サクッと読めるホラー:少年の冒険
いつの間にかまっくら。
さっきまで人がたくさん居たのに、皆んなどこに行ってしまったのだろうか。
虫取りに夢中になっていて気づかなかったが、あたりは一歩先もわからないくらい真っ暗闇だ。上を見上げると綺麗な星空が見えるが、木々が邪魔をして道を照らすほどの光はない。
困った。とにかく山を降りなければ。
そうだ、ポケットにライトがある。お父さんがALSライトって言ってたけど、懐中電灯のかわりに持ってきたんだった。
カチッ。
うーん、思ったより明るくないけど、さっきよりはマシかな。
とにかく、道なりに歩いてみよう。
テクテクと歩いていると、道の先にライトに反射して光っている点がある。
ピンときた。
これ、ヘンゼルとグレーテルに出てくる光る石みたいだ。たしか、道に光る石を置いて、道しるべにしたんだよね。
光っている点の先にライトを向けると、予想通り光が点々と続いていた。
やっぱり。アスファルトの道から外れるけど、きっとこっちが近道なんだ。
ワクワクしてきたなぁ。
雑草の生い茂る道をかき分け進むと、どこからかザクザクと土を掘るような音が聞こえる。
なんの音だろう?
少年は一旦立ち止まり、耳を澄ませた。
ホーホーというミミズクの鳴き声と、ピーポピーポピーという高い声の鳥のさえずりが聞こえた。
気のせいかな?
再び歩き出したが、小道がなくなり、ただの草むらになってしまった。
うーん、道を間違えた?でも、光は続いているし、とりあえず進んでみよう。
光っている点は途切れ途切れになったが、なんとか先を見つけて進んでみた。
ふと、人の目が近くにあるような、気味の悪い視線を感じた。バッと振り返ったが、もちろん誰もいない。
なんだか怖くなってきた。
視線を戻し、先に進もうとしたところ、硬い何かにつまづいて転んでしまった。
「いたた」
何だろうと思ってライトを当ててみると、靴下と革靴のようなものだった。
人であれば頭があるだろう方向へ光を向けるが、暗くてよく見えない。
間近で見ようと顔を近づけると、
「見たな」
耳元で男の声が聞こえた。




