第4章:80 『価値』
『――目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をしなさい』
「――――」
リーシャ・クロムウェルと名乗った見知らぬ女性の言葉に従い、目を閉じたカズはゆっくりと深呼吸を試みた。
澄んだ空気が肺を満たし、吐き出すごとに熱を持って行ってくれる感覚がある。
『そう、その調子です。そのまま自分自身を見つめなさい。自分が何者なのか、その構成要素を一つ一つ確認して、拾い集めるように』
「――――」
言われるがまま、自分という一人の人間の存在を再定義していく。
名前は。性別は。外見は。性格は。思想は。出身地は。家族は。友人は。思い出は。夢は。信念は。負い目は。後悔は。
一つ一つピースを確認しながら順にはめ込んで、カルド・フレイズという男を組み立て直していく。
その間、外界からの情報を意識して遮断し、未だに頭の中で響き続ける【声】も無視して、ただひたすら作業に没頭する。
果たして、どれだけの時間そうしていただろう。自分の人生を追体験するに等しい作業を終え、カズはゆっくりと目を開けた。
目を閉じる前よりも、心はより深い安穏に包まれている。まるで、光も音も感じない深海の底にいるかのようだった。
『【声】は、まだ聞こえますか?』
「……いや、もう、聞こえねぇ」
気が付けば、いつの間にかあの【声】は聞こえなくなっていた。
視線を右手が握り締める大剣に落とす。柄に張り付くように離れなかった手が、今では思い通りに五指を開閉できるようになっている。
その事実を確認してから、カズは改めて目の前の人物に目を向けた。
――不思議な雰囲気を纏った女性だ。
リーシャ・クロムウェル。銀色の長髪や閉ざされたままの双眸も目を引くが、取り分け強い印象を与えてくるのは、やはり透き通ったその半透明の肉体だろう。
彼女は自分の事を死人と称した。にわかには信じ難いが、仮に本当に死人だとした場合、死人が何故こんな所にいる。何が目的でカズを助けてくれたのか。
いや、そもそもだ。自分はどうしてこんな得体の知れない場所にいる。
人ならざる存在である二人の幼女にしてもそうだ。天秤を正す為だと言っていたが、はっきり言って意味不明だ。その天秤を正す為に、どうしてカズに肩入れするような真似をするのか。疑問を挙げ出したらキリがない。
『――お久しぶりなのです、リーシャ』
次々と湧いてくる疑問の山にカズがどう対処するべきか判断を下しかねていると、金色の幼女がリーシャに向けて声を掛けた。その表情は優しく、旧友との再会を喜ぶように金色の瞳を細めている。
そしてそれは、振り返ったリーシャも同じだ。金色の幼女と似たような表情を浮かべ、噛み締めるように『はい』と小さく頷いた。
『また、貴女様の声を聞ける日が来ようとは、夢にも思っていませんでした』
『それはこちらのセリフなのですよ。……だいたい、千八百年ぶりになるのですかね? あれから随分と長い時が流れたものなのです』
「待て。アンタら、知り合いなのか? いや、それ以前に、いい加減ちゃんと説明してくれねぇか? 正直、オレには何がなんだか……」
どうやら旧知の仲らしい二人の会話に申し訳ないと思いつつも割り込み、カズは詳細な事象の説明を要求した。
しかし、そんなカズの求めに応じたのは、別の人物――腕を組みながら、不機嫌そうな表情のまま沈黙していた玄武だった。
『生憎と、わしと母は時間切れのようじゃ』
「時間切れって……」
そうカズが呟いた直後だった。玄武と金色の幼女、二人の全身から光の粒子が立ち上り始め、ゆっくりとその身体が薄くなっていく。
それを見て、カズは慌てて口を開くと、
「待ってくれ! アンタらは、どうしてオレを助けるようなマネを……!」
