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今回は短いです。
ガバッ!
ドクンドクンドクンドクン……
ハッと携帯のディスプレイを見る。
7月21日……。
(今日、だ・・・)
短縮の0番に登録された番号。昨日は躊躇って結局発信できなかったそこに、躊躇い無く掛ける。
「おはよう、鈴ちゃん。早いね」
2コール目で聞こえた大好きな雷くんの声。
「あ・・・お、おはようっ」
早いといわれて時計を見る。日にちばかりに気を取られ時間を見ていなかった。
人に電話を掛けるには非常識な時間だっただろうか?
(8:10? 平気だよね……2コールで出たってことは雷くんだって起きてたはず)
「あ、えっと……寝てた?」
くすっと受話器越しに耳元に届く笑い声。
(うゎあ……雷くんて凶悪っ)
「ううん、起きてたよ。ただ、鈴ちゃんが起きる時間にしては早いだろ?」
からかいを含んだ優しい声に、何時ものとおり膨れてみせる。
「もう! 意地悪なんだから」
ごめんごめんと笑いながら謝る雷くん。顔が見えなくてもその蕩けるような優しい眼差しを感じる。
ゴクン……。
「ねぇ、雷くん。今日は何か用事、ある?」
声が、震えてしまいそうだ……。どうしよう、怖い。
「ううん、別に何も。どうしたの? どこか行きたいところでもあるの?」
行きたいところなんて、別に無かった。
「あ、えっと……す。水族館に、連れてって」
雷くんと一日中一緒に居られるなら何処でも良かった。
「うん、いいよ。その代わりオレからもひとつお願い。昨日のワンピースでしっかりお洒落してきてくれる?」
あれ可愛かったから、と囁く雷くんの声にドキドキしながら電話を切った。
家まで迎えに来てもらって水族館へ。夕方まで遊んで夕ご飯を食べた後映画を見に行った。
バスに揺られて帰りながら、すっかり安心してた。
そう、アレはただの夢。雷くんは悠緋なんていう人に会いに行ったりしない。
アレはただの夢。
そう、ばかばかしい、乙女チックな、ただの夢―――。




