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第3章「姫扱いなんて望んでないのに、世界が勝手に僕を持ち上げていく」

第3章を読みに来ていただき、ありがとうございます!


直人の “女の子生活・2日目” です。

今回はコメディ色がだいぶ強めで、

直人自身は全然そんなつもりがないのに、

男子の反応や女子からの目線がどんどん大変なことになっていきます。


気づかないうちにヒロインポジションへ押し出されていく直人と、

静かに動き始める藤原彩香……。


いよいよ物語が大きく動く前の、最後の“嵐の前の騒がしすぎる日常”です。

どうぞゆっくりお楽しみください!

◆ 女の子二日目の朝は、“昨日よりもっと大変だった”


 翌朝。

 目を覚ますと、髪がふわっと顔に落ちてきた。


(う……また絡まってる……)


 長い髪って、寝るだけでこうなるんだ……。


「直人〜、起きた? ほら、こっち来な!」


 姉が勢いよく入ってきて、僕の腕を引っ張った。


「ちょっ……もう少し優しく……!」

「乙女は朝が勝負よ! はい、座って!」


 姉は僕を椅子に座らせると、ブラシで髪を整えていく。


「昨日より絡まってるね〜。寝相悪かった?」

「普通だよ……たぶん……」

「女の子はね、寝ても崩れるのよ」


 髪を梳かれる感覚は気持ちいいけど、

 同時に背中がゾワゾワするほど恥ずかしい。


「ほら、今日は巻きすぎないように軽くふわっとさせるね」

「……はい……」


(なんか……慣れてきたかも……)


 鏡を見ると、昨日より“自然な美少女”がそこにいて、また変な気分になる。


「よし、リップも。ほら、じっとして」

「えっ、今日もやるの……?」

「当たり前! 女子は“ノーメイク=外出不可”だから!」


 また薄い色のリップを押し付けられる。


(……これ、クセになりそう……)


◆ 通学中から、すでに刺激が強すぎる世界だった


「よしっ、行って来い!」


 女の子初日は本当に大変だった。

 今日も不安半分、ワクワク半分で玄関の扉を開ける。

 

 家を出た瞬間、風でスカートがふわっと揺れた。


(ひゃっ……! スカートってこんなに……)


 昨日より慣れてるはずなのに、まだ落ち着かない。


 通学路では、男子が僕を見るたびに驚いた顔をする。


「……あ、どうぞ……」

「い、いえ! その、先行ってください!」


 なぜか道を譲られまくる。


(いや……なんで僕が譲られてるの……?)


 ようやく学校へたどり着くも、既に少し気疲れが…

 階段では、後ろの男子たちが距離を空けてついてくる。

 それが凄く気になる。


「危ないから……その……」

「ゆ、ゆっくりで大丈夫なので……!」


(いや……僕、そんなに危なっかしい存在だったっけ……?)


 ハプニングはまだまだこれから!

 前を歩いていた男子生徒がプリントを一枚落とした。

 周りの女子たちは見ないふり?

 

「ねぇ、きみ、プリント落としたよ」

 

 振り返る男子。

 プリントを拾おうと前屈みになった瞬間――


後ろの男子「!!???!?!?」


 声にならない悲鳴?


「えっ、どうしたの?」

「い、いや……!! なんでも……っ!!」


 僕は普通に前屈みになったつもりだった。

 だけど――胸元の角度が……


(あっ……! これ……“見える角度”だったかもしれない……!)


「ご、ごめん!! 僕が変な体勢で……!」

「ち、違う!! 直人ちゃんは悪くない!!」


 ぎこちない手でプリントを手渡す。

 

「……ありがとう。女子で拾ってくれたの初めてだ」

「え?そんなの気にしなくていいよ」


男子が真っ赤になりながら一言お礼。


(うぅ……恥ずかしい……!!)


◆ さらに、学校生活の事故が続く


 教室に入ると――


「直人ちゃん、おはよ!」

「そ、そんなに走ったら危ないって!」


 男子が駆け寄ろうとして、机の角に指をぶつける。

 そのまま盛大に机ごと倒れ込んでしまった。


「いったああ!!!」

「だ、大丈夫!? 見せて!」

「えっ!? ちょ、ちょっと……っ!」


 手を掴んで覗き込むと、男子の顔が爆発しそうなくらい赤くなった。


「ほら、血が出てるよ、僕、絆創膏持ってるから」


挿絵(By みてみん)


 姉が持たせてくれた絆創膏を擦りむいた手に貼ってあげる。

 

(…こういうときの為に持たせてくれたの?)


「直人ちゃん、ありがとう」

「今度から気をつけてね」


 すると別の男子が急に割り込み、


「お前、直人ちゃんに近すぎだろ!」

「はぁ!? お前こそさっき見てただろ!」

「は? 見てねぇし!」

「俺知ってんだぞ、お前昨日直人ちゃんのこと……!」


(え……なんか……雰囲気やばくない……?)


 男子同士がピリついてる……!