『言ったはずじゃ。傾いた天秤を正す為じゃとな』
『具体的に言うと、ゲンちゃんがちゃんと確認せずに龍脈に潜った所為で、彼らの【金色の加護】が消えて戦局が大きく傾き過ぎちゃったのですよ』
『母よ!?』
まるでひどい裏切りを受けたかのように悲痛な声を上げる玄武だが、金色の幼女はそれを無視してカズを指差すと、
『そこで、バランスを取る為に彼ら側の戦力を増強する事にしたのです』
金色の幼女が言う『彼ら』とは、おそらく吸血鬼達の事を指しているのだろう。
確かに、捏迷歪から『堕落』を受けて弱体化した彼らにとって、『金色の加護』は最後の命綱だったと言えよう。その命綱を断ってしまったのがこの玄武という幼女であり、金色の幼女はその尻拭いとしてこちらの戦力増強をしようとした、と。
だが、それがどうしてカズを助けるという事に繋がるのだ。自分ごときが戦線に復帰したところで、また同じような結果になるのが関の山だろうに。
『言ったはずなのですよ。戦力を増強する、と』
『わしが何の為にリーシャ・クロムウェルの魂を呼び覚ましたと思うておる?』
「どういう、ことだ……?」
眉根を寄せたカズが疑問の声を漏らした直後だ。玄武と金色の幼女、二人の身体から散っていた光の粒子がその勢いを増した。
急速に、二人の存在が希薄になっていくのを感じる。目視に至っては、もうほとんど二人の姿を視認する事が出来ない。
『詳しい話は本人から聞くのじゃな。わしらはもう行く』
『リーシャ、後はお任せするのです。……また、辛い役目を押し付けてしまい、ごめんなさいなのです』
『構いません。あの時も、結局は自分の意思で選んだ事です。そして、それは今とて同じ。この選択が、世界に取って価値のある選択であると、私は信じています』
『――ありがとうなのです、リーシャ』
そのやり取りを最後に、金色の幼女と玄武は完全に光の粒子となって消えた。
空中に溶けて消えていく光の粒子、まるでそれを見届けるように、リーシャは閉ざされた双眸を向けて沈黙している。
その様子を見ていると、ふと口を衝いて出る疑問があった。
「アンタ……見えてんのか?」
『……いいえ、私は生まれながらに盲目です。ですが、見えないからと言って、物事を知覚できない訳ではありません。むしろ、目が見えないからこそ、よりはっきりと見えてくるものもあります。それは物事の本質であり、目に頼っていては見落としてしまいがちな、とても小さな価値と呼べるものです』
「……価値」
目を細め、呟くように単語を復唱するカズに、リーシャは身体ごと向き直ると、
『そう、価値です。人にも、物にも、概念にさえも、価値というものは存在します。そして、その価値は受け取る者によって様々な側面を見せるのです。そこに正解も間違いもありません。ある者にとっては無価値でも、他の者にとっては価値がある場合もあるのです。――いいですか? 見るべきは価値ではありません。真に見るべきなのは、価値を見出す人の方なのです』
「見るべきは……価値じゃなく、人の方……?」
『貴方なら出来るはずです。貴方は自分の価値を知っている。なら、あとは視点を増やすだけです。自分という視点に他者の視点を加え、俯瞰して価値を捉えなさい。そうすれば、自ずと答えが見えてくるでしょう』
「…………」
カズは、自分が価値のない人間だと思っている。だが、それはカズから見たカルド・フレイズの価値でしかない。
シンゴが、アリスが、イレナが、カルド・フレイズに対して、果たして無価値という評価を下すだろうか。答えは否である。あの三人が、そのような評価を下すはずがない。断じてないと言い切れる。
それは、気遣って慰めを口にしてくれるという話ではない。本心から、彼らはカズの価値を認めてくれると、そう断言できる。出来てしまう。
