思い出した!!
私は前世の記憶があります。
今回生れ落ちたこの世界にはその物語が残っておりました。
ここで皆様は誰を思い浮かべますか?
シンデレラ?義理母?義理妹?シンデレラに王子様をとられてハンカチの端をかんでいたかもしれない多くの令嬢?
いえいえそんなものではありません。
単刀直入にいえば、物語の出てきていない端役以下。
シンデレラストーリーを後から聞いたどこかの町の孤児です。
食べるものもろくになく、シンデレラストーリーに浮かれモード全開の世の端で死んでいった孤児です。
そんな私も今世はついていたようでシンデレラの物語ある世界の国のお姫様として生れおちたのです。
お姫様として人生ウハウハコースの私がかつての記憶を取り戻したのは、お兄さまにシンデレラの本を読んでもらっているときでした。
「嫌よ!なんでシンデレラが幸せになるの?」
そういって読み聞かせてくれたお兄様に詰め寄った。
お兄様は困ったように私の頭をなでながらどうしたのと聞いてきた。
「だって、だってそうでしょう。継母たちにいじめられて、お父様が死んで没落した貴族のお姫様が何で幸せになるの?」
シンデレラと私の不幸自慢大会をしたなら私が圧勝できる。
「いいじゃないか、つらい境遇のシンデレラがやっと幸せになるのだから。それにこれは女の子が憧れを抱く話であってね」
「だめ!つらい境遇の方なんてこの世にはごまんとしているわ。もともと貴族で可愛いシンデレラがその方々をさしおえて幸せになるなんて傲慢よ…そう、魔法使いも気に食わないわ。一人を幸せにするなんてエコヒイキよ。そして何よりも苛立つのはお兄さま。あなたよ!!」
「えっ僕かい?肩書が王子なだけで何もしてないけど…」
「存在がよ!」
「妹から存在否定される僕っていったい…」
金色の髪にいつも優しげに微笑んでいる青い瞳に涙を浮かべるお兄さまをなんて王子顔なんだろうと思う私はお兄様とうり二つな容姿である。が、それはそれなのである。
「王子様なんて、ポッと出てきた毛並みの違うシンデレラに一目ぼれって笑止」
「妹よ、笑止って君はまだ4歳のはずだよね。言葉遣いね、淑女じゃないよ。今日はどうしたの?」
「王子様の隣の席をご令嬢たちは血と汗と努力をもって勝ち得ようとしているというのに…努力もなしでその座を奪い取る天然気取りの小娘が許せん!そんなのが義理姉になるなんて我慢ならん。お兄様…不潔」
「…なんて目で僕を見るんだ!僕は王子だけどなにもシンデレラの王子でもないのだから、物語に影響され過ぎだ。女の子が喜ぶ物語だと聞いていたのに!!なんていう話だ。妹よ、よく考えて、僕はまだ6歳だよ。そんな急に恋だの結婚など…」
「常春あたま王子予備軍でしょう?早い遅いの問題ではないのよお兄様。シンデレラを構成するものは早いうちに始末しないと」
「やめて!物語の王子と僕を同じにしないでよ!始末ってちょっとそれ僕のこと!?」
急に始まった妹の兄批判に王子は心的ダメージを食らった。
お兄様はダメージを残したままふらふらと自室に戻られたが、私は一人思案していた。
義理母・姉にいじめられたかわいそうなシンデレラ
大好きなお父様も死んでしまったかわいそうなシンデレラ
気立てもよくて周囲から愛されるシンデレラ
出来レースのように幸せになること約束されているシンデレラ
死に際に聞いたその話に羨ましいなんて思わなかった。
ただ妬ましい。
だから私はそう簡単にはシンデレラガールは許しません!
自分勝手?今世はお姫様なのだからその人生を楽しめって?
ほっといてください。
私の目が黒いうちは第二のシンデレラ的存在は許しません!!




