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2.『なにもないよ』

お題

熱中・絵・男の子

・・・ときたら、ACのあの広告が思い浮かびました。

「ねぇ……何が、みえるんだい?」


おいしゃさんは ききました。

ぼくは それを きかないふりをして まっくろに かいていました。



さいしょは、がっこうでした。


「好きな絵を書いていいからね」


せんせいが そういったので ぼくはすきなものを かこうとおもいました。

それは とってもとってもじかんがかかるので ぼくは ひたすらに まっくろに ぬりました。

じかんが とてもかかるので いえでも かきました。


「最近あの子は真っ黒に塗りつぶした紙しかださないんです……」

「一度、専門家の先生に見てもらったほうがいいかもしれませんね……」


せんせいと おかあさんは なにかはなしていたけど ぼくは すきなものをかいているだけなのに どうして そんなことを いうのか わかりませんでした。


ぼくが そのえを かんせいさせたのは それからさんじゅうにち たったくらいだと おもいました。

それが かんせいして ぼくはいろんなひとから あやまられました。


「疑ってごめんね……」「そうだね……うん……すきなものって、言ったもんね……」


だから すきなものをかいていたのに どうしてあやまられるのか ぼくには わかりませんでした。


ぼくは がっこうに ひさしぶりにいきました。

クラスのみんなは ぼくをみて おどろいていました。

「どこに行ってたの?」って くちぐちに きいてきました。

ぼくは そのときに 「びょういんだよ」とこたえました。

そのさきを はなそうとすると せんせいが ぼくを よんできます。


はちがつに なって ぼくは 「どくしょかんそうが」をかきました。

まっくろでした。

せんせいは そのえをみて 「まぁ、すてきね」と いってくれました。

だけども ぼくは ほんを よんでいませんでした。

だからこれは ぼくが「なにもよんでいない」っていうことなのに せんせいは「すてきね」といってくれました。


くがつに なって ぼくは「しゃせいたいかい」に でました。

まっくろでした。

せんせいは そのえをみて「まぁ、すてきね」といってくれました。

だけども ぼくは なにも みていませんでした。

だからこれは ぼくが「なにもみていない」っていうことなのに せんせいは「すてきね」といってくれました。


※――――


「――続いての作品です。これは印象画派である☓☓☓☓☓氏が描いたもので、この真っ黒なクレヨンの中に、現代では言い表せない不満、驚き、そして見抜けないことの証明を表しています」

「見抜けない証明とは?」

「はい。この☓☓☓☓☓氏は精神を患っていたとして6歳で一度、精神病院に入院いたしまして……。しかしそれは誤解だったことがわかり、それからはのびのびと今の画風を確立させていったとのことです。彼の作品は『真っ黒』に塗りつぶされているクレヨンで書かれたもののみですね」

「それで、この作品の題名はあるんでしょうか」

「過去彼が描いた作品には一枚足りとも題名はありません。しかしこれだけにはあります」

「その題名は?」

「『なにもないよ』というものです」

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