◆ “胸圧事故”で男子がさらにヤバい


 午後の授業、まだまだ気は休まらない!

 席に座ろうとしたとき、斜め前の男子が落とした消しゴムを拾おうとした。


「あ、それ僕が拾って──」


 ひょいっと手を伸ばす。


 その瞬間――


男子「ッ!!?」


(……あっ……胸……当たった……!?)


 完全に不可抗力。

 でも男子は固まってしまった。


「あっ、ごめんなさい! 僕が……ほんと、ごめん!」

「ち、違っ……!! 直人ちゃんは……!!」


 蒼白になっていた顔が、あっという間に真っ赤になった。


(……こういう些細なこともなんだか大変……)


◆ そして女子の嫉妬が静かに始まる


 そして、女子たちの視線が刺さるようになってきた。


「ねぇ……なんか最近、男子たちソワソワしてない?」

「直人ちゃんが入ってからだよね……」

「なんか……天然じゃない?」

「むしろ計算入ってない?」


(やばい……居心地悪い……)


 そこへ――


「あら、中村さん」


 藤原 彩香が、完璧な笑顔で近づいてきた。

 やっぱり目は笑っていない。


(うっ……今日も来た……)


◆ 彩香、ついに動く


「ふふ……なんだか楽しそうだね、中村さん?」


 彩香が僕の頬に手を添えて、自然に距離を詰めてくる。


(ち、近い……!)


 彩香は取り巻き女子を従えて、僕の耳元に囁いた。


「今日のあなた……すっごく“危なっかしい”よ?」


「えっ……?」


「男子があれだけ反応してるの、気づいてないの?」


(あっ……やっぱり見られてたんだ……!)


 彩香は指先で僕のリボンを軽くつまむ。


「でも……可愛いから、仕方ないね?」


(な、なんでそんな近距離で言うの……!?)


 周囲の男子が、完全に静止している。


 取り巻き女子の表情は……笑顔だけど、目が笑ってない。


◆ そして、“悪夢の更衣室”が始まる


 体育の授業の前、更衣室に入る。


(やばい……女子更衣室……ほんとにここ入るのか……)


 ロッカーに制服を脱ぎながら、周りの女子が話しかけてくる。


「直人ちゃん、髪綺麗だよね〜」

「肌めっちゃ白い……羨ましい……!」

「今日のリップどこの?」


 女子に囲まれて完全にパニック。


(うわぁぁぁぁ……逃げたい……)


 しかし、それはまだ序章だった。


「直人ちゃん、ブラ紐曲がってるよ? 直すね」


「あっ……ちょ……!」


 肩紐を直されるだけで、変な声が出そうになる。


(な、なにこの……恥ずかしすぎる感覚……!!)


 そこへ最悪の展開。


「直人ちゃん、胸……重くない?」


 別の女子が呟いた瞬間――

僕は“男の頃のノリ”で答えてしまった。


「あ、うん……けっこう重い!」


女子全員「…………」


(えっ、なんでみんな黙るの……!?)


「……重い、んだ……」

「……ふぅん…………」


 やばい。

 女子の嫉妬ゲージが限界突破してる……!


 体育の授業で二人一組になり体操。

 こういうのはちょっと苦手だ。

 僕らみたいなのは相手を探すのに苦労するから。

 

 案の定、体育館の隅で一人になっている加藤くんが目に入る。

 

「直人ちゃん、一緒にやらない?」


 あっという間に、男子に囲まてしまった…

 

「あっ、僕は加藤くんとやろうかな、みんなもうペアになってるでしょ」


 えっ?という顔で下を向いていた加藤くんがこっちを見て驚く。

 

「ほらほら、加藤くんもこっちに来て、早くやろうよ!」


 なんだかまたちょっと女子の目線がきつくなった気がした…


◆ 文研サークルは“姫暴走状態”になっていた


 放課後、逃げるように文研へ。


「や、やぁ直人くん……今日は……大変だったな……」

 西園寺先輩が優しく迎えてくれる。


「あ……はい……ちょっと……疲れました……」


 するとペットボトルを渡そうとして――


「わっ……!」


 先輩が手を滑らせて、お茶がこぼれた。


「あっ……直人のところに……!」


挿絵(By みてみん)


 先輩は焦って僕の胸の下あたりをタオルで押さえる。


「ちょ、先輩!? そこは……だ、だめ……っ!!」


「す、すまん!! ちがっ……!! 事故だ!!」


 先輩の顔がリンゴみたいに真っ赤だ。


(やめて……っ! 刺激が……強すぎ……!!)


◆ 慎太郎、限界に達する


「な、なお……と……今日……が、がんばったね……」


 慎太郎が赤面しながら近づいてくる。


「慎太郎……大丈夫?」


「だ、大丈夫じゃない……!」


 避けようとして、本棚にゴンッッッ!!!


「いったああああ!!!!」


「ご、ごめん!大丈夫? 僕が急に近づいたから!!」


「ち、違う!! 直人は悪くない!! 悪くないぃぃ!!」


(男子って……こんなに脆かったっけ……?)


