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―02― ユメカ、スライムを倒す! 後

 ステータスを見たら〈ポーション中毒〉と〈調合〉って、どっちも知らないやつがあった!?

 しかも、レベル9999!?

〈調合〉なんてスキルは最初は持っていなかった。まぁ、密造の特訓しているうちに獲得したんだろうけど、レベル9999って……。

 確かに、密造するたびに腕があがってるなぁと思っていたけど、まさかレベルが9999になっていたとは。


【急にどうした?】

【びっくりした】

【え? なにが起きた?】


 やばい、このままだとわたしが突然叫ぶ奇人認定されてしまう。どうにか誤魔化さないと。


「えっと、ごめんなさいっ。その、ステータス画面を他の人に見せたくなくて」


【そういうことか】

【確かに、ステータス画面を他人に見せたくない配信者多いよね】

【納得した】

【フィルター機能を使えば、本人以外見えなくなるよう設定できるよ】


 なるほど、そんな便利な方法が。

 さっそく、フィルター機能を使う。

 うぅっ、やっぱりステータスにしっかりと〈ポーション中毒〉って書いてある。


【言える範囲でステータスを言ってもらえたら、俺たちアドバイスできるけど】


「えっと、ですね……」


 そんなわけで、〈ポーション中毒〉は隠して、〈調合〉は不自然でないようにレベル1ってことにして、他のはそのまま伝える。


【あちゃー】

【これは厳しい】

【あっ、察し】

【終了】

【これはあかん】


 急にコメントがお通夜ムードになってしまった。

 まぁ、わたしのスターテスが優れてないことはわかっていたんだけどね。


「こ、これってやっぱり悪いんでしょうか?」


【〈アイテムボックス〉と〈鑑定〉は便利だけど、特段珍しいスキルじゃない】

【どのスキルも戦闘じゃ役に立たないからね】

【MPが高いから、生産職としてならやっていけそう】

【悪いことは言わないから引退したほうがいい】

【今日で配信終了か】

【今までありがとう】

【『1,000円』引退記念に】


 マジか……!? 想像以上にわたしのステータスは悪いようだ。

 けれど、他の仕事をしたくないわたしには諦めるという選択肢はない。


「えっと、ファンのみなさん、安心してください! ユメカはダンジョン配信が夢だったので、この程度ではへこたれません! 引退しないので安心してください」


 精一杯の笑顔でわたしはそう告げた。


【よく言った!】

【まぶしい!】

【これが天使か……】

【『1,000円』応援してる】

【がんばれ】

【人一倍気をつけて攻略するように】


「はい、気をつけますね。みんな、ありがとうございます!」


 よしっ、ひとまずコメントが応援してくれる流れになった。


【最初だし、まずはスライムかな】

【確か、ここをまっすぐ進んだ先にスライムがいたはず】


 スライムかぁ。

 スライムってポーションの素材になるのよね。しかも、スライムで作ったポーションって極上なんだよなぁ。あぁ、思い出すだけでヨダレがでてきた。じゅるり。


【ユメタンどうかした?】


 はっ!? まずいまずい。

 ポーションの妄想に浸ってたら、ぼーっとしているように見えたらしくコメントで指摘されてしまった。

 このままだとわたしのイメージが崩れてしまう。

 とりあえず急いで言い訳をしないと。


「い、いえ、その、初めての戦闘だと思うと緊張しちゃって」


【初めてだと緊張するよね、がんばれ!】


「応援ありがとうございます、がんばります!」


 握りこぶしを作ってコメントに返事をすると、目の前にスライムが現れた。

 スライムは丸っこい青い物体で、魔物にしてはかわいらしい見た目をしていた。


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


粘液生物(スライム)

 レベル:1


△△△△△△△△△△△△△△△


「ポーションの素材だぁああっっ!? うひょひょおおおおおい!」


 拘置所にいた三ヶ月間、ポーション禁欲生活、略してポ―禁をしていたせいで、わたしの自制心はすでに限界だった。

 だから、魔物であるスライムがポーションの素材にしかみえなかった。

 周りが見てなくなったわたしはダンジョン攻略のために用意した短剣を手にしてスライムに突撃した。

 

 ズルリ、と足元が滑る。

 よく見ると、スライムが地面に自身の粘液を足元に巻いて相手を転ばそうとしていた。まんまとひっかかったわたしはそのまま前転して、鼻を地面にぶつけた。


「い、いだぁああああッッ!!」


 あまりの痛みに絶叫してしまった。


【大丈夫?】


 視聴者がコメントで心配してくれている。


「鼻をぶつけちゃったけど、大丈夫ですよー」


 起き上がって、心配されないように腕まくりまでして大丈夫だってことをアピールする。

 うっ、なんか鼻血がでてきたんだけど。


【今、ポーションの素材って叫んでいた?】

【なんで叫びながら走っていたの?】


 はっ!? わたしそんなことを言っていたの!?

 ダンジョン配信でアイドル売りで稼ぐと決めた以上、ポーション中毒だってことは絶対に隠さないといけない。もし、バレたらイメージの低下はさけられない。

 なんとか言い訳しないと――!


「えっと、ポーションの調合の配信をみんなに見てもらいたいと思っていましたので、ついはりきりすぎちゃいました。なのに、転んじゃってユメカうっかりです」


 自分で自分の頭をコテンと叩いて、ドジっ子アピールする。


【かわいい】

【ドジっ子ユメタンきゃわわ】

【納得。調合スキル持ってたもんね】


 ククク……こいつらチョロすぎ。

 わたしのかわいいアピールにまんまと騙されてやがる。かわいいって正義かな。


「そうだ、スライムは!?」


 今更スライムと戦おうとしていたことを思い出す。けど、周りを見るもスライムはどこにも見当たらない。


【転んだ先にちょうどスライムがいて、ちょうど倒していたよ】


 どうやらスライムはすでに倒していたらしい。

 その証拠に、スライムの死骸が地面に落ちていた。平べったくなっているので気がつかなかった。


「それじゃあ、このスライムを使ってポーションを作ろうと思います!」


 ポーション作るってリスナーのみんなに言っちゃったから作るしかなくなってしまった。

 決して、自分で楽しむためにポーションを作るんじゃないんだからね!

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