―02― ユメカ、スライムを倒す! 前
翌日、早速わたしは配信しようとダンジョンに来ていた。
来たダンジョンは池袋ダンジョンというメジャーなダンジョンだ。
「はじめましてー、えっと、今からダンジョン配信を始めようと思います……」
う、初めてのダンジョン配信だから緊張してしまって噛み噛みになってしまった。
【新人だ】
【うぽつ】
【うぽつ】
【新人ダンチューバーだ】
【新人だ、囲め!!】
【困ったことあったら教えるよ】
お、おぅ、空中に映される画面にコメントが流れてきた。本当に、全世界に配信されているんだ。
それに視聴者の人数は89人と、初めての配信にしてはなかなか上出来ではないだろうか。
【かわいい】
【君、何歳?】
【脇prpr】
【↑こいつ通報しろ】
【セクハラ○ね】
【君かわわいね】
かわわいってコメントがたくさんある。
か、かわいいだと……!?
そ、そうか、わたしってかわいいんだ。
思い返せば、部屋で引きこもりのようにポーションをひたすら呑んでいたから、自分を客観視したことがなかった。確かに、ポーション飲みまくったおかげで、お肌とかつるつるになったしね。
かわわいって自覚した途端、胸の中がムズムズする。けど、悪い気分ではない。
「そんなかわいいなんて、恥ずかしいですよっ」
【かわいい】
【かわヨ】
【照れてるのぐうかわ】
うわぁ……! 余計かわいいってコメントが増えてしまった!
うぅ……恥ずかしいと同時に、うれしいかも! たくさんの人からかわいいって言われるのって、こんなに快感なのか。
なんかダンジョン配信ハマりそうかも。
【名前教えて】
「あ、まだ言ってなかったですね。名前は虹天ユメカと言います。みなさん、よろしくお願いします」
【『10,000円』推しになりました】
【投げ銭乙】
【いきなり1万円はすごい】
【『1,000円』少ないけど、ボクも】
「お、お金ありがとうございます!!」
う、嘘……!? いきなり11000円ももらっちゃった。
生活費を稼ぐために始めたけど、これなら案外簡単かも!!
よし、このまま華月リアンちゃんみたいにアイドルのよえに振る舞ってかわいい姿をアピールしまくれば、投げ銭だけで生活できるぐらい稼げるんじゃないか!?
わたし、天才かぁ?
よし、決めた! この調子で男たちから投げ銭を搾取しまくってやるぜ!!
【何歳?】
「えっと、にじゅう……じゃなくて、今、14歳です!」
グッジョブ、わたし! 本当の年齢を言うより、若い年齢のほうが食いつきがいいはず!
【なんでダンジョン配信始めたの?】
それはポーション密造して急いでお金を貯めなくてはいけないからです、とか絶対に言ってはいけない。
「えっと、華月リアンちゃんみたいなキラキラ輝くアイドル配信者になりたくて始めました」
華月リアンちゃんみたいになりたいのは本当だし。間違ったことは言っていない。
【かわいい】
【天使かな?】
【『2,000円』一生ついてきます!】
「投げ銭ありがとうございます!!」
よしよし、良い感じだ。くっくっくっ……こいつらわたしの本性を知らないくせに、かもにされてやがる。笑いがとまらねーぜ。
【ゆめたそはダンジョン潜ったことあるの?】
ふと、新しいコメントが来てた。
「いえ、初めてです。だから、皆さんに教えてほしいです」
ゆめたそってわたしのことか、と思いつつ質問に答える。
そう、わたしはダンジョンに潜ったことがないのだ。
というのも、わたしの初期ステータスはダンジョンを潜るにはあまりにも貧弱すぎた。それに運動とか嫌いだし、戦うのだって怖いし。
だから、わたしは冒険者をあきらめて、ポーションの密造に力をいれていたという経緯がある。
ダンジョン配信者でアイドル売りして稼ぐと決めた以上、そんなことは言ってられないのだけどね。
【スキルはなにを持っているの?】
えっと、スキルは確かステータスを表示すれば、確認できたはず。確か、こうして……、
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〈虹天ユメカ〉
レベル:1
MP:50
筋力:20
スタミナ:18
敏捷:16
スキル:〈鑑定〉〈アイテムボックス〉〈調合:レベル9999〉〈ポーション中毒:レベル9999〉
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「ああああああああああああああぁああああああああッッ!?」
叫びながらわたしはステータス画面を慌てて閉じた。
待って、今見せてはいけない物が見えた気がする!?