1.午睡の発表
お題
「午睡」「授業」「発表」
ふらり、と目眩がした。
――いかんな、と思う。
耐えろ耐えろと願っても、それはどうしても抗えないものだろうと私は思う。
やめろやめておけと人からなんど言われただろうか。
もちろん私もこうはならないように努力をした。
あるときには生活習慣をきちんと整えた。
朝にはやく起きて、昼にしっかり運動し、夜は早めに寝る。
朝昼晩の食事をしっかりと取り、疲れをばっちりと取った。
だというのにその目眩はやってくる。
そんなことをしても無駄だと言わないばかりにそれはやってくるのだ。
彼らには慈悲はないのか。考えがないのか。
いやさ、あったとしてもそれは「考えがない」ことなのだろうと思う。
故に私はそうならないように戒めとしているのだ。
考えることをやめなければ、そうすればきっと、これにも――。
「コラ」
「アウチ」
――授業中の爆睡なんてのは、ない。ないはず、なのだ。
「まったく。またしても授業中に寝るとか……キミきちんと睡眠取ってるの?」
「睡眠をとっているんですがどうにも眠くなってしまいます。これは体質かなにかだと思うので放っておいてください」
「放って置けるかっ」
「おうふっ!?」
ポコン、と丸められた教科書で殴られる。
そこまでは痛くない、のだがどうにも痛く感じるのは羞恥心のせいでもあるのだろう。
頭をさすりつつ、眠気がしっかりととれた私は、授業にもう一度臨んだ。
「なんで寝てしまうのだろう……」
常々考えている。
きちんと睡眠もとっている。朝ごはんも食べている。疲れもとれている。
だというのに睡眠を取る。取りたくなくても、授業中に眠ってしまう。
これは明らかにおかしい。
「先生」
「なんだ?」
「病気のため、病院に行ってもいいですか?」
「なんの病気だ」
「勝手に眠たくなる病です」
「そんな病気はないっ。席につけ」
「でもこの病気のおかげで私は眠たくなくても眠ってしまっています。どうすればいいんでしょう」
「む。それはそうだ・・・ふむ。そうだな」
先生は手をたたくとこういった。
「よし。それじゃお前。立ったまま授業を受けてみろ」
先生の言うとおりに立ったまま授業をうけてみた。
首から画板を立てて、さながら絵かきのような感じになり、立って授業を受けている。
なるほど。これはいい。立っていると適度な緊張感があって、周りがよく見える。それになにより、眠くならない。
先生はすごい。この勉強法なら私は勉学に打ち込めるだろう。
「先生」
「なんだ」
「この勉強方法『立って勉強法』を新たに学会に発表したいのですが、よろしいですか」
「なんだ、その『立って勉強法』とは」
「今私が立ったまま先生の授業を受けていますよね? すなわちこれをすることにより、脳が活性化され、より授業を受けやすくなるというものです」
「ふむ。それはいい考えだが、お前はひとつ勘違いをしている」
「なんですか?」
「お前は立っていても寝てしまっているということだ」