我ながら傲慢だと思う。でも、知っているのだ。カズは、あの三人の価値を知っている。だからこそ、そうだと言える。言えてしまうのだ。
ならば、あの三人が認めてくれるカルド・フレイズの価値をこれ以上無価値だと断じて貶める行為は、あの三人の価値を貶める事と同義ではないだろうか。
だとしたら、自分は、カルド・フレイズは――、
『――今の貴方なら、その剣を正しく振るう事が出来るでしょう』
「……そりゃ、どういう?」
『契約を結びなさい。その剣の力を解き放つのです』
「――っ!」
告げられた言葉に、カズは鋭く息を呑んだ。そして、右手に握られたままの錆び付いた大剣へ、ゆっくりと視線を落とす。
さっきまでのカズなら、迷いはしても、最終的には言われた通りにしただろう。だが、己の価値が持つ異なる側面に気付いた今では、躊躇いが生じてしまう。
今さらながら、金色の幼女が言っていた『戦力増強』という意味が理解できた。
確かに、この剣の力に頼れば、カズは今までにない力を手にする事が出来るのだろう。だが、その代価として支払われる魂、その重みを知った今では――。
『――安心なさい。贄に捧げる魂は、ここにあります』
そう言って、リーシャは自分の胸に手を当てた。
それが意味するところを理解して、カズは驚愕に目を見開く。
「いや……いや、そりゃダメだ! 出来ねぇ!」
『いいのです。私は既に死んでいます。それに、こうして貴方と話しているこの身は、リーシャ・クロムウェルの魂の残滓に過ぎません。本物のリーシャ・クロムウェルの魂は、既にこの世には存在しないのです』
「だからって、オレにはそんな事は……っ!」
俯き、奥歯を噛み締めながら拳を震わせるカズに、リーシャはふっと口元を仄かな微笑で彩った。
『貴方は、このような残骸にも価値を見出してくれるのですね』
「……オレが知ってんのは、目の前のアンタだけだ。そのアンタだって、ついさっき出会ったばかりだ。本物もクソもねぇ」
『その言葉が聞けただけで、私は満足です。――ですが、この道はかつて私が一度通った道なのです』
カズの拒絶をやんわりと否定し、リーシャは自分の胸に手を当てながら告げる。
その言葉に、カズは先ほどのやり取りを思い出した。金色の幼女は、リーシャに対して『また、辛い役目を押し付ける』と言った。それはつまり、過去にも似たような事があり、その時もリーシャは自分を捧げたという意味ではないのだろうか。
『貴方が考えている通りです。かつて私は、人類が災厄に立ち向かう為の力を授けるべく、悪魔との契約を結びました。そうして生まれた力……【魔剣】と呼ばれる悪魔の力を秘めた武器の一つが、貴方の持つその大剣なのです』
「コイツが、魔剣だと……?」
明かされた驚愕の事実に、カズは戦慄の眼差しを手中の大剣に向ける。
落ちない錆びで覆い尽くされた、フレイズ家に代々伝わる家宝。そのルーツに関しては全くの不明で、家族も何も知らず、関連する書物なども存在しない。ただ、家宝として大切に扱う、という取り扱い方だけが代々継承されてきた。
どのような経緯でフレイズ家に転がり込んで来たのかは不明だが、その始まりは今こうして知る事が出来た訳だ。
しかし、心境は複雑としか言いようがない。なにせ、今の話が本当なら、この大剣は一人の人間の命を代価としてこの世に産声を上げた事になるのだから。
『いいですか? よく聞きなさい。かつて、私が生きた時代において、災厄は封印されて人類側の勝利に終わりました。ですが、原因は不明ですが、災厄は再び目を覚ました。それが今よりおよそ八百年前の出来事です。こうして平和な世が続いているという事は、おそらく誰かの手によって再び封印されたのでしょう』
「八百年前……それに、アンタが生きた時代ってのが、さっきの金色のヤツとの会話から察するに、千八百年前か? って事は、その災厄ってヤツは、おとぎ話なんかによく出てくる、あの『邪神』の事を言ってんのか?」
