No.0 お話の前に
選んでくれてありがとう。
それは一つだ。いや、一つだった。巨大な二つの存在に引き裂かれたから。片方の存在がそれを移動させている途中に他の存在がそれを奪おうとしたから。
引き裂かれた破片の一つは、世界を救ってほしいと願う者達の所へ。この世界の創造主のもとにいった。
引き裂かれた破片の一つは、世界を変えてほしいと願う者達の所へ。この世界の管理主のもとにいった。
引き裂かれたものは完全ではない。もう片方がなければならない。もう片方を見つけ出すためにこの世界をさまようだろう。神が実在し魔法が存在する世界【アルカナ】を。
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その部屋にはベッド一つしかなかった。中央にあるベッドの上にそれは横になっていた。それはこの世界の最強な存在であり、また最恐な存在でもある。それを見た者の多くは自分の行いを後悔しながらそれに嬲られ、破壊され、心を折られる。それの一部しか知らない者は神であるかの様に讃え、頼り、人生を捧げる。それは悪夢の体現者であり、奇跡を生み出す者。今、それは動かない。今のそれを見てどれだけの者が普段のそれを想像出来るだろうか。今はただの人の子にしか見えないのだから。可愛らしい女の子にしか見えないのだから。世界各地の裏の者を打ち倒した者とは、世界から殆どの兵器を破壊した者とは誰が想像出来ようか。世界の争いを止め新たな星を造ったとは誰が想像出来ようか。
それの上に、手を伸ばせば届く程の近くに穴が開いた。ぽっかりと人の頭くらいの黒い球体が突然現れたのだ。そして間も無く球体はそれ吸い込んだ。頭から、足からではなく体が縮小しながら球体へと消えていった。ベッドも同じ様に消えていった。シュポンと音が聞こえるような光景だった。そんな異様な光景を目撃した者はいない。
その部屋には何もなかった。
そしてそれはその日以来世界から姿を消した。
とりあえず投稿しました。
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投稿は不定期です。




