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七話目

特に何かがあるわけでもないので読み飛ばして頂いても大丈夫かと。


お気に入り登録ありがとうございます。

 二度人と接触しかけたが、ギルドハウスに戻ってきた。


「ただいまっと、誰もいないか」


 見える限り、無人。ギルドハウス内に3つある4人掛けのテーブルセットの内入り口から近い1つに着き、本を取り出そうとゲーム機の所持アイテム欄を確認する。

 そして判明したのだが、本のほとんどは『革命期の文献のコピー』となっている事だ。例外は5つ。日本語で書かれた物だ。


 1つ目、『あのガキに』

 2つ目、『世界を救え』

 3つ目、『呪いだこの』

 4つ目、『死ねない。』

 5つ目、『最後にこの』


 おそらくの5作の題は単語も文法も解らないまま1つの本として作る為に原本の中から抜いた文章だろう。この時点でいくつか気になる単語は出てきたが、5字では想像にしか成らない。

 とりあえず1冊取り出してみる。



 表紙に書かれる題は『あのガキに』。

 まず表紙を捲る。少し茶色気味の紙にはほとんど何も書かれていなかった。唯一左下に文字のように見えなくもないものが少し。まだ絵に近い字なのではないだろうか。

 更に捲るとその字が左側のページいっぱいに書かれていた。

 次も左いっぱいに同じ文字が。次、次、と進み8回目でやっと終わる。


「多分これがこっちの文字なんだろうな」


 絵に近い字なのなら頑張れば解読出来るかもしれない。

 ついに日本語で書かれたページに行き着く。たった1ページ。更に少ない文章。

 いや、文章と言うより箇条書きに近い気がする。しかも何か文章に違和感を感じる。情報が足りない為か。



 あのガキにまた騙された。何が新天地だ。戦場の真ん中に投げ出されたようなもんじゃないかよ。


 さて、そうは言ってもこれは仕事だ。やらなければ故郷が危ない。やらなくては。


 やつの情報が間違いであれば直ぐにでも故郷を守りにいけるが、間違えることなど無い。


 結界が破れた。さて、仕事だ。まずは隠れやすそうな森にでも向かおうか。


 農園が広がっていた。これは情報に誤りがあったのは確実だろう。コールだ。コール。


 魔法を使えばあいつは反応するはずだが、何も反応が無いんだが。


 術が弱くて世界を超えられないのか。なら作るしかないな。強い術を。


 しっかり最初ので届いてやがった。あいつは嘘を付けない。だが、結界が邪魔。


 オーブを見つけた。これで簡単には影響を与えられないだろう。俺の故郷にも。


 壊れた。仲間も、故郷も、計画も、このままだと俺も壊れる。


 ロークを尋ねる。限界だ。そうなんだろ? だから、お前も。


 世界は静観するべきだったんだ。なぜあいつにチャンスを与えた。もう、敵だぞ。世界の。





「こいつ、この為だけに命を捨てたのかよ」


 残るのはあと一文なのだが、本文としてはこれですべてだ。


「こいつ、絶対馬鹿にしちゃいけない馬鹿だ。あのガキって奴はそれを馬鹿にしたんだ」


 だが、これは完全に運任せだ。強引な手段も入れたが、そもそも読める存在が現れなければ可能性は0だ。いや違う。敵を知っているからこそ書いたのだ。

 更に考えさせる為に必要な情報をほとんど削っている。最後の一文が無ければ何を残したいのか解らなかった。


「馬鹿にできねぇよ。ここまであからさまにやられちゃ」




 最後に、俺の持てるすべての力をこの文章のいくつかの文字に込めた。これで俺は存在ごと消えるが、1人でも多くの存在にあのガキを殺す願いを託す事が出来れば本望だ。




「よし」


 この本を読んだ感想を忘れる。あと4冊あるのだ。重要なのは切り替えだ。

 しかしコピー品なのに文字に何か力が宿っている気がするのは複製を行った奴が優秀なのだろう。

 そしてここにある用件は俺の手に余る。悪いが後だ。あのガキと言うのが気になるし、他にも色々あるが、後にしよう。どうせ世界を回る予定なのだから。

 この本の後の部分には延々と最後までこの世界の文字が書かれていたが、まぁ、次の本に行こう。


 最初の構成は一緒。そしてやはり本文も短かった。




 世界を救えと言われて5年だ。何をすれば良いのか解らないまま気づけば小さな村を作るのを手伝っていた。

 世界中に魔から成るモノが居る。私の仕事は多かった。世界を救えとは魔から成るモノを殲滅しろと言うことだったのだろうか。しかしそれは無理だ。私の身は1つしかないのだから。