この世界には、数多くのおとぎ話が存在する。様々な物語がある中で、千八百年前と八百年前を舞台にした物語が二つある。
色々と手が加えられているのか、登場人物や物語の流れは地域によって千差万別だ。千八百年前と八百年前、それぞれ別の物語ではなく、一つの物語として語られる場合もある。しかし、共通する部分も存在する。その内の一つが、人類側の敵として必ずと言っていいほど登場する、『邪神』と呼ばれる強大な敵の存在だ。
『あの戦いが後世にどのような伝わり方をしたのかは私の与り知るとこではありませんが……おそらくその認識で間違いありません』
「作り話じゃ、ねぇってのかよ……」
思わぬ事実が明らかとなり、カズの声が戦慄に震える。
が、続くリーシャの言葉にカズは更なる戦慄と驚愕を味わう事になる。
『そして、どうやら災厄を三度蘇らせようとしている者がいるらしいのです』
「なっ……一体、どこの誰がそんなバカな事を……!?」
『そこまでは私も分かりません。この情報も、先ほど頂いた物なので』
先ほど頂いた、とはつまり、あの二人から聞いたという事だろうか。だとしたら、カズが【声】に呑まれていた時か。いや、そんな話をあのタイミングで悠長にするのはおかしい。あの二人は超常の存在だ。もしかしたら、言葉を介する事無く簡潔に情報を伝達する術でも持ち合わせているのかもしれない。
いや、今はそんな事を考えている場合ではない。早々に脱線しかけた思考を打ち切り、カズは改めて意識のピントを目の前のリーシャに合わせた。
「つまり、その『邪神』ってヤツが復活した時、コイツの力が必要になると?」
『察しが早くて助かります。まだ色々と準備は整っていないようですが、その辺りはあの方が進めて下さっているはずです。心配は不要でしょう』
「あの方……さっきの金色のヤツか?」
カズの確認に、リーシャは首肯で以て答えた。
そして、切り替えるように小さく『さて』と呟くと、
『災厄の復活も今すぐという訳ではないはずです。それよりも今は、目の前の問題を片付けるべきでしょう。……決心は、付きましたか?』
「…………」
さらりと銀髪を揺らして小首を傾げるリーシャの問いかけに、しかしカズは明確な答えを返す事が出来ず沈黙を選択する。
正直、意識して考えないようにしていた。だが、どうやら避けては通れない問題らしい。むしろ、今の話を聞いた後では余計に断わり難くなってしまっている。
だが、やはり、他人を犠牲にしてまで力を手に入れるくらいなら――。
『――私は、消える定めにあります』
「……は?」
『私はリーシャ・クロムウェルの魂の残滓として、貴方の持つ剣の中でずっと眠り続けてきました。それがこうして目覚め、剣の中から外に出てしまった以上、剣は私を異物として認識したでしょう。もはや二度と眠りにつく事は叶いません。貴方の選択に関係なく、どのみちこの身は朽ちる定めにあるのです』
「……ざけんな。オレに選択肢なんか、ハナからねぇじゃねぇかよ」
歯軋りし、責めるようにリーシャを睨み付けるカズだったが、そのリーシャの困ったような微笑を見て、バツが悪そうに目を逸らすしかなかった。
行き場を失った怒りは、あの二人の幼女へと向けられる。何故ならば、あの二人はこうなる事を理解していてリーシャを目覚めさせたのだ。いや、むしろ望んでいた節すらある。最初から、リーシャ・クロムウェルの犠牲が前提だったのだ。
『これは、必要な事なのです』
「アンタが犠牲になる事がか!? こんなやり方は違ぇだろ! もっと、他に何か方法があるんじゃねぇのか!? 最悪、こんな剣なんかに頼らねぇ……でも……」