◆ そして長谷川くんが“初めて直人を直視する”


「なおと……かわ……」

「え?」


「かわいいいいいいいい!!!!」


 長谷川くんが大爆発した。


 そして逃げた。


(うわぁぁぁぁ……なんか僕……サークルぶっ壊してない……?)


◆ 男子たちの“直人ファンクラブ”が産声をあげた瞬間


 その日の放課後。

 校舎を歩くだけで男子の視線が刺さるようになっていた。


「中村さん……今日も可愛い……」

「いやほんと……破壊力すごいよな……」

「すれ違うたびに胃が痛いんだけど……」


(な、なんか……僕……人気出てない……?)


 気づけば男子の視線が複数方向から集中していて、

 ただ歩くだけなのに背筋がゾワゾワする。


(や、やめて……そんな目で見ないで……!)


 そして極めつけがこれ。


男子A「……なぁ、お前直人ちゃんのタイプ知ってる?」

男子B「知らん! だが絶対優しい男子が好きだろ……」

男子C「いや、ああいう子は案外、強引なのに弱いんだよ……!」


(こ、婚活会議みたいなのやめてぇぇぇぇ!!!)


 男子同士の牽制もひどい。


「お前昨日、直人ちゃんにノート渡してただろ!」

「お前こそ今日、ハンカチ渡したの見てたぞ!!」


(なんか……想像してた女子生活と違う……)


◆ 女子からの嫉妬は、さらに静かに燃える


「直人ちゃんって……天然だよね……」

「男子に囲まれても全然気づいてないの、逆に怖い」

「彩香の立場、どうなるんだろ……」


(……彩香さんの立場……?)


 彩香がクラスのヒロイン枠だと、ずっと思っていた。

 だけど今は――僕がそのポジションに近づいてしまっている。


(やだ……そんなつもり全然ないのに……!)


◆ そして“事件の前兆”が近づいてくる


 下駄箱につくと――


「……あれ?」


 僕の靴だけ、きれいに消えていた。


(……また……?

 いや……これは……)


 他の靴は全部ある。

 僕のだけ、完璧に抜き取られている。


(こういうの、漫画ではよく見るけど……ほんとにあるんだ……)


 そのとき背後から気配がした。


「どうしたの、中村さん?」


(うわ……!!)


 振り向くと、藤原 彩香が微笑んでいた。

 あの、完璧な笑顔で。


「……靴、ないの?」


「うん……どこにも……」


「そっかぁ……困ったねぇ……」


 彩香は僕の肩にふわりと手を置いた。


 その手は優しい。

 けど指先だけが、妙に冷たい。


「直人ちゃん、最近すごく目立ってるから……

 色んな人が、色んな気持ちを持つんだよ?」


「えっ……?」


「嬉しい人もいるし、

 困る人もいる。

 嫉妬する人も、ね?」


(……藤原……彩香……

 やっぱり……君は……)


 僕が答える前に、彩香は続けた。


「あのね、直人ちゃん。

 女の子ってね……

 “誰に好かれるか”で世界が変わるの」


 笑顔のまま、瞳だけが鋭く光った。


「気をつけた方がいいよ?」


鳥肌が立った。


◆ 男子が全力で駆けつける


「中村さん!!」

「大丈夫!? 靴ないの?」


 複数の男子が走ってきて、僕の周りを囲む。


「俺、探してくる!!」

「俺も!!」

「俺らに任せろ、中村さん!!」


 全員、全力疾走で校舎へ走っていった。


(ちょ、ちょっと……僕そんな大事件扱いなの……!?)


 女子たちは遠くでひそひそ話をしている。


「……男子、あんなに……」

「……やっぱ直人ちゃん調子乗ってる……?」


(やめて……そんなつもりじゃ……!)


◆ 彩香の去り際のひと言が、決定的だった


「じゃあね、中村さん。

 明日も……楽しみにしてる」


 そう言って、彩香は振り返りもせずに歩き去った。


 その背中は、

 クラスの女王様でも、

 優しい先輩でもなく――


“獲物を見つけた猛獣”のように静かだった。


(……藤原……彩香……

 僕、絶対……狙われてる……)


 直人はまだ知らない。


 この日から始まる小さな違和感が、

 “事件”として爆発することを。


――第3章 完

第3章まで読んでくださり、本当にありがとうございます!


今回は直人の天然で危なっかしい言動が積み重なり、

男子たちの反応がどんどんエスカレートしていく回でした。


そして、ついに「彩香の本性」が

“読者にだけ薄く匂う”ように描かれました。

靴が消えた件や、彩香の意味深な言葉……

小さな違和感が、次章以降の“事件”へ繋がっていきます。


第4章からはだんだん雰囲気が変わり、

ジェンダー問題と冤罪事件が物語の軸に入り始めます。

でもその前に、3章の騒がしさでしっかり遊んでいただけたなら嬉しいです!


引き続き、応援・感想などいただけると励みになります。

次の更新まで少しお待ちください!

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