表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Exceed  作者: 肉球ぷにぷに
2/7

荒野の疾走


シトラはSkyのコックピットに身を沈め、荒野を切り裂く風に髪をなびかせていた。ルナリスを脱出してから数時間、彼女はひたすら走り続けていた。Skyのブースターが唸りを上げ、砂塵を巻き上げながら進む。コックピットの振動が彼女の体を揺らし、耳元で機械音が絶え間なく響く。目の前には果てしない荒野が広がり、岩と砂が織りなす不毛な大地がどこまでも続く。遠くにルナリスの都市から立ち上る煙が、薄暗い空に溶けていた。


「まだ…追いつかれてないよね…?」


シトラはモニターをちらりと見ながら呟いた。心臓はまだ高鳴り、額には冷や汗が滲む。ルナリスの軍がすぐ後ろにいるかもしれない――その恐怖が、彼女を前へ前へと突き動かしていた。だが、突然、Skyの動きが鈍り、コックピット内に赤い警告灯が点滅した。


「えっ!? 何!?」


モニターに「エネルギーコア出力低下」の文字が浮かぶ。Skyのブースターが弱々しく唸り、機体はガクンと膝をついた。砂塵が舞い上がり、視界を一瞬覆う。シトラは操縦桿を握り直し、必死にスイッチを叩いたが、反応はない。


「エネルギー切れ!? そんな…! こんなところで!?」


周囲を見回すと、荒野の地平線には何もない。ただ、遠くでルナリスの煙が揺らめき、追手の存在を暗示していた。シトラの胸に焦りが広がる。軍の追跡部隊が迫っているかもしれないのに、こんな中途半端な場所で立ち往生するなんて。


「まずい…どうすれば…」


その時、砂塵の向こうから複数の影が現れた。ジープのエンジン音が響き、武装した車両が近づいてくる。シトラの心臓が跳ねた。コックピットの警告音が耳をつんざく中、彼女は目を凝らした。数人の人影がジープから降り、こちらへ向かってくる。


「軍!? もう追いつかれた!?」


だが、近づいてくるのは軍の制服ではなく、ぼろぼろの服を着た集団だった。反乱軍――ルナリスで噂されていた、軍に抵抗するグループだ。シトラは操縦桿を握り直したが、Skyはピクリとも動かない。彼女の指が震え、喉がカラカラに乾いた。


ジープから降りた男が、鋭い目でシトラを睨んだ。短い黒髪に無精ひげ、肩には使い込まれたライフルを担いでいる。男――カイ・ストラトスの声は低く、疑念に満ちていた。


「イクシードに少女だと? リナ、敵かもしれない。気をつけろ。」


カイの隣にいた女が、軽やかな足取りで近づいてきた。赤い髪を無造作に結び、腰には工具の入ったベルトを巻いている。彼女はリナ・アルヴァーナ、反乱軍の技術者だ。リナはシトラを一瞥し、口元に笑みを浮かべた。


「分かってるよ、カイ。でも、あの子の顔を見てごらん。戦場にいるような目つきじゃないし、顔も幼い。大丈夫、どう見てもただの困ってる子だよ。」


リナはシトラに気さくに手を振った。カイは眉をひそめたまま呟く。


「...だといいんだが。」


シトラはコックピットから身を乗り出し、警戒しながら声を上げた。「あなたたち、誰!? 私を…捕まえるつもり?」


リナが笑いながら手を振る。「捕まえるだなんて、物騒なこと言わないでよ! あんたのその機体、動かなくなったみたいね。私、機械にはちょっと自信があるの。助けてあげようか?」


シトラは迷った。信じていいのか分からない。だが、背後で遠くの爆音が響き、軍の追跡部隊が迫っていることを思い出させた。選択肢はなかった。彼女は深呼吸し、声を絞り出した。


「……お願い、助けて。」


追跡部隊との激戦


リナとカイの指示で、シトラはSkyを反乱軍のジープに牽引させ、近くの岩場に隠れた。岩の隙間に身を潜め、シトラはコックピットから外を覗いた。荒野の風が唸り、砂が岩に当たってカサカサと音を立てる。リナはSkyのエネルギーコアを点検し、驚いた顔で呟いた。


「このコア…通常のイクシードとは全然違う。エネルギー効率が異常なまでに高い。こんな技術、見たことないよ。」


シトラはリナの言葉に耳を傾けながら、父のペンダントを握りしめた。青い光がコックピットの暗闇をほのかに照らす。


だが、点検の時間は長くは続かなかった。空から轟音が響き、軍の追跡部隊の戦闘機が現れた。黒い機影が太陽を遮り、ミサイルが岩場に着弾。爆音が大地を揺らし、岩の破片が四散した。シトラは悲鳴を上げ、コックピットのガラスに手を押し当てた。