怒りに声を荒げるカズ、その言葉が尻すぼみになったのは、眼前でリーシャがカズに向けて深々と頭を下げていたからだ。そんなリーシャの予想外の行動に対し、カズは目を見開きながら呆けたように口を半開きにして硬直するしかない。
やがて、しばらくして硬直から脱したカズは、呟くように言葉を発していた。
「なんで、そこまで……」
『かつて私は、世界の為に、人々の為に、この身を捧げました。今でもその行いは、価値ある行動だったと胸を張って言えます。そして、それは今回とて同じです。私は世界の為、人々の為、何より目の前で己の無価値を嘆く青年に救いの手を差し伸べる為に、再びこの身を捧げようと考えています』
「――ッ! オレは別にそんな事を頼んだ覚えは――」
『ですが! ……ですが、今回に限っては、少しばかりの私情が介在していると認めざるを得ません』
腕を振り乱し、咄嗟にリーシャの言葉を否定しようとしたカズだったが、続く言葉に被せる形で発せられたリーシャの強い声に閉口させられる。
そうして口を噤んだカズに向かって、リーシャは頭を下げたまま語った。
『どうか、この魂の残骸に、存在価値を与えてやって頂けませんか?』
「――ッ」
『お願いします』
更に深く頭を下げるリーシャの懇願を受け、カズの表情が激しい葛藤に歪む。
胸の内で様々な感情が渦巻き、幾つもの言葉が喉元までせり上がってくるが、それは言葉として外に吐き出される前に呑み込まれる。呑み込むしか、なかった。
眉間に深く皺を刻みながら、カズは握り締めていた拳の力を抜き、
「アンタ、ズルいな……」
『自覚は、しています』
「…………やっぱ、納得は出来ねぇ。出来ねぇが、アンタの理屈の方が正しいってのは、理解した。だから、その提案、呑ませてもらう」
渋々ながらも了承の言葉を口にしたカズに、リーシャが顔を上げる。
この選択は間違っている。その思いは今でも変わらない。だが、たとえそうだとしても、この間違った選択に確かな価値を付与できるのはカズだけなのだ。
ドンと、握った拳を自分の胸に押し当て、誓うように告げる。
「アンタの存在価値は、このオレという存在で以て必ず証明してみせる。だから、アンタは胸を張って、アンタの価値をオレの魂に刻み込め。オレは、生涯を賭してその価値を証明し続ける。――そう、ここに誓う」
『――ありがとうございます』
カズの誓いを聞き届け、感謝の言葉を口にしたリーシャ――その、閉ざされた瞼の隙間から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
その涙を、心に刻む。魂に刻み込む。決して、忘れてしまわないように。
『――貴方の歩む道が、価値あるものであらん事を』
「ああ」
まるで神に祈りを捧げる聖女のように、胸の前で五指を組んだリーシャ・クロムウェルの身体が、ゆっくりと光の粒子へ変わっていく。
その光の粒子はふわりと舞い上がり、カズの持つ大剣の中へと吸い込まれていき――そして、意識が現実へと浮上する。
――――――――――――――――――――
「ぐッ、ぁ……」
意識の覚醒と同時に、両肩を中心として全身を貫く激痛が神経を焼いた。
だが、それがどうした。割れんばかりに奥歯を噛み締め、全身の筋肉に動けと命令を下し、ゆっくりと、上体を起こしていく。
『さあ、立ちなさい。この魂が完全に食われて消滅するまでの短い間ですが、出血は私が止めておきます』
頭の中にリーシャの『声』が響く。その激励に背中を押されて、カズは膝を震わせながらもどうにか立ち上がった。
霞んで朦朧とした視界に、ラミアを庇うように抱いたガルベルトと、そんな二人に捏迷歪が黒炎の巨斧を振りかぶる光景が映り込む。
『呼びなさい。さすれば剣は応じてくれます』
「……きやがれ」
『あらゆる価値を切り裂く【魔剣】、その名は――』
――魔剣・ベリアル。