 そしてその1つしかない身も滅びようとしている。

 私は奴の事を記そうと思う。

 奴はその身に降りかかる魔を内に溜め、気を受ければそれを解放する。

 私の力は気そのものだ。どれほどか解らない期間溜められた魔を解放させてしまった。

 家族よ、友よ、済まない。手を出さなければ皆、救われたのだ。




 世界を救えと言ったのが1人目が言っていたあのガキだとすれば、2人目のこの文を残した人も被害者なのかもしれない。ただ、1人目との違いは、依頼に最後まで従ったか否かだ。

 そして死ぬ直前にまで自身が負けた敵の情報を残そうとしている。解らない事が多いが、これが奴とやらを追い込むヒントになれば依頼達成に大きく貢献出来るのかもしれない。

 少なくとも俺が奴と戦うのなら魔と気について確認する必要が出来るだろう。


 さて、奴に関するヒントが無い内は考えても解らない。次だ。

 やはりと言うか、本の構成は同じ。文章量も少なかった。



 呪いだ、この世界は。何かがダメだった。延々と攻め込んでくる魔物相手に俺は死ぬまで戦わされる。

 それはまぁ、良い。僕自身その為に生まれたのだから。だが、何故死んだ僕は再び神の前に居るのか。

 僕達はたった一度しかない人生を戦いでの無駄死にで終わらせない為に体内に爆弾を内臓し生まれる。

 たった一度だから僕達は皆と仲間で居られた。だけれど、何度でも戦えるなら僕達は道具でしかない。

 村に魔物が入ってきた。そうだ。神の前で戦って、決して見たくないと思えるように無残に果てよう。

 そうすればきっと見たくないモノを見せられて呼ばれなくなるはずだ。戦い続けたから許されるはず。

 その前に、魔物の王について解ったことだけ残そう。何度も死んだからこそ、わかってしまったこと。

 魔物の王が力を吸収した後も、その力の性質は圧縮されて残る。重要なのは圧縮されることそのもの。

 時間が来た。詳しい説明をする余裕はないが、あいつを倒してくれ。これを誰かが読むことを祈って。



 3冊目で魔物の王、魔王という存在が見えてくる。また、力を吸収、魔を内に溜め、恐らくここで同一の存在である可能性が浮かび上がる。

 同一である場合、3冊目の作者の爆弾とやらは魔力的要素によるものだろう。命をかけて戦って、切り札の爆弾で自爆する。しかし、気づいてみれば生き返っており、しかもそいつは生きているのだ。悪夢でしかない。こんな文章も残したくなるだろう。


 という訳で次だ次。魔王の弱点ばかり提示されても困る。

 本の特徴は以下略だ。内容はページ数としては過去最高だが、文字数は過去最低だ。なぜこれだけのことで本が出来てしまったのか。


 死ねない。



 終わり。

 驚きの短さ。まさかの1ページ一文字。見直してみてもおかしな所は1つしかない。逆に言えば1つあるのだが、流石に扱いがわからない。

 それはまず、4つの文字のあとに来るそいつが大きいのだ。右下に書かれた円が、紙全体の半分くらいを占めている。

 そして次に、その円の中に読み飛ばしては気づけないほどの薄さで模様が描かれているのだ。イメージとしては魔法陣のような物だ。と言うか魔法陣ではないだろうか。そうでなくては1000ゴールドの価値は無い。まぁ、本当に1000ゴールドの価値が無くとも、まとめ買いした中のハズレの1冊くらいにしか思わないが。

 そして次が最後だ。魔法陣? 力を込めても発動しないんじゃ後回しでいいと思うよ。

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