「 軍が来たぞ!」


カイがライフルを構え、冷静に指示を出す。「リナ、エネルギー復旧を急げ! 俺が時間を稼ぐ!」


リナは工具を手にSkyのハッチに飛び込む。「シトラ、あんたも準備して! この子、動かせるようになるから!」


シトラはコックピットに戻り、ペンダントを握りしめた。その瞬間、ペンダントが青く輝き、Skyのモニターが一斉に起動した。


「エネルギーコア、緊急チャージ完了!」


機械的な音声が響き、Skyの装甲が振動を始めた。シトラの心臓が高鳴る。コックピットのディスプレイが光に満ち、機体の全システムがオンラインになる。空では戦闘機が旋回し、ミサイルの雨が降り注ぐ。だが、Skyはまるで生き物のように反応した。ブースターが轟音を上げ、機体が一気に立ち上がる。


「動いたよ!」


シトラの叫び声がコックピットに響く。Skyは突然の加速で岩場を飛び出し、急上昇。

機体が空を切り裂き敵のミサイルを翻弄。

シトラは操縦桿を強く握りしめる。

風がコックピットを揺らし、シトラの髪が乱れる。


Skyは空を駆け、急降下で戦闘機の背後を取り1機撃破する。その後、シトラのペンダントが強く光輝く。モニターの指示に従い、操作をすると人型形態に変形した。

「わわっ、変形した!? 」


機体が地面に着地する衝撃で砂塵が舞い上がり、シトラの視界が一瞬霞む。彼女は息を呑み、モニターに映る敵機を見つめた。


「どんな状態でも今は戦うしかない!ギアソード、展開!」


シトラがスイッチを押すと、Skyの右腕から光の刃が現れる。青白い光が荒野を照らし、刃が空気を切り裂く音が響く。シトラは操縦桿を力強く引き、Skyを突進させた。敵の機体――軍の重装甲機「ガラッド」が目の前に立ちはだかる。ガラッドの装甲が陽光を反射し、威圧的なシルエットがシトラの視界を圧迫した。


「やああっ!」


シトラの叫び声がコックピットに響く。Skyのギアソードが一閃し、ガラッドの装甲を切り裂く。火花が散り、金属の悲鳴が荒野に響く。ガラッドが爆炎を上げて墜落し、地面に大きなクレーターを刻んだ。シトラの操縦は未熟で、動きは荒々しかったが、Skyのポテンシャルが圧倒的だった。戦闘機形態と人型形態を切り替えながら、敵を次々と翻弄。空を切り裂くブースターの轟音と、ギアソードの斬撃音が戦場に響き渡る。


追手の無線が乱れる。「くそっ、リニアとガラッドがやられた!」「なんだあのイクシード!? 変形するぞ!」「本部に連絡しろ、こいつはただの機体じゃない!」


シトラはコックピットで息を切らし、汗が額を伝った。敵の戦闘機が再びミサイルを放ち、Skyの周囲で爆発が連鎖する。爆風が機体を揺らし、警告音が鳴り響く。だが、シトラは恐怖を押し殺し、操縦桿を握り直した。


「負けない…! Sky、頼むよ!」


Skyはシトラの意志に応えるように動き、戦闘機形態で急上昇。ミサイルを振り切り、敵機の背後を取る。シトラはモニターの照準を合わせ、トリガーを引いた。Skyの肩部キャノンが火を噴き、敵機が空中で爆発。炎と破片が荒野に降り注いだ。


『くそっ!俺達じゃ歯が立たねぇ、一時撤退だ!』


戦闘は短時間で終わり、軍の追跡部隊は撤退した。シトラはコックピットで肩を上下させ、汗で濡れた髪を払った。リナが岩場から駆け寄り、感嘆の声を上げた。


「すごいよ、シトラ! あの動きと変形するイクシードだなんで初めてさ。」


カイは無言で近づき、シトラを一瞥。「…悪くない。だが、軍はまた来る。早く隠れ家に移動するぞ。」


隠れ家での休息と発見


反乱軍の隠れ家は、荒野の地下に隠された小さな基地だった。錆びたパイプが天井を這い、簡素な照明が薄暗い光を投げかける。リナはSkyのメンテナンスを始め、工具の音がカンカンと響く。シトラはコックピットに座り、父の記憶を辿っているとペンダントが光りモニターに新たなデータが表示された。


「認証コード確認…音声ログ開放」


シトラの目の前に、父の声が録音された音声ログがノイズ混じりで流れ始めた。


「...シトラ、もしこれを聞いているなら、お前はイクシードを見つけたんだな。こいつはただの兵器じゃない。『イクシード計画』の鍵だ。空の果て…そこには、戦争を終わらせる答えがある。シトラ、愛し...」


ログは途中で途切れ、シトラの目から涙がこぼれた。「父さん…やっぱり、これが…」


リナがコックピットに顔を出し、優しく声をかけた。「シトラ、大丈夫? 何か見つけた?」


シトラは涙を拭い口を開く「…Skyには、戦争を終わらせる秘密があるみたい。」


リナは目を細め、Skyのエネルギーコアを指さした。「このコア、異常なエネルギー出力を持ってる。普通の兵器じゃないよ。シトラの父さん、何かすごいものを作ったんだね。…もしかしたら、ルナリスの未来を変える鍵かもしれないね。」


カイが部屋に入ってきて、静かに言った。「反乱軍の中には、イクシードを欲しがる奴らもいる。シトラ、気をつけろ。俺たちも、完全に信用できるわけじゃない。」


シトラはカイの言葉に頷きつつ、Skyを見上げた。父の夢、そして自分の未来。彼女はまだ孤独だったが、リナとカイの存在が、ほんの少し心を温めた。


「ありがとう、私…Skyと一緒に空の果てを絶対に見つける。」


Skyの装甲が薄暗い光の中で輝き、シトラの決意を静かに見守っていた。戦争はまだ続く。だが、彼女の旅は新たな一歩を踏み出したばかりだった。


新たな脅威と絆の芽生え


翌朝、隠れ家の外では新たな緊張が漂っていた。反乱軍の斥候が、軍の増援が荒野に集結していると報告してきた。カイは地図を広げ、厳しい表情で状況を説明した。


「軍はシトラのイクシードを狙ってる。昨日の戦闘で、Skyの異常な性能に気づいたんだ。あの変形機能とエネルギー出力…奴らにとって、脅威であり宝でもある。」


リナが工具を手に、Skyの最終調整を終えた。「シトラ、Skyはフル稼働できるよ。コアの出力も安定してる。でも、軍の新型メカが動いてるって話だ。『タイラント』ってやつ。ガラッドの数倍の装甲と火力を持ってるらしい。」


シトラはペンダントを握りしめ、頷いた。「…分かった。逃げるだけじゃダメだよね。...戦わなきゃ。」


その時、隠れ家の警報が鳴り響いた。軍のタイラントが荒野に現れ、反乱軍の前哨基地を破壊しながら進軍していた。カイがライフルを手に立ち上がる。


「シトラ、準備しろ。リナ、ジープを動かせ。迎撃するぞ。」


タイラントとの死闘


荒野の地平線に、タイラントの巨体が現れた。巨大な四脚のメカは、まるで動く要塞のようだった。装甲は黒光りし、両肩の巨大なキャノンが火を噴く。反乱軍のジープが迎撃に向かうが、タイラントのミサイルが次々と着弾し、爆炎が荒野を染めた。


シトラはSkyのコックピットで深呼吸し、操縦桿を握った。「Sky、頼むよ…一緒に戦おう!」


Skyがブースターを噴かし、戦闘機形態で空に飛び上がる。タイラントのキャノンがシトラを捉え、ビームが荒野を焼き払う。シトラは操縦桿を素早く動かし、Skyを急旋回。ビームをかすめ、機体が振動する中、彼女は歯を食いしばった。


「当たらないでよ…!」


Skyは人型形態に変形し、ギアソードを構える。タイラントの装甲に突進し、光の刃が衝撃波を放つ。だが、タイラントの装甲は厚く、刃が弾かれる。シトラはモニターに映るダメージレポートを見て声を上げた。


「こんな硬いなんて…!」


タイラントが反撃し、巨大な腕がSkyを叩きつける。機体が地面に叩きつけられ、シトラの体がシートベルトに食い込む。警告音が鳴り響き、モニターに「装甲損傷」の文字が点滅。だが、シトラは諦めなかった。ペンダントが再び光り、Skyのコアが異常な出力を発する。


Skyが一気に加速し、タイラントの背後に回り込む。シトラはギアソードを両手で構え、渾身の力を込めて突き刺した。光の刃がタイラントのコアを貫き、爆発が荒野を揺らす。タイラントが膝をつき、黒煙を上げながら停止した。


シトラはコックピットで息を切らし、汗と涙で顔を濡らした。「やった…やったよ、Sky!」



未来への一歩


戦闘後、反乱軍の隠れ家に戻ったシトラは、リナとカイに囲まれ、初めて笑顔を見せた。リナが彼女の肩を叩き、笑った。


「シトラ、あんたほんとすごいよ! タイラントを倒すなんて、反乱軍の誰にもできない芸当だ!」


カイは無言で頷き、初めて柔らかい表情を見せた。「…お前、なかなかやるな。だが、これからが本番だ。」


シトラはペンダントを見つめ、父の言葉を思い出した。「空の果て…そこに、戦争を終わらせる答えがある。」彼女はSkyを見上げ、決意を新たにした。


Skyの装甲が朝日を浴びて輝き、シトラの旅は新たな仲間と共に、さらなる試練へと進んでいくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