♪」


 と、返り血で真っ赤に染まった笑顔で否定。

 ユネラは一体どうするつもりなのか、片手で男を悠々と吊り上げると、空いた方の手を手刀の形にする。そのとき――


「やめろッ!!!!」


 ユネラはピタリと動きを止め、ゆっくりと声のした方を振り向く。そこには、なぜ自分がそんなことを口走ったのか理解できず、しまったという様子で自分の口を手で塞いでいるシンゴが。


 ユネラのシンゴを見る目は、恐ろしく冷たい。

 そして、吊り上げていた男を腕力だけで壁に投げつけると、ユネラはシンゴを見ながらニコッと笑った。


「死ね」


 シンゴは文字通り、襲い来るであろう『死』に硬直し――


「はい、そこまで!」


 すちゃ――と、イヌ耳少女が気配も無くユネラに近づき、“メガネ”をかけた。すると――、


「――――! は、はわわわ! ご、ごめんなさ〜い!!」


 雰囲気がガラッと変わった――いや、元に戻ったユネラが、おどおどした様子で頭を深く下げて情けない声で謝る。

 シンゴはそれを受け、どっ――と後ろのカウンター席の壁に寄りかかると、ずるずると背中を滑らせて床にへたりこんだ。


「どうだい、なかなか面白かったろ?」


「…………糞食って爆ぜろ、ババア――」


 上から覗き込んで問いかけるシモアに、シンゴは最大限の強がりで応じるが、体中嫌な汗でビッショリな上、声は震えていた。

 そんなシンゴの返事に、シモアの豪快に笑う声、常連客の笑う声が、店内めちゃくちゃの酔いどれ亭に響いたのだった